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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

培ってきたコミュニティを軸に「イノベーションの場」を創出し続ける

オンラインでいかに偶然性や意外性を生み出すか

――よくある声かけですよね。アドテックだと、リピーターがやはり多いのでしょうか?

 そうですね、1回以上来たことがある人が6〜7割です。ただ、規模が大きいので、本当にコアな“内輪”は数百人くらい。そのトーンを参加者全員に強要してしまうと、初めてや2〜3回目の方はちょっと引いてしまいますよね。

 それに気づいたのは、参加者の方とのお話からでした。登壇者、スポンサーや出展社にはよくお会いしますが、そうではない参加者の方には意識的に機会を作らないと、話す場がありません。なのでここ数年、朝早くから並んでくださっている方には必ず名刺交換してお話ししたり、「この名古屋の会社さん、必ず毎年4枚買ってくださっている」など気になったらオフシーズンにお訪ねしたりしています。

 そこでうかがったんです、壇上から「〇〇さんどうでした?」と言われると疎外感がある、と。盛り上げるつもりだったのに、かえって距離を作ってしまっていたんです。それからは、常に初参加の方がどう感じるかを念頭にすべてを組み立てています。

――N1インタビューを地道にされているんですね。その上で、オンラインでもコミュニティを強くしていくヒントは何かつかめましたか?

 難しい質問ですね。私たちはメディアも持っていませんし、資産といえば、リアルイベントで培った人のつながりしかありません。そもそも私が当社に転職した理由も、インターネットが大好きな一方で技術系の人材ではないので、だったら人に関わってビジネスを生み出す側に振り切ろうと思って、デジタル広告からリアルイベントの世界に来たんです。

 オンラインでも、やはり人とのつながりは大きな強みです。数百人なら、視聴されている方、コメントをくださる方のお顔がだいたいわかるので、それはいきなり知らない人を相手に配信するよりはるかにやりやすいと感じます。お届けする内容のクオリティにも自信はあります。一方、課題は前述の、偶然性や意外性の創出ですね。

リアルイベントの価値を突き詰める

――確かに、オンラインだと“偶然聴く”こともあまりないですし……。

 その付加価値的な読めない要素、セレンディピティを起こすのが、オンラインだと相当難しいと実感しています。ビジネスのカギは全部、意外なところにあると思うので、それをどう作るか。この点を追求できると、リアルイベントを再開できたときにも必ずプラスになると思います。

 ただ、逆にこれだけオンラインのコンテンツが充実すると、今度はリアル集客のハードルがすごく上がりますよね。ミーティングも家でできればラクですし、しかも皆さん家での時間が増えて、これから家がもっと快適になっていくはずなんです。家時間という最強のライバルが現れたので、リアルイベントに来ていただくには今まで以上に価値を突き詰めて、頑張らないといけない。

 同時にマネタイズも工夫が必要で、リアルだと数値と情緒的価値を総合して判断していただいていたのが、オンラインだと急に視聴者数などの細かい数値指標ばかりにフォーカスしがちです。これは私たちも抜け出せていないので、考え方を整理して適した評価指標を見出したいところです。

――オンライン配信の効果測定は、MarkeZineでも喫緊の課題です。新しい指標が必要ですよね。最後にマーケティングを支援する立場として、マーケティングという仕事やこの業界の魅力をどう捉えられているか、うかがえますか?

 今、一番おもしろい仕事だと思っています。マーケティングは機械が代替できない領域だと思うので、これからどんどん求められますし、技術の発展で頭の中にあることをすぐに実現できるようにもなっているから、とてもエキサイティングです。

 そういう仕事だからこそ、たとえば小学生や中高生の憧れの職業として、マーケターが挙がるようになったらいいなと思っています。そのためにはいいお給料をもらっていないといけないし、そのためには社会的にも評価されないといけない。もちろんビジネスなので利益は最優先ですが、今の状況や、今後も社会的な危機に直面することを考えると、日本でもマーケターが社会課題の解決に取り組む余地が広がっていますよね。かっこよくて人のためになる、素敵な仕事だと世の中に知ってもらえる機会を増やしたいですし、業界に関わる皆さんと一緒に増やしていけたらと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/25 13:00 https://markezine.jp/article/detail/33653

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