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BtoBマーケティングの開拓者たち

「大量のデータだ!分析だ!」その前に考えたい大事な話

データの上を散歩する

 「さてさて、やっとマーケターらしくデータドリブンなんちゃらの話をするんだな?」と思ったアナタ、まだですよ! まだまだ分析の前に大事な話があります。これからデジタルマーケティングに挑戦していく方々にとって、分析以外にも重要なことがあります。それは「運用」です。

 そもそもデータの分析が目的ではないですし、分析することだけがアナタの仕事ではないはずです。大事なのは、データを活用して成果を上げることです。成果を上げるために重要なのは、日々増え続けるデータをしっかりとウォッチして、変化を見逃さないこと。正直、慣れないうちは大変だと思います。データを見ると言っても、たくさんのツールにデータがあるので「えっ! これ全部見ないといけないの?」と思う方もいると思います。が、そのとおりです。やりましょう。私も仕事を開始すると、まずは必ずデータの確認をします。参考になるかわかりませんが、私の場合はまずはMAツールと連携しているSalesforceで新規リードやSQL、商談の状況をチェックします。その後にGoogleアナリティクスでWebサイトをチェックし、Search Consoleで検索状況、最後に広告配信ツールのデータを見ます。私は売上に近いところから確認していくようにしていますが、これは人によって手順が違うので、ぜひとも自分流の方法を見つけてください。コツはデータの上を散歩するように、データを俯瞰的に眺めることを日課とすること。データが体に染み込んでいきます。すると、特定の項目の数値の変化に「あれ? 何かおかしいな」と気づけるようになるのです。

 たとえば、弊社で運営しているオウンドメディアのSmartDrive Magazineは月間で20万UU以上のアクセスがあるのですが、テレビや新聞の報道などで安全運転への機運が高まると、「ドライブレコーダー」関連記事のアクセスは2〜5倍に跳ね上がります。最近では新型コロナウイルスの影響でマイカー通勤を推奨する企業が増えていることもあり、「車両管理規定」関連のページもアクセス数が増えています。こういったトレンドの変化に時間が経ってから「半年前にこんなにアクセスが増えていたんだ」と気づき、そこからなんらかの対策を打とうと思っても、“時すでに遅し”です。

 「デジタル系は難しいから外注している」という企業の中には、毎日のデータ確認を自身で行わず、月次の分析レポートを提出させて「あーでもないこーでもない、改善提案が欲しい」「他社事例を教えてくれ」とやっているところもあるようですが、それは自分で考えることを放棄した、ただの丸投げです。そのような運用ではタイムリーにトレンドの変化を捉えることができませんので、注意しましょう。

分析に必要な「ドメイン知識」とは

 現在の飲食店は新型コロナウイルスの影響で非常に厳しい経営環境にあります。しかしコロナショックを知らない方が、ここ最近の売上データを見て「注文数が減っている、単価が高いのかもしれない! 低単価商品を試してみよう」とドヤ顔で話していたら、どうでしょう? 「いやいや、注文数が減っているのではなく、外出する人が減っているので、来店客数自体が減っているんですよ」と教えてあげたくなりますよね。

 さすがにこんな人はいないと思いますが、その業界に対して知識が乏しいことで、誤った理解や解釈をしてしまうことはよくあります。こうした分析対象に対しての知識や理解のことを「ドメイン知識」といいますが、過去にうまくいった施策を、異なる業界のクライアントで横展開してみたけれど全然成果が上がらなかった……というのは「コンサルあるある」「異業種への転職組の失敗談」として共感していただけるかと思います。

 一方で事業会社はどうかというと、当然、外部の方よりも自社の業界ドメイン知識を持っていると思うでしょう。それは恐らく事実でしょうが、過信すると足元をすくわれます。コンサルタントや広告代理店などの外部の人間は、様々な業界の方と仕事をしていますし、特定の業界にズッポリと身を置いてないため、消費者に近い視点に立つことができます。それを「何を素人が言っているんだ」と一蹴するのはもったいない! お客様から自社がどう見られているか、ヒントを得るチャンスなので、「××さんの視点では、弊社はどう見えますか? どうしても自分たちではバイアスがかかってしまうので、フラットな目線で忌憚のないアドバイスが欲しい」と伝えてみてください。きっと目から鱗の素晴らしいアドバイスがもらえるはずです。

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理論を学び業界のルールチェンジに強くなる

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この記事の著者

大里 紀雄(オオサト ノリオ)

スマートドライブ マーケティング/PR
大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。その後、マルケトにてシニアビジネスコンサルタントとしてマーケティングオートメーションツールの導入支援を行う。業種を問わず、大手企業から中小企業まで、コンサルティングを経験。現在...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/07/27 14:45 https://markezine.jp/article/detail/33870

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