甲乙の関係からリファラルで広まる導入
――現状は急激に増加したリード数への対応もあり、週次でメンバー入れ替えを行いながら対応しているとのことでしたが、今後マーケティング・営業の組織をどのようにしていきたいといった構想はありますか。
田口:今はマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスからなる「The Model」を参考に組織を形成していますが、その中でもまだまだ試行錯誤できる部分はあると思っています。
たとえば、フィールドセールスの中でも、今期からエンタープライズとそれ以外と企業規模で担当を分けてみたり、西日本の支社でも新たに営業組織を立ち上げてみたりと、新しい組織構築を試しています。これまではフィールドセールスが受注したらカスタマーサクセスに引き渡し分業していくスタイルでした。しかしながら、エンタープライズを相手にする場合、受注後もユーザー企業の業務フロー構築をサポートするため、フィールドセールスが受注後も関与する、カスタマーサクセスの専任者を付けて手厚くフォローするなど、様々な可能性があると考えています。
そして、マーケティング部門は現状少数精鋭で取り組んでいます。というのも、クラウドサインは電子契約サービスの中でも約8割のシェア(矢野経済研究所調べ、2019年7月時点)を誇っています。電子契約の黎明期から地道な普及活動を続け、「電子契約サービスと言えばクラウドサイン」という第一想起を得られているため、安定してリードが供給できる状況にあります。

さらに、電子契約サービスの特徴として甲乙、契約の発信者と受信者が発生する点があります。受信者として初めてクラウドサインを使う方のユーザー体験が良いと「自社でも導入しよう」とお問い合わせが来るのです。実際、オーガニックリードの2割程度は受信者としてクラウドサインを利用したことがきっかけで生まれています。
電子契約情報を会社の資産に
――8割のシェアがあるからこそ、そのユーザー企業がどんどん広めてくれてネットワーク効果が大きくなっているんですね。では最後に、お二人から今後の展望をお聞かせください。
渡邊:PRの視点だと、様々な電子契約サービスが登場している中で、クラウドサインの電子契約の証拠力を担保する厳格さを訴求していきたいですね。加えて、電子契約が普及してきた先にセキュリティの不安も出てくることが予想されます。そこで、クラウドサインのセキュリティに対する取り組みについて情報発信を行っていきたいと考えています。さらには、電子契約市場を牽引するサービスとして、新しい情報や取り組みに加えて、ユーザーと向き合いながら、今何を必要とされているのかという見極めを大切にしていきたいです。
田口:クラウドサインは電子契約に加えて、電子契約の管理・保管のところまでサポートできる機能を持っているのが、他のサービスとの大きな差別化ポイントとなっています。2020年1月にはクラウド名刺管理サービスの「Sansan」との連携を発表し、Sansanで管理している顧客情報に契約情報を紐付ける機能提供もスタートしています。
そのため、今後は電子契約の後工程に対する支援を強化していって、契約情報を企業の資産として保有・管理できるようなところまでスコープに入れてビジネスを広げていきたいと考えています。