広告であることをあえて隠さずに得た信頼性
最後にメディアとしてのブランディングについて、それぞれの見解を語った。
宮内氏は、新R25が「人を立てる」広告の形を取るようになったのは、2019年ごろからだと話す。その背景について、「情報が溢れ返っている時代において、人々が判断する基準に、“誰がそれを言っているのか”という新しい判断軸が生まれました。たとえば、製品の開発ストーリーを伝えたいという場合は、著名人に出演してもらうのではなく、製品の担当者が熱量を持って語ったほうが伝わることもあります」と説明した。
その過程では、著名人やインフルエンサーを起用しても望んだような成果が得られないこともあった。そこで行き着いたのが、広告であることを隠すことで興味を持ってもらうのではなく、商品やサービスを中心に訴求すること。次第に新R25らしい広告として、受け入れられるようになった。
高山氏は、「信頼性」が成功の土台にあると分析。読者への信頼を培ってきたことで、広告もおもしろいコンテンツとして読まれるのではないかと語った。宮内氏は「リアリティを作り続けることが、読者の信頼につながっているのではないでしょうか。今後もそこは大事にしていきたい部分です」と述べた。

社員の8割は「元お客様」 ブランドの一貫性を保つ組織体制
北欧、暮らしの道具店は、ECから始まり、メディア事業を拡大してきた経緯を持つが、高山氏は「フィットする暮らし、つくろう」という企業ミッションを重要視しているという。
「『フィットする暮らし』とは、他人のものさしではなく、自分が心地良かったりぴったりくる暮らしのことですが、その考え方を記事や動画、広告コンテンツにも落とし込んで配信しています。どんな手法になってもここはぶれることがありません。これがブランドとしての第一歩であり、お客様と共有したいと思う動機にもなっています」(高山氏)
だが、事業が広がり、人が増えると一貫性や思想の共有は難しくなる。そこで要となるのは「採用」だという。北欧、暮らしの道具店の場合、入社する人の約8割は「元お客様」。これについて高山氏は、「既に共感してもらっているし、お客様の気持ちもわかっている。お客様だった頃の気持ちと、今働いている自分の揺れの間をどんどん深掘りしてブランドを作っています」と語った。
最後に原氏が「読者と約束しているものは?」と聞くと、高山氏は、「お客様の情緒的課題を解決することを大切にしている」と答えた。自分の暮らしはこのままで良いのかな、といったモヤモヤした気持ちを一時的にでも癒したり、こんな方法や考え方もあるのかと感じてもらったり、前進してもらうきっかけを提供したいという。
一方宮内氏は、「通常のコンテンツでも広告コンテンツでも、ビジネスパーソンが新R25のコンテンツに触れたことで前向きな気持ちになることを大切にしている」と語る。クライアント、キャスト、作り手、ユーザーの4者全員が幸せになるものを作っていきたいと締めくくった。