CM“T”Oを目指す理由
――入社して1年が経ち、印象的だったことは?
やはり、学生インターンと社会人では、仕事の進め方がまったく異なりますね。自分から働きかけないと仕事が進みませんし、任された責任の重さを強く感じています。また、大手企業に就職した友人達と比べると、ベンチャーゆえに個人の裁量の範囲が広いです。そして、「成果を出した者が勝つ」のだと実感しています。ここでいう成果とは、「仕事で目標を達成する」ことで、そのためには中長期的な視点から意思決定し行動すること。決してその場での正義感など、短期的な勝ち負けで成果を出すことではないということも学びました。
また、仕事は計画をもって進める逆算型がいいけれど、人生はそうとは限らないというのも、入社後に得た価値観です。人生においては目指すべき方向について見当をつけながらも、自分が今、最も価値を出せる領域で、目の前の仕事に集中して取り組んでいく。そうすると、おのずと向かいたい方向へ進める。ゴールまでの細かい道筋は、決めすぎないほうがいいのだと考え直しました。実はどちらも、上司からのフィードバックを通して気づかされたことです。
――仕事への価値観や進め方が、大きく変化したのですね。では、なぜ将来CM“T”Oを目指しているのでしょう。
僕なりの言葉で言い表すと、マーケティングは商業であり、モノが売れる仕組み、モノが売れる状態を作っていくことです。大学では行動経済学を勉強していましたが、人間の行動を深く理解し、環境や状況を変えることで仕組みごと変え、大きな成果を生み出していく、その根幹を作りたいと考えています。マーケティングの領域で考えたとき、大きな仕組みを作るポジションはCMOです。そしてCINCでの日々から、マーケティングだけでなく、テクノロジーを用いて情報をどう扱っていくかが、より重要だと考えるようになりました。なぜなら、データという見えない塊をどう収集し、分析・加工するかで、情報を届けられるユーザーも手段も変わっていくからです。目指すべきはマーケティングに加えて、テクノロジーを理解し使いこなせるCM“T”Oだと考えています。
まだ見ぬデータを発掘し、価値あるものに
――仕事では、どんなことを大切にしていますか。

まずは、売上につながる行動ができているかを常に意識することです。そして、マインドと行動の両方に、3つずつ自分なりの心がけを持っています。マインドに関して言うと、「価値は相手の変化量」に尽きると考えています。これは、Moonshotの菅原健一さんの言葉ですが、相手の変化するきっかけを提供し、相手が変化することによって、物事が前に進み、ビジネスになっていく。社内外問わず、コミュニケーションする相手がどう変化していくかをプロデュースすることが、重要だと思っています。2つ目は「正解は探すものではなく、作るもの」です。正解に近いものを主体的に選び取っていくことが大事だと考えています。そして3つ目は、「正解か失敗かではなく、前進しているか?」と考えること。正解を自分の中で作っていきながら、物事が前進しているか? を意識しています。
――では、行動に関する心がけも教えてください。
まず1つ目に、行動することです。行動する前には、深く思考もしますが、変化の激しさに対抗するには、頭だけでなく手や足も動かして、次のフェーズまで行き、また行動する。その繰り返しです。2つ目に、徹底的にお客様の立場になってみること。PMとして担当するKeyword map for SNSは、SNSの投稿データを分析するソリューションです。Twitter分析に注力していますので、Twitterアカウントを複数作って投稿してみたり、自らも可能な限りTwitter APIを個人で利用して分析したりと、Keyword map for SNSを利用されるお客様の立場に立ち、どんな機能が必要かを考えることは忘れないようにしています。そして3つ目は、「社内政治」です。強いインパクトのある言葉ですが、僕はポジティブなイメージで、相手の立場を考えた行動をすることだと捉えています。学生の頃は「正論を言えば通る」と考えていたところもありましたが、会社や組織では、必ずしも正論が通るわけではありません。それぞれの立場を知り、ときには根回しもする。そういった調整を行うと、結果的に前へ進み、ゴールに早くたどり着くことがあるのだと考えています。
また、僕が行動するときの一番の基準は「どこでリスクを取るか?」です。一般的にリスクとされていることも、視点を変えることで良い選択肢や興味の対象になり得ます。たとえば、インターンでナイトレジャーの市場を選んだのも、あえて知らない業界に飛び込むのがおもしろそうだと興味を持ったからです。興味関心や、好奇心のままに飛び込んでいくと、今まで見えていなかった世界が自然と見えてきます。すると、人とは違うリスクが取れるんです。
――最後に、これからのキャリアについて教えてください。
海外の外資系企業では、30代後半でCEOやCMOになるのが一般的と言われているので、そのスピード感で走っていきたいです。5年後は事業責任者として、新しい価値を社会に提供する。さらに10年後は、まだ可視化されていない、有効活用されていないデータを、オンライン・オフライン問わず結びつけて、新しいビジネスの創出を目指したいです。
実は就職活動をしていたときに最後に迷ったのは、日本銀行かCINCでした。日本銀行は金融の力で世の中を支える金融インフラとして、今後CINCは情報の力で世の中を支えるビッグデータインフラとしての役割を担っていることが、おもしろいと感じていたのです。これからは、データが物事にますます大きな影響を与え、社会を動かしていく時代になるはずです。あらゆるデータを収集して、加工し、現状のデータから将来を予測してみたい。それができる環境にいられる準備は、常に整えておきたいと思っています。