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『MarkeZine』(雑誌)

第105号(2024年9月号)
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定期誌『MarkeZine』特集

U35に聞く!マーケティングセンスの磨き方(Part2)

 現在活躍するU35のマーケター&スタートアップCEOに、「マーケット感覚」を鍛えるために取り組んでいることを聞きました。本稿では、AppBrewの有門拓造氏、タグピクの安岡あゆみ氏、デジタルガレージの諸石真吾氏、VAZの森泰輝氏、ビビッドガーデンの松浦悠介氏、フロムスクラッチの三浦將太氏の取り組みをご紹介します。

※本記事は、2020年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』51号に掲載したものです。

「マーケット感覚」を鍛えるために意識している3つのこと

株式会社AppBrew マーケティングマネージャー 有門拓造氏
株式会社AppBrew マーケティングマネージャー 有門拓造氏
キャリアサマリ

2009年にネット専業の広告代理店に入社し、プランニング営業に従事する。その後複数企業にて、女性向けアプリ「MERY」や、チャット小説アプリ「DMM TELLER」のマーケティング領域全般に従事してきた一方、外資アドテク企業での日本事業展開や、GIF動画メディアにてビジネス領域全体の立ち上げなども経験。

現在の業務

AppBrewには2018年8月に参画し、美容プラットフォーム「LIPS」のマーケティング領域全般を担当。デジタルマーケティングからテレビCMまで一貫したユーザーコミュニケーションを行っている。

ユーザーの感覚と自分の感覚には大きな乖離があるという意識を持つ

 マーケティングの環境に長くいると、良くも悪くも新しいテクノロジーやサービスに触れる機会が増え、自然とアーリーアダプターの声が耳に入りやすくなります。現在弊社が扱っているサービスはインターネットサービスですが、我々のターゲットは当然様々な生活圏の方々がいらっしゃいます。常に顧客視点でいるために、ユーザーの感覚と自分の感覚には大きな乖離があるという意識を持つようにしています。またそのギャップを埋めるため、想定される仮説はまず試し、新たな訴求軸の広告を配信したときなどに得られる結果や、アプリ内のユーザーの行動から、客観的に検証、および評価をするように心がけています。

コストパフォーマンスの概念を大切にする

 コスパというと少しケチな印象がつきまとうような気がしますが、言いたいことはそういうものではなく、モノやサービスに対していくらであれば買いたい・受けたいと思うかを、それが実際の価格より高い場合も、安い場合も含めて考えるようにしています。一般的な生活者であれば価格に見合った良いサービスには金銭を支払うと思いますし、価格以上の体験を提供できれば、知人に紹介してくれたり、ロイヤルユーザーになってくれたりする反面、体験が悪く、むしろ面倒を感じるモノやサービスはタダでも要らない、という感覚を少なからず持っていると思います。その感覚をいかに磨けるかが重要と考えます。

情報をアップデートし続ける

 新たなマーケティングの手法は次々と誕生する反面、その手法自体がコモディティ化し、優位性を失うスピードも加速しているように思います。その中で過去の成功体験にとらわれず、常に新たな動きを把握し対応していくために、最新の情報を得るように意識しています。たとえば社外の人と会って情報交換したり、気になったセミナーに参加したり、本や雑誌を読んでみたり。ルールはいつでも変わる、ゲームチェンジがいつ起こっても柔軟に対応していく必要があるというのを常に意識していると、インプットの質も変わってくるように思います。

「マーケット感覚」を鍛えるために意識している3つのこと

タグピク株式会社 代表取締役 安岡あゆみ氏
タグピク株式会社 代表取締役 安岡あゆみ氏
キャリアサマリ

2010年10月、ピアラ(東証7044)に入社。2015年9月、「インフルエンサーのべーシック・インカムを創る」をビジョンに、国内最大規模の約5,000名のインスタグラマーを束ねるタグピクグループを創業。12歳から25歳までモデル活動およびファッション誌の読者モデル活動し現在のSNS総フォロワーは3.5万人。

現在の業務

タグピク社のマネジメントとして、ブランド企業のSNS運用コンサルティング事業およびインフルエンサー・キャスティング事業を統括。D2Cの支援ソリューション開発の責任者も兼任。データに基づく、テレビでもないWebでもない、これからのSNSでの拡散を促す動画クリエイティブの在り方を日々プランニングしています。

マーケターである自らが消費者として生きる

 消費者理解を深めるために、まず「自らが消費者になる」ことを心掛けています。牛丼屋の新商品も、原宿の新しいスイーツのお店も、なるべく発売日に出向いて自分自身で体験するようにしています。また、当社のクライアントは外資系のブランド企業も多いので、ハイブランドの世界観の理解を深めるために、シャネルなどブランドの新作発表会には必ず顔を出しますし、頑張って自分へのご褒美に一品だけ高価商材を購入することもあります(笑)。私たちは、商品に込められたストーリーを広めていく伝道師です。魅力を伝えていくためには、できればそのブランドのファンで、一人のユーザーであることが望ましいですよね。

情報鮮度の落ちた紙を触らないように生きる

 ファッション雑誌『VOGUE』のような誌面ならではの良さがわかる雑誌は買います。ただありふれたファッション誌や、鮮度の落ちたビジネス書は滅多に買いません。私たちが直面しているインフルエンサーの市場はトレンドの移り変わりが早く、文章になったときに最新情報であったとしても、店頭に並んだときには既に腐食しているのです。そのため、私はその領域のいちばん詳しい人に直接会って話を聞くようにしています。たとえば若年層のコスメ事情であれば、モテクリエイターのゆうこすさん、スマホや5Gのことなら電通の吉田健太郎さんなど。バイネームで頼れる人から聞いたウェットな一次情報を頼りに生きています。

脳が老けないように常に意識して生きる

 見かけだけの話ではなく、自らの感性や情報リテラシーの話です。常日頃から、私よりマーケット感覚の優れたブレインを近くに揃えようと努力しています。私一人ではSNSのマーケット感覚は持てないので、男性や若年層ゾーンなど、社内にその業界やターゲット世代に詳しい人を採用し、私の席の近くに置いています。業界の動向は凄まじいスピードで変化していくため、自分だけで追っていると、すぐに“オバサン感覚”になって、ついていけなくなります。新しいモノ・コトに敏感な、未来志向な幹部をたくさんまわりに抱えることで、常にフレッシュな情報に満ち溢れたワークライフを送りたいと思っています。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:46 https://markezine.jp/article/detail/33039

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