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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

Disruptionとは何か 〜ニューノーマルをつくる破壊的思考法〜

「スーツに見える作業着」が目指す偏見のない世界 ブランドビジョンを見つける6つの問い

服選びの“窮屈さ”をなくし、人々が内面に向き合う時間を作る

Q6:このブランドはどうしたら世の中を活性化できると考えているか(信条)

関谷:服選びの窮屈さから解放されることで、人々はもっと「内面のアイデンティティに向き合う」ようになるんじゃないかと思っています。これまで服で無理に自己表現をしようとしていた人も、ワークウェアスーツによって服選びの必要がなくなれば、それ以外の方法で自己表現を考えるようになるはず。その時にはじめて「自分らしさとは何か」といった自分自身の内面に向き合うことになるのではないでしょうか。もちろん、服選びが好きな人はそのままでいいんです。自分自身に向き合った先に服で自己表現する人も出てくると思います。こうして一人一人が自分自身の内面に向き合うと、人と接する時にも相手の内面と向き合うようになりますよね。そうすることで、きっと人間関係も幸せなものになると思います。

Q:最後にワークウェアスーツのビジョンをお伺いできますか

関谷:服による劣等感を持つことなく、服選びに振り回されず、自分自身の内面に向き合う。これによって、一人一人が「真の自己表現」ができて、人生のアップデートもできると思っています。今我々が提供しているのはアパレルですが、こうした問題は食事など他のカテゴリーでもきっとあって、将来的には同様のいろんな問題に取り組んでいきたいですね。

「スーツに見える作業着」のアパレルを超越するビジョン

 次に、関谷代表のお話を「Vision Composing」を使いながら解釈することで、ワークウェアスーツのビジョンを考えていきます。まず使命について、お話の中にあった「世の中の職業観の再構築」という点がそのままやり遂げようとしていることに当てはまると考えました。

 目的については「もっと自由な自己表現をしてもらいたい」というお話に着目し服をはじめとした「手段にとらわれない自由な自己表現の提供」と考えました。そして存在意義はお話にあった「シーンに合わせて服を選ぶ必要がない」という特徴から人は服装からは判断できない「人々の内にある真価を見つける機会」にあるとしました。では、このブランドならではのユニークな着眼点は何かというと「服選びに振り回されない快適さ」というお話の根底にある「人々は服装によって人の真価を見誤る」という人間の性質に気づいたことです。この誤りがあるからこそ、服選びによるわずらわしさが生まれていると考えることができます。野望は「窮屈さから解放できる」というお話を今回お伺いした言葉を使って「服装により生まれる差別や偏見を無くす」ことだと捉えました。そしてこのブランドが世の中の活性化になると考える信条はお話から「人々が内面に向き合う」ことだと考えました。

 ここまででご覧いただいた通り「スーツに見える作業着」は様々なメディアで話題にされている“アパレル”というカテゴリーを超えて、服装に端を発した人々の自己表現や他者評価に関する“価値観”についてのビジョンを描いていることがわかりました。今回お伺いしたお話をもとに構築したVision Composingで、筆者はワークウェアスーツのビジョンを「見た目バイアスからの解放」と見た目に関する人々の価値観について定義しました。自分自身の見た目についての差別や偏見に悩まされたり、知らず知らずのうちに相手を見た目で判断して傷つけてしまったり失敗したと感じたことのある人は少なくないはずです。最近ではSNSでもルッキズム(外見至上主義)についての論争も増えてきました。「見た目バイアスからの解放」は今の社会が次のステージに進む上で必要な、ニューノーマルな未来を描くビジョンと言えます。

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ビジョンが変わればアイデアが変わる

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Disruptionとは何か 〜ニューノーマルをつくる破壊的思考法〜連載記事一覧

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この記事の著者

田貝 雅和(タガイ マサカズ)

株式会社 TBWA HAKUHODO\Disruption®︎ Consulting\Disruption® Strategist

ITプラットフォーマー、デジタル・エージェンシーを経て現職。スタートアップからグローバル・ブランドまで、様々な規模・業界のクライアントにビジョン実現の支援を実施。「良い戦略は良い問...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/31 07:00 https://markezine.jp/article/detail/34137

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