社内理解を得づらいデジタルコンテンツは成果を明確に
こうしたコンテンツ制作・運用は、マーケティング部門だけでは実施できない。戸栗氏は「営業部やサービス部門など、他部門間との連携するためにはパートナーシップを結ぶことが重要です。得られる成果を明確にすることで、デジタルコンテンツ施策の目的を社内で理解してもらえるよう、尽力する必要があるのではないでしょうか」と説いた。

田中氏もこれに同意。対策として、3Mでは、デマンドジェネレーションのプロセスに必ずSMP(Sales&Marketing Partnership)というプロセスを実行しているそうだ。SMPとはマーケターと営業間でのスムーズなリードの流れを実現するための合意形成を指す。これがなければ部内や部外のミスコミュニケーションが発生し、結果としてデマンドジェネレーションの失敗にもつながる。
3MがSMPで合意した内容
- リード条件整理:どんなリードが欲しいのか
- MQL定義:それをどうMQLとして定義するか
- リードルーティング:リードはどう扱うか
- レポーティング:デジタルマーケティングの見える化・改善

最後に田中氏は、動画を使ったビデオ・マーケティングの可能性に言及した。テキストコンテンツと比較し多様な見せ方ができる動画コンテンツは、その重要度が増しているという。制作には専門ノウハウが必要であることから、外注の制作会社に任せる傾向が強い。ところが、すべてを外注に委託してしまうと、「コストだけがかさんで誰にも見られないコンテンツ」になってしまうと田中氏は話す。

こうした事態を回避する施策として田中氏は「カスタマージャーニーに立ち返り、動画のターゲットや訴求ポイント、CTA(Call to Action)など主要なポイントは社内で明確にしておく。そうすれば制作を外注しても、的外れな動画にはならない」と指摘した。
戸栗氏は「マーケティングで陥りがちなのが、ツール先行になることです。しかし、デジタルに強い組織を構築するには、現状と課題の把握を行いあるべき姿の全体像を作ることが大切なのではないでしょうか」とコメントし、セッションを締めくくった。