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MarkeZine Day 2020 Autumn

リーチは買えるが、リアクションは買えない 広告主が紐解く新R25と北欧、暮らしの道具店のメディア活用

共感ポイントの創出が広告成果に結びつく

 次に、メッセージをどのように届け、熱量の高いファンを作っているのか、両メディアがタイアップ事例を紹介した。

 高山氏が紹介したのは、ドリップコーヒーシステム「DRIP POD」との取り組みだ。本事例では、記事内バナーのCTRは他媒体の3倍となり、販売台数も想定を超えるものに。その背景には、商品が生活者に選ばれる理由を企業と共に見つけるという姿勢があった。

 高山氏は、選ばれる理由には、「信じられる理由」と「共感される理由」の2つの要素があると分析する。1つ目の「信じられる理由」は”こんなこだわりがあって開発した”というようなもので、DRIP PODの場合は「プロのハンドドリップの技を再現した本格的なコーヒーが飲めるマシン」だった。だが、それだけでは選ばれる理由にはならないと高山氏。そこで重要になるのが「共感される理由」だ。

 「共感される理由」は、結果的に、商品やサービスの情緒的価値であることが多い。DRIP PODにおいては、それが「ボタン一つで暮らしに余白をくれて、心と体を労ってくれる」だった。タイアップでは、自社の商材が選ばれる理由を見つけ検証していくことが、成果につながるのではないかと高山氏は言う。

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 本事例は様々な切り口で展開したことに加え、北欧、暮らしの道具店での販売も行った。原氏が「メディアは認知、興味・関心で止まるが、最後のコンバージョンまでいくんですね」と述べると、高山氏は「我々の場合、お店として物を売る商品ページを日々作り込んでいます。だから、どうすればお客様が買いたいと思ってくれるかというノウハウがあるんです。それを広告コンテンツでも応用することで、離脱の少ないパーチェスファネルが実現できています」と強みを語った。

「誰が何を言うか」 リアリティの設計がコンテンツの鍵

 一方宮内氏は、新R25のタイアップでは「人」に起点を置いた訴求を行っているが、著名人を起用するだけで話題になるということはなく、「誰が何を言うか」、つまり「商材やサービスと出演者のマッチング」が重要だという。事例として、プログラミングスクール「テックキャンプ」とのタイアップを紹介した。

 新R25は、プログラミングに知見のあるホリエモンこと堀江貴文氏を起用。”プログラミングは超簡単”と同氏が語ることで、説得力を得た。

 「著名人が“良い”と言ってくれた情報そのものに価値があると考えています。どういう企画であれば出演者がその商材やサービスに対しポジティブに感じてくれるか、リアリティのある広告を設計することが我々の強みです」と話す宮内氏、記事化後の動画作成、SNSや広告での拡散も進めることで、リーチ数を担保しながら、理解促進を深めるスキームをとったという。

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 これについて高山氏は、「キャスティングされた人自身の言葉で話してもらいつつも、着地するところは当初描いたところに落とし込んでいくーー高い編集スキルが必要ですね」と感想を述べた。宮内氏は自社の編集スキルに胸を張りつつ、「我々の起用は広告塔としてではなく、ご意見番というイメージです」と説明した。

 事例紹介中、タイアップのKPIについて話がおよび、高山氏は「PVやユニークユーザー数、どのような態度変容をどれくらい得られるか、といった指標がないと担当者の方が社内で企画を通せないため、”守りのKPI”として基準を設けています」と語る。また、新R25では内部としてはSNS上での反応をKPIにしつつ、クライアントとはそれぞれの施策がどれだけ貢献したのかコンバージョンを見ているという。「1つの施策を通す時は、PVやCTRなどを出しています」と宮内氏は説明した。

 その一方で、「本質的なKPIはお客様のリアクションではないでしょうか」と高山氏は投げかける。「リーチは買えますが、リアクションは買えません。リアクションは数字ではない価値。そこをクライアントに信じてもらえるかが重要です」と続けた。

 原氏はこれに賛同。「作り手のKPIとクライアントのKPIは必ずしも一致するものではありません。極論では、目指す方向性は同じでなくても良いと思っています」と語った。

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広告であることをあえて隠さずに得た信頼性

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/28 07:00 https://markezine.jp/article/detail/34307

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