コンテンツ制作のヒントは顧客の業務課題にあり
コンテンツ企画段階では、想定顧客のペルソナ設定やカスタマージャーニー、ストーリーやタッチポイントの組み立てが欠かせないと戸栗氏は説く。特にデジタルでは、コンテンツに対する顧客の反応がわかりづらいため、ペルソナ目線のコンテンツで、パーソナライズされた接点を持つことが重要だという。
田中氏も「カスタマージャーニーは顧客接点の一丁目一番地」だと説明する。顧客の行動や思考を深く理解しコンテンツ制作に取り組むには、カスタマージャーニーが欠かせない。カスタマージャーニーマップをフィールドセールスやインサイドセールス、コールセンターと共有することで、コンテンツから得られたリードを刈り取る際の営業活動の整合性も取れるという。

それらを基に、カスタマージャーニーを制作している(タップで拡大)
では、カスタマージャーニーをどのようにコンテンツに落とし込んでいけば良いのだろうか。サトーでは、ターゲットとなる物流企画部などの責任者や、決定権を持つ経営層に刺さりやすいコンテンツを作るために、カスタマージャーニーから潜在顧客の経営課題と業務課題を理解。課題解決の視点からコンテンツを制作している。江成氏はその時に留意していることとして、「“モノ売り”ではなく“コト売り”の視点で製品を訴求するコンテンツ・アプローチ」を挙げる。
「たとえば、顧客企業の物流センターでは、人材不足により経験の浅い人材が増加したことから、彼らに安全や整理整頓が重要であることを浸透させるのに腐心していました。そうした状況では『工場内を整理整頓できる新たなステッカーを開発しました』というコンテンツよりも、『従業員が自発的に行動するヒントがあります』というコンテンツのほうが読んでもらえるんです。これらをメール配信したところ、数百件のお問い合わせをいただきました。ターゲットを決め、テーマを絞り込むことで、より的確なアプローチができると考えています」(江成氏)

またサトーでは「個人からのメッセージスタイル」にこだわったパーソナライズ・メールを配信している。CTRは汎用的なメールが2.2%であるのに対し、パーソナライズ・メールは5~14%を維持しているとのことだ。

コンテンツの制作・運用ポイントについて、江成氏は以下のように語る。
「営業資料との違いを意識することが大事なのではないでしょうか。営業資料は、顧客のニーズ把握とそれに対する提案ができることを目的としています。一方デジタルコンテンツは、顧客が読んで自分(自社)ごととして腹落ちできる内容でなければなりません」(江成氏)