企業規模が大きくなればなるほど、課題となるのはマーケティング部門と営業部門との連携だ。その課題をものともせず、両部門が連携してコロナ禍でもリード獲得から商談化、受注までのプロセス連携を着実に進めているのがNECだ。開催できなくなったリアルイベントの代わりに、実施したオンラインイベントでは6倍のリード、4,300件を超えるSAL(Sales Accepted Lead)を創出するなど、成功事例を作りつつある同社の取り組みに迫った。
※本記事は、2020年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』57号に掲載したものです。
デジタルマーケティングからABMに発展

日本電気株式会社 IMC本部 本部長 東海林直子(しょうじ・なおこ)氏
NEC入社後、通信ネットワーク系の代理店販売業務を担当しユーザーコミュニティを立ち上げ、その後、法人向けインターネットサービス(BIGLOBEビジネス)で新サービス企画および営業支援を担当。2004年からは市場リレーション推進部門にてメールマーケティングをベースとした全社マーケティング活動を開始。現在は、IMC本部でオウンドメディア、外部メディア、リアルイベント等の様々なタッチポイントとMA、SFA、インサイドセールスを連動させたマーケティング施策実行を統括。
――NECでは数年前から営業・マーケティングのデジタルシフトを進めていますよね。これまではどのようにデジタル化を進めてきたのでしょうか。
最初はマーケティング部門主導のもと、デジタル化を進めてきました。デジタルマーケティングに関するツールを導入し、リードジェネレーションとリードナーチャリングを実行。その上で、営業にリードをパスしてきました。
その後、マーケティング部門内にあったテレマーケティングの組織を、よりセールス寄りの役割にすべく、インサイドセールスとして再編成したんです。そのように機能強化と組織編成を行いながら、営業とマーケティングの分業体制を構築してきました。
その後、いち早くアカウントベースドマーケティング(以下、ABM)に取り組みました。アカウント単位で割り振られている営業と、我々マーケティング部門の連携がABMを通じて強くなったと考えています。NECの営業組織は大きいため、営業メンバーとアカウントベースでマーケティングプランを設計し、実行してきました。
――NECの営業体制とABMが非常に合っていたんですね。
ABMでないリードは、引き取ってもらえないこともありました。元々デジタルマーケティングで得られたリードが営業活動に行き着かないということもあり、ABMを軸にしたマーケティング活動へとシフトして営業との連携を進めて参りました。
――ABMへ切り替えて以降、どのような変化がありましたか。
渡されるリードに対して営業が反応してくれるケースが増えましたね。デジタルマーケティングを始めた当時は、ものすごい数のリード数を提供していたのですが、その10分の1くらいまでリード数は減少しました。それでも、営業が注力してくれるようになったので非常に良い関係が築けたと思います。
――無駄なリードの獲得を防ぐために、ホットリードの定義を見直したのでしょうか。
営業のリソースや扱う商材によって変えました。パイプラインが不足している部門には多少条件をゆるめてリード提供数を優先し、営業がフォローするリソースがない場合はマーケティングがいつも以上にナーチャリングをしてリードを渡しています。
オンラインイベントで6倍のリードを獲得
――新型コロナウイルスの影響で多くの企業がマーケティング活動のオンライン化を進めましたが、御社ではいかがでしょうか。
2020年2月ごろから弊社のマーケティング活動に影響が出てきました。具体的には、リアルイベントの中止ですね。デジタルマーケティングで一定数のリードは集められつつも、中止になった分のリード量を供給するには限界がありました。
そんな中、社内で動き出したのが、オンラインイベントの企画です。ちょうど7月ごろに東京と大阪で弊社主催のリアルイベントを予定していたので、それらを融合する形でオンラインイベントを開催することにいたしました。
企画から収録当日まで、チームメンバーがほぼ対面することなくリモートで内容を詰めてきました。対面に比べると調整などの負荷が大きかったものの、過去のリアルイベントの6倍以上の集客に成功しました。
――これまでの6倍ですか!? それはすごいですね。
オンラインイベントに対する基準値を持っていなかったため、我々も6倍もの方に視聴いただけるとは思っていなかったです。個別のセッションで見ても、これまでであれば100名ほどしか入れなかったものに約4,000名の方から参加申し込みをしてもらえたものもありました。
そのため、リアルイベントとは異なる基準の設定が必要だと感じましたね。これまでのMQL(Marketing Qualified Lead)やSQL(Sales Qualified Lead)の目標値を悠々超えたリードも多く集まるので。
――先ほど対面に比べて調整が大変だったとのことでしたが、具体的にはどのようなことが大変でしたか?
イベントでは数多くのお客様にご登壇いただいたのですが、そのための依頼、調整の仕方も変えるのに苦労しました。
たとえば、新型コロナウイルスの状況が収録までにどうなっているか読めないので、収録をスタジオでするのか、もしくはHome to Homeで行うのか。また、ウェビナー登壇になれていない方へのフォロー、リモート上での内容の打ち合わせ、当日のチャット対応など、今までとは違うところへの配慮が必要だったので、そこの負荷は大きかったです。しかしながら、登壇されるお客様にセッションの申込数を伝えると非常に満足していただけたので、良かったです。
――これまでの6倍のリードが集まった反面、リードの質が下がるというリスクにはどう向き合ったのでしょうか?
これまでのリアルイベントは営業による招待が中心だったのに対し、今回はマーケティングによる参加者が営業の招待をやや上回る形になりました。ただ、マーケティングの集客もABMに則って行っているので、営業が会いたくてもお会いできないお客様を中心にアプローチしていました。
コロナ禍で営業は既存のお客様とはお話ができますが、そうではない方へのアプローチが難しくなっています。その中で、今回のイベントが新しいお客様との接点になったので、パイプラインになる確率もこれまでとはけた違いになっています。具体的には、今回のイベントを通じて4,300件を超えるSALを創出することができました。
ウェビナーの参加者の方を見ても、一定数の役職者の方に参加いただき、驚きでした。その他にも完全視聴率やアンケートなど各種データも明確に取れるので、オンラインイベントの成功は大きな成果の1つだと思います。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
新規会員登録無料のご案内
- ・全ての過去記事が閲覧できます
※プレミアム記事(有料)は除く - ・会員限定メルマガを受信できます
- ・翔泳社の本が買える!500円分のポイントをプレゼント
この記事は参考になりましたか?
- 定期誌『MarkeZine』特集連載記事一覧
- この記事の著者
-
道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)
1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
