SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

米国最新事情レポート『BICP MAD MAN Report』

CCPAは対岸の火事ではない 「データを扱う理想の姿」へ向けて

データ「売却」は、広い意味合いがある

 「わたし」のデータは第三者に売却されたくないし、企業も「わたしの実データ」を確信犯で無許可で売却するケースは少なくなったと期待している。ところが企業はCCPAやGDPRの「売却」というコトバの「本来の意味」を、過小に考えている。CCPAの言わんとする意味は「金銭売却」だけでなく、勝手に「わたし」のデータを誰かに「手渡しする」「誰かと共有する」「委託する」などは行わないでね、の意味合いである。これが2つ目の視点だ。

 たとえば企業Aが、多数の個人顧客から預かったファーストパーティ・データを積み上げて、それらのデータを「分析会社B」に発注してデータ分析をしてもらっている場合、即アウト(顧客にとって気持ち悪い)と思えるかどうか。企業Aは分析会社Bにデータを売るのではなく、分析の料金を「支払う」側なのに、CCPAの概念ではA企業はB業者に売却した(手渡した)と解釈されるのだ。

デジタル広告業界の大転換

 「覗き見しない」「データを他者に手渡さない」という基本理想に向かえば、ネット広告の仕組みは大転換する。トラッキングやターゲティングに留まらず、(勝手な)プロファイリングを利用したプログラマティック広告や、入札データをベンダー接続して共有する(売却する)RTBなども「アウト」の対象になる。パブリッシャーがコンテンツのマネタイズのために、トレーディングデスクやSSP等へデータへのアクセスを与えるのも同様だ。個人をターゲティングしないので安全と思われていたGoogleお得意の「コンテキスト広告」も、勝手なユーザープロファイリングが課題になる。GoogleAnalyticsのツール利用も、SalesforceなどのMA活用や、もちろんAWSへのデータ蓄積も、すべての契約関係において「新たな配慮(契約の刷新)」が必要になる。これまでの仕事慣習や現行の法律から逃げ道を考えるのではなく、それらの概念を取っ払い、「わたし」ならば望まない範囲について「自問自答」をスタートさせるときが来た。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
米国最新事情レポート『BICP MAD MAN Report』連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/01/24 15:15 https://markezine.jp/article/detail/32777

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング