思わずTwitterで読みたくなるコンテンツ体験の設計とは?
MZ:Twitter上でキャンペーンを展開する中で、意識していた点を教えてください。
山岸:多くの方にモノにまつわるストーリーをTwitter上で発信してもらうための工夫は意識していました。先ほど触れた「カンバセーショナルカード」での取り組みについて、「#メルカリのモノガタリ」付きのストーリーが1,200近く集まったので、Twitter上での「にぎわい」が創出できたと思っています。
アートワークにも非常にこだわりました。長場雄さんに描き下ろしてもらったイラストをクリエイティブに落とし込む際、Twitter上でのタイムラインでどのように表示されるのか、チーム内のアートディレクターおよび宮川と何度も調整を重ねましたね。コンテンツを読んでもらう際のユーザビリティも、チームで考え抜いて校了したのを覚えています。
宮川:メルカリはお客様体験を非常に重視しています。そのため、今回のTwitter上の読者体験においても、クリエイティブのデザイン性や視認性はかなり意識しました。
著名な作家の方の作品をTwitterで連載するのは前例がない取り組みだったので、慣れ親しんだ書籍のブックカバーやページレイアウトを画像として投稿し、タイムライン上で“読みもの”としてのパーセプションを高める工夫をしました。アートディレクターに装幀デザインの経験があったため、読みやすい体験をどうすれば提供できるかについては、細かく相談させてもらいましたね。
MZ:各作家の作品は複数の画像ツイートで構成されていましたが、投稿のタイミングや方法などで意識していたことはありますか。
宮川:毎回リプライ形式で投稿することで、検索しなくとも続きや見逃した部分をスムーズに読めるようにしました。また当時、ステイホームが長期化する中、投稿を1時間おきの「ライブ配信」にすることで、読者が参加型のイベントとしてモーメントを共有できる設計にしたんです。
自粛期間中のエンタメ界隈では「ライブ配信」がトレンドになっていましたが、文学では他に例が見当たらなかったので、時流と相まって注目していただいた面もあるのかなと感じています。
フォロワー数が約9万増加&高エンゲージメントを達成
MZ:「モノガタリ」によって得られた成果を教えてください。
山岸:Twitter上のパフォーマンスに関しては「モノガタリ」関連で発信したツイートに対するRT数が5万、いいねが17万、インプレッションが8,700万、そしてエンゲージメント率は10.4%と非常に高い数値でした。また、期間中にフォロワー数も21.2万から30.3万に増加し、非常に良いパフォーマンスだったと考えています。
フォロー&RTキャンペーンで1.9万RT、1万近くのいいねを獲得していたので、Twitter広告の波及効果も感じていました。ただ、今回のエンゲージメントの中心はコンテンツに対する評価から生まれていたので、多くの方から「モノガタリ」に対する共感を得られたと捉えています。
また、メルカリのお客様に向けてアプリでも「出品キャンペーン」を実施しました。メルカリへ出品する際に、「商品説明」の欄に「#メルカリのモノガタリ」付きで「出品するモノにまつわる思い出」を書いてもらうキャンペーンなのですが、12,000近くの出品があったので、「モノとストーリー」というテーマはメルカリのサービスと親和性があるということを改めて実感しましたね。
この他にもローソンさんとのコラボレーション企画として、作家さんの作品をレジ袋に印字しナチュラルローソンで配布するという取り組みも実施しました。ありがたいことに、テレビや新聞、Webなどの各種メディアに取り上げられ、大きな話題となりTwitter上でも多くの会話が生まれていました。
MZ:宮川さんはいかがでしょうか。
宮川:今回のプロジェクトで嬉しかったのは、4社の出版社の方から「モノガタリ」の書籍化についてお問い合わせをいただいたことですね。キャンペーンが話題になったことで業界を超え、今後の展開にもつながって非常に良かったと感じています。