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「withファン」レポート

お店に行けない期間もファンの“好き”を加速 サブウェイさんに聞く、エンゲージメントを高めるSNS活用

コロナ禍でも“オフェンス的コミュニケーション”ができたワケ

徳力:キャンペーンの起ち上げからまとめまでずっと、辻本さんはリモートワークですか? バランスの議論は重要なところで、よくまとまったなと感心してしまいます。

辻本:そうですね。ほぼリモートでした。一緒に運用しているチームの人とはもちろん相談していましたが、とりあえず一度やってみようという文化がサブウェイにはあったので、超えてはいけないガードレールは守りながら、その中で自由にやってみた感じですかね。

徳力:飲食チェーンって本部主導のトップダウンで儲ける仕組みのところが多いですが、サブウェイはお話を聞いていると組合や生協のような雰囲気があり、ボトムアップで「みんなでサンドイッチ作っていこうよ」みたいな成り立ちの会社なのかなという感じがしました。

辻本:そうかもしれません。サブウェイはフランチャイズ100%なので、私たち本部はブランドやシステムを提供するだけで、それを切り盛りするのは経営者でもあるフランチャイズオーナーの皆さんです。

 そんな中でのSNSの役回りは、お店単体ではできないサブウェイのブランドイメージの発信だったり、ブランドコミュニケーションなので、それを一括で行っているという感じです。

徳力:コロナ禍の中、「三密」を避けることからコミュニケーション自体に距離を取ったほうがいいという世の中の空気になっており、我々もすごく悩んじゃったんですよ。

 でも辻本さんのやり方ならオンライン上でお客さんと会話が継続できるんじゃないかとすごく勇気をもらいました。私は、いわゆる大企業のメーカーさんは「広報=ディフェンス」側だと思うんです。コロナ禍の中だから、みんなちょっと止まろうぜという雰囲気になっていた。

 ところが、そこを辻本さんが、「おもしろいことをやろう」というオフェンス的なコミュニケーションをやったことがとても素晴らしいし、おもしろいと思いました。「#おうちでサブウェイやってみた」に参加した人たちは、今後も絶対サブウェイのことを忘れないと思います。

辻本:ありがとうございます。「#おうちでサブウェイやってみた」ハッシュタグを使った投稿は約50件くらいだったので、正直それが多いか少ないかの評価が難しいですが……。

徳力:自分であのサイズのパンを取り寄せなるところからですからハードルは高いですよね。

辻本:そうですね、それを考えるとすごく価値ある50件だと思います。参加してくれた方は考えて・作って・食べている間、少なくとも1時間以上はサブウェイのことを考えてくれてたわけですよね。それは普段お店で体験する時間よりも長いと思うので、本当にありがたいと思います。

キャラを作ると引き継ぎが大変? Twitter運用におけるQ&A

徳力:最後に、いくつか視聴者の方からの質問に答えていただきます。

質問1:Twitterでキャラクターを出していきたいのですが、そうすると属人的な側面が増え、担当変更があったときに引き継ぎづらい懸念を持っています。

辻本:サブウェイのSNS運用は総勢8人くらいでやっています。その中には大学生のインターンもいます。ですので、人によって発言のトーンに違いが出てしまうことはありますね。

 とは言え、「サブウェイさん」はこういうコメントに対してはこう返すよねといった知見は溜まってきているので、チームに新人が入ったときは過去の投稿や返信などをたくさん見てもらい、すこしずつ実際に書いてもらってそれをレビューするという形で、その人をサブウェイさんに染めていきます

 もちろん一人の担当者がキャラクターを作っていらっしゃるアカウントもあるとは思うのですが、うちの場合はチーム全体でサブウェイさんというペルソナを体現するという形でやっているので、担当変更があって云々というのはあまり心配したことがありませんね。

質問2:今回成功したキャンペーンをメインで紹介いただいていると思うのですが、参考までに失敗したキャンペーンがあったら知りたいです。

辻本:ないと言いたいところですがもちろんあります。キャンペーンはもちろん日々の通常投稿でも、これは跳ねたけどこれはイマイチだったみたいなのがありますね。

 チーム内では2週間に1回、全投稿の数字レビューをしていますが、インセンティブをつけた投稿のほうが圧倒的に数はいくので、正直悔しいわけですよ。なので、いかにオーガニック投稿を伸ばすかということを日々考えて回しています。クリエイティブしかり、文章しかり、コールトゥーアクションしかり、一個一個をしっかり検証してPDCAを回しています。失敗はあってもしょうがない。そこから学んで次に繋げればいいんじゃないかという発想です。

質問3:ブランドのファンへのコミュニケーションって愛が深いほど失敗すると怖い気もするのですが、どうやったらそんなポジティブな風土が生まれるんでしょうか。

辻本:サブウェイは知名度は高いものの、実際は国内200店舗しかないまだまだ小さなチェーンです。ですから攻めの姿勢とはいっても、いきなり大きな話題や炎上になると思いませんし、炎上してもTwitterはどんどん流れていくものなので消火すればいいと思っています。

 チームに「やってみろ」の風土があるからこそ、チャレンジできる。やってみた結果ダメだったことは多々あるので、それに対してすぐにどう改善するかを日々繰り返していますね。

徳力:日本企業ってどっちかっていうと、リスクを取って行動することのインセンティブが薄いんですよね。

辻本:そうかもしれません。ただ、もちろん私達も何でもオッケーな訳ではありません。ここは超えちゃダメだというガードレールは敷きます。

 たとえば宗教やセクシャルなことに触れないという最低限のガイドラインに従うのは当たり前です。サブウェイとして基本のNGガイドラインは持っており、その中で自由に凝り固まらずにやろうっていうスタンスでやっていますし、もちろん迷ったら相談するというのは徹底しています。

徳力:なるほど。やっちゃいけないことの線引きをして、それ以外はやっていいっていう。

辻本:これは店舗側もそうかもしれません。店舗にはマニュアルがあり、やってはいけないことは書いてあります。でも現場では一人ひとりのお客様に合わせて対応する場面があるんですよね。

 お客さんに「いや、マニュアルには載ってないからダメです」と言うか、その状況に合わせて臨機応変に対応するか。店舗もSNSチームもスタンスは同じで、ガードレールの中でお客様をHappyにするために、出来る限りのことをする。これがサブウェイブランドの根底にあります。

徳力:今日はいろいろなお話をありがとうございました。

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この記事の著者

吉田 朗子(ヨシダ サエコ)

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 マーケティング部

広告代理店とカナダでのワーキングホリデーを経て、2018年アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)入社。AMNでは、マーケティング部に所属しながら”寄り添う企業として”をスローガンにしウェビナー、イベントなどを開催中。個人では保護犬のボランティアなどを行いながらより良い未来を模索している。

アンバサダープログラム事業部:https://agilemedia.jp/ambassador-program

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

宮崎 綾子(ミヤザキ アヤコ)

編集者。編集プロダクション勤務を経て2009年に独立、“ひとり編プロ”アマルゴンを運営。PC・スマホ・ウェブ関連の技術&カルチャー書籍編集制作を中心に、PRコンテンツ企画など幅広く関わる。電子書籍の導入期にはImpress QuickBooksシリーズに参画。実績は https://amargon.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

田口 和裕(タグチ カズヒロ)

タイ在住のフリーライター。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイトなどを中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。著書に『できるfit メルカリ&LINE&Instagram&Facebook&Twitter 基本+活用ワザ』(インプレス・共著)、『ゼロからはじめるテレワーク実践ガイド ツールとアイデアで実現する「どこでも仕事」...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/28 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34110

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