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CPAが最大約65%低下!スマートニュース×セプテーニ、新広告「カルーセル広告フォーマット」開発秘話

 ニュースアプリ「SmartNews」を提供するスマートニュースは、新広告プロダクトとして「カルーセル広告フォーマット」(以下、カルーセル広告)をリリースした。同プロダクトは広告主からの関心も高く、業界を問わず幅広いシーンでの活用が期待される。今回は開発の裏側とその詳細(サービス内容やメリット)について、開発に携わったSepteni Japanの本間氏、仙波氏、町田氏とスマートニュースの小越氏、達川氏に話をうかがった。

新開発のプロダクト「カルーセル広告」の概要と魅力とは?

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回リリースしたカルーセル広告のメニュー概要と特徴について、教えてください。

小越(スマートニュース 以下、SN):カルーセル広告は複数のクリエイティブを用いて、商品やサービスの魅力を訴求できるフォーマットです。マンガサービスの訴求においてマンガのコマをストーリーとして読ませたい時や、人材サービスの訴求において複数の求人案件を紹介したい時などに、効果的に使っていただけます。

小越(SN):「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションを掲げているスマートニュースでは、「コンテンツとしての広告(Ads as Contents)の実現を目指す」という考え方に基づいて広告事業を行っており、ディスプレイ広告や動画広告という枠に留まらない広告主・ユーザー双方にとって価値のある体験を目指しています。今回、商品やサービスの魅力をより効果的に伝えられるメニューとして、カルーセル広告の提供を始めました。

スマートニュース株式会社 プロダクトディレクター 広告担当 小越崇広氏

MZ:ちなみに、現在のMAU(月間アクティブユーザー)はどのくらいになるのでしょうか?

達川(SN):2019年8月の時点で日米合算MAUが2,000万人以上、ダウンロード数は5,000万を突破しました。また、直近では新型コロナウイルスの影響により、ニュースや正確な情報に対しての関心が非常に高まっています。そうした社会の流れにも後押しされ、現在もMAUやユーザー数、インプレッション数が増え続けています。

BIG5の次のメディア開拓を目指して

MZ:今回カルーセル広告の開発に至ったきっかけを教えてください。

達川(SN):2019年の年末ごろに、セプテーニ様から「新しいプロダクトを一緒に作れないか」と相談いただいたのが開発のきっかけです。

MZ:セプテーニはなぜ、スマートニュースにカルーセル広告の開発を持ち掛けたのでしょうか。

本間(Septeni Japan 以下、SEP):スマートニュース様とは元々付き合いが長く、広告事業をスタートされた時から販売に関わらせていただいています。そのため、我々も当初から重要なメディアパートナーとして位置付けており、以前より様々なご相談をしておりました。

Septeni Japan株式会社 メディア本部 本部長 本間崇司氏

本間(SEP):また、大手の広告プラットフォーマーに続く広告配信先を開拓したいと考えており、その筆頭格がSmartNewsでした。

 そして、私たちが向き合っている広告主様のニーズを考えた時、「カルーセル広告」がSmartNewsにあれば、より一層喜んでいただけるという確信があったのです。

カルーセル広告を成長させた仮説と検証

MZ:カルーセル広告のテスト配信が開始してから、公式リリースまでは紆余曲折があったようですが、両社でどのように成果の出るプロダクトへ改善していったのかを教えてください。

小越(SN):一般的に、新しい広告プロダクトは、様々な制限を乗り越えながらリリースするので、予期せぬ問題が起こることも珍しくありません。

 我々はプロダクトが一度形になったあともより良い効果が出るようにPDCAを回し続けます。それは今回のカルーセル広告においても同様でした。プロセスにおいて、セプテーニ様には根気強くテスト配信のご協力や改善のためのご意見をいただきました。そのおかげもあり、公式リリースした現在においては、効果面でも広告主や代理店の皆様に喜んでいただけるプロダクトになっているかと思います。

本間(SEP):サービスの魅力をより多く訴求できるカルーセル広告と、独自のユーザー層が多く存在するSmartNewsの組み合わせには大きな可能性を感じていたので、思うような数値が出ないフェーズでも確信をもって進められました。スマートニュース様からも「各数値を分析し、仮説を立てて検証する」ためのコミュニケーションが常に行われていたことや、今までの信頼関係があったこともあり、常に同じ目線で改善に取り組めました。

配信面の見直しで広告効果が改善

MZ:具体的にどのように改善を進めたのでしょうか。またそれによってどのような変化が起きたのでしょうか。

仙波(SEP):配信面を変えたことでCPMを大きく下げられたのは、効果改善への大きな前進だったと思います。配信開始当初は、特定の業種を中心に、相性が良さそうなチャンネルに配信面を絞っていました。

Septeni Japan株式会社 メディア本部 メディア&ソリューション部 プロデューサー 仙波学氏

仙波(SEP):しかし配信面を絞ると、ユーザーの滞在時間に対して配信できるタイミングが制限されてしまい、CPMが高騰する状態に陥ってしまいました。これでは、どれだけCTRやCVRそしてユーザーのLTVが高くても、KPIを満たすのが難しくなり、一部の広告主にしか活用していただけなくなります。そこで、仮説検証の末、配信面をSmartNews全体のチャンネルへと広げました。それにより、CPMとその他の数値とのバランスがとても良い状態に落ち着きました。こうしたプロセスを経て、多くの広告主様に活用してもらいやすい広告プロダクトになったと考えています。

 他にも要因はありますが、カルーセルの配信面見直しを行う前と比較すると、単月の広告売り上げも130%程度に上がっています。今ではその内の3~4割ほどがカルーセル広告で構成されています。

クリエイティブで勝負する武器が増え「やってみたい」という広告主が増加

MZ:カルーセル広告に対する、広告主の反応はどうでしたか?

町田(SEP):今までSmartNewsの広告を運用するにあたっては、テキストクリエイティブに重点を置いていました。ニュース記事と並ぶ形で広告が配信されるので、ユーザーは記事の見出しと同様にテキストから広告の内容を判断するためです。

 それがカルーセル広告では複数枚の画像クリエイティブを使って、これまでとはまったく違うアプローチもできるので、提案や検証の幅が広がりました。多くの広告主様に「やってみたい」と興味をもっていただくことが多くなったと肌で感じましたね。

Septeni Japan株式会社 メディア本部 メディア&ソリューション部 プロデューサー 町田氏

町田(SEP):また実際に配信した後に広告主様から喜びの声をいただくことが多く、それも嬉しかったです。

仙波(SEP):今回カルーセル広告が加わったことで、商品・サービスの魅力を伝える表現方法は圧倒的に広がったと思います。今では業種問わず多くの広告主様からご要望いただいており、私たちからもご提案しやすくなりました。広告主様から「こういうクリエイティブで試したい」とご相談していただくケースも増えています。

コスメ案件でCPAが最大約65%低下!他案件でもCPAの大幅削減が続出し広告主からの注目度がアップ

MZ:SmartNewsの「カルーセル広告」はどういった広告主を中心に利用されているのでしょうか。

町田(SEP):最初は、弊社でも知見を多く蓄積していたマンガや人材サービスを扱う広告主様から開始しました。その後、それ以外の業種でも良好な実績が作ることができ、導入案件数は業種を問わずかなり伸びましたね。

MZ:それだけ導入件数も増えたということは、配信が上手くいった事例も多く出てきているということでしょうか。

達川(SN):劇的に改善した例で言うと、通常フォーマットでの配信に比べマンガアプリ案件で約65%、人材案件で約45%CPAを削減できた事例がありました。また、通販コスメ案件でも、65%程度CPAが下がるケースがありましたね。

 劇的なものから緩やかなものまで改善の幅はありますが、想定していたよりも幅広い業種の広告主様に効果でお戻しできるようになり、とても嬉しく思っています。特にCPA重視の案件では、業種を問わず一度は試していただきたいプロダクトです。

達川(SN):テスト配信を重ねる中で広告主様や代理店様、そしてスマートニュースユーザーの皆様にも喜んでもらえる広告プロダクトになる可能性を感じました。

スマートニュース株式会社 アドチャネルセールス 達川由貴氏

カルーセル広告の運用のコツ

MZ:カルーセル広告を運用する際のコツを教えていただけますか?

町田(SEP):多くの情報を伝えることができるカルーセル広告は、検証できる要素が多く、その分効果改善の幅も大きいと感じます。そのため、クリエイティブに重きを置いてPDCAを回すことがポイントだと考えています。

 たとえば、マンガ案件の検証の結果、「クリエイティブの枚数の多さ」よりも「クリエイティブの質」つまり、「いかに興味を引く場面を凝縮してクリエイティブに入れるか」がカギとなることがわかってきました。また各クリエイティブの下部にアプリへの誘導枠を入れるよりも入れないほうがCTRは高くなる傾向があります。

 このようにクリエイティブのPDCAを日々回しながら、より良い提案に向けた知見を貯めています。カルーセル広告を「コンテンツの1つとしていかに魅力的にユーザーに届けるか」という視点が、カルーセル広告の運用を成功に導くには欠かせないと思っています。

企業とのシナジーで新しいプロダクトを生み出す

MZ:今後の展望について教えてください。

小越(SN):今回の取り組みは代理店様からご提案いただき、一緒に協業する形で実現しました。広告主様にとっても我々スマートニュースにとっても良いものができて楽しかったので、すごくいい仕事になりました。

 最後にもう一つ、SmartNewsではクーポンチャンネルがお陰様でご好評いただいております。利用者数も多く、パートナー企業様や既にご出稿いただいている広告主の皆様から送客力を非常に評価していただいております。これを活かした広告プロダクトも今後増やしていきたいと思っているので、協業いただける代理店様が増えるといいなと思っています。

本間(SEP):今回の取り組みは私たちの中でも、本当に素晴らしい成功事例だと思っています。業界の方向的には、今後Cookieレスやデータの考え方が厳しくなってきます。その中で、独自のプラットフォーム・掲載面・メディアの強さなど、SmartNewsは素晴らしい特長をもっています。これからも、広告主様のニーズを適切にスマートニュース様に届けて、一緒にまたおもしろい企画を仕掛けていきたいと思っています。

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この記事の著者

西原 小晴(ニシハラ コハル)

 京都府立大学農学部出身。前職は大手印刷会社にて化学物質管理のシステム開発&管理者。退職後、化学・建設・環境法規制などの知識を活かして大手企業のライティングを行う。現在はリードナーチャリング、セールスライティングをメインとするマーケターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/02 11:00 https://markezine.jp/article/detail/34538