場当たり的なコンテンツ企画・制作は厳禁
セッションの冒頭では、サトーと3Mにおけるコンテンツマーケティングの課題が明らかにされた。
米国に本社を構える3Mは、一般消費者向けにテープやふせん、スポンジなどを販売するほか、産業分野向けの粘着テープやフィルム製品など、幅広いプロダクトを販売。早期よりMAを導入し、オンラインセミナーの集客から実施後のフォローアップまでのシステム化を進めてきた。一方、創業80年の老舗企業であるサトーは、自動認識技術を活かしたプリンタ・ラベル貼付機などを提供。近年はデジタルチャネル経由でのリード獲得に注力している。
そんな両社だが、それぞれが課題を抱えていたという。田中氏がカスタマーエンゲージメント部の部長に着任した直後の3Mでは、BtoBのビジネスモデルがある程度固定されていた。既存顧客との取引で一定の売上があったからだ。また、コンテンツマーケティングにおいては、製品マーケティング担当者が実行にあたることが多く、どうしてもメーカー視点で製品メリットを伝えるだけのコンテンツが生まれがちだったという。
一方サトーでは、大命題として利益率の向上があったものの、400人の営業部員では、多様な顧客をカバーすることが難しかった。さらに、社内には「マーケティング施策でリードを獲得する」という文化がなく、顧客の関心を引くコンテンツの企画・制作のノウハウがほとんどなかったと江成氏は話す。
これに対し、BtoBのマーケティング支援を行うLEAPTの戸栗氏は、「コンテンツの企画・制作ノウハウがなかったり、社内のコンテンツマーケティングに対する理解不足に悩んでいる企業は多いです。特に製造業のような機能や性能重視の社風では、顧客視点のマーケティング活動が難しいのではないでしょうか」と指摘する。
戸栗氏は、コンテンツ企画から制作・運用に至る上で重要なのは、定量的な振り返り検証と、継続的な運用を前提とした体制の構築だと語る。
「コンテンツの企画・制作で厳禁なのが、数字を軽視して場当たり的、感覚的に作業を進めることです。それを防ぐために、制作・運用のルールを定めていく必要があります」(戸栗氏)