オンライン宿泊が破壊した既成概念とは何か?
しかし、オンライン宿泊が破壊した既成概念は私だけのものではないはずです。事実、先述した通り75回にわたって開催されてきたオンライン宿泊の参加者は450名を超え、毎回満室が続いているといいます。参加者の満足度の高さは、上に書いた通り容易に想像できます。ここには、従来のサービスの考え方を覆し、ニューノーマルをつくる上でのヒントがあるはずです。
「Disruption」メソッドでいうConvention(既成概念)の破壊が、このサービスがニューノーマルたる理由であると言えるでしょう。
破壊的思考法「Disruption」とは?
TBWAが提唱する、創造的破壊を促す思考法のこと。「1、Convention(コンベンション)=既存の市場やプレーヤーを見渡し”破壊すべき既成概念”を発見する」「2、Vision(ビジョン)=既成概念を破壊した先の“あるべき理想の姿”を明確化する」「3、Disruption=既成概念を破壊し“ビジョンを実現するアイデア”を開発する」という大きく3つのステップから成り立つ。
▼創造的破壊を促す思考法「Disruption」の詳細については第1回をご覧ください。
競争戦略から“創造戦略”へ ニューノーマルをつくる破壊的思考法
では、オンライン宿泊が破壊した既成概念とは何か。普段私たちTBWAグループが既成概念をみつけるために使用するフレームワーク、Convention Hunting(コンベンション・ハンティング)を使って、詳しくみていきましょう。
Convention Huntingでは、4つほどの異なる視点でひとつの対象を観察し、根底に共通して隠れた既成概念を明らかにします。この視点はどんなものでもいいのですが、今回は代表的な4つを使ってコロナ以前の宿泊業を含む「観光業界におけるオンライン○○」のConventionをみていきます。
「観光業におけるオンライン活用」を観察する4つの視点

1、自社の視点
ひとつめは自社の視点。ここでは、WhyKumanoさんのコロナ以前におけるオンラインの使い方を見てみることにします。Facebook投稿を遡るとコロナ以前はゲストハウスで開催する「オフラインイベント情報を発信」する投稿が多かったことがよくわかります。
2、他社の視点
続いて業界内の各社がオンラインを使ってどうコミュニケーションしているかをみますと、どのサービスも現地でしか体験できない「現地現物の魅力をオンラインで伝えている」ことがわかります。たとえば、「宿泊」の場合は施設情報や周辺観光地情報の写真と説明の文章を掲載するというものです。
3、消費者の視点
さらに消費者がオンライン活用について現状どう捉えているかを見ると、多くがオフラインでの体験に向けた「検索や予約などの情報収集、ないしは電話予約といった手間を省いた効率化のための利用」が多いことがわかります。
4、世間の視点
最後に、さらに広く世間一般でオンラインがどう使われているかを見ると「サイトでのコンテンツ閲覧やSNSを使った文章や画像でのコミュニケーション」が多いことがわかります。