予算はどう通す? ファン施策におけるQ&A
徳力:さて、ここからは、視聴者の方とディスカッションをお願いできればと思います。
Q. コロナになってファンミーティングはどうなりましたか?
菅根:今年予定していたイベントは延期になりました。これから、オンラインのファンミーティングとして再始動を計画中です。元々は実際にファンの方とお会いするというところに重きが置かれているファンミーティングですから、実際にお会いできなくなるということはあるのですが、オンラインイベントには、場所や時間の制約から解放されるところですね。
どうしても東京になってしまいますから、全国のファンが集まりやすくなる面では良いことだと思っています。もちろん、社内でも部署を問わず参加しやすくなる可能性もあります。
Q. ファン同士がうまく盛り上がる、繋がるというふうに仕向けるには何かいいアイデアがありますか?
菅根:あまりこちらからむりに仕向けるということはしないですね。ファン同士のつながりついては個々に委ねています。
初対面同士のファンが話しやすくなるための工夫としては、ミーティングで最初に自己紹介するときに、それぞれのおもちのエピソードをお話しいただくといいみたいです。たとえば、「『カルピス』がお中元でくるととてもうれしかった!」などの共通体験があると、「わたしもそうでした」などとすぐに話しやすくなります。それから、ファンならではで、マニアックなクイズ大会などをすると熱心に協力するので意気投合しやすいです(笑)。
それから、リアルで会ったときもハッシュタグで繋がり合うという面もあるのでSNSをキーにして、普段からファン同士のコミュニケーションが作りやすいハッシュタグの提案などをしていくのもいいと思います。
Q. ファンベース施策のための予算はどのように通すのですか?
菅根:これは、個別の企画に対して予算を申請しないですむように、最初の段階でトータルのプランニングと共に、これらの広告費用全体からごく一部をファン施策にあてる、というように承認いただきました。ですから、新たに予算を取るというよりは、既に部署でもっている予算のなかから一部を使うよ、とするとやりやすくなると思います。
継続するために定量的な実績なども求められるということはあると思いますが、これも予算が小さいとはいえ、「じゃあ口コミで何本売れたの?」という測り方はできないですよね。そのため、先ほどの複数の目的とインナーブランディングの面を重視して、ブランド啓発になるとお話しています。まわりの社員を巻き込みながら、ファンと会って商品企画に役立てることができた、調査会社からの数値ではない、本当のファンの声が聞けて大変はげみになった、というような定性的な価値を広く社内で浸透させていくということが有効だと思います。