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イベントレポート

HubSpot最高顧客責任者が考える“顧客中心の事業活動”の作り方/INBOUND2020レポート

計画達成に必要なシステムロードマップを作成

ステップ4:システム基盤を最適化する

 戦略に一貫性がないところにシステムの一貫性がないのはごくごく当たり前のことであるように、HubSpotでも同様にシステムに関しては苦労があったという。そのため、前章で伝えた戦略が出来上がったのちに、3年計画の達成に必要なシステムロードマップを作成し、プロジェクトの優先順位を構築。進捗状況や情報伝達、透明性を確保するよう心がけたという。

HubSpotにおけるシステムエクセレンス”優れたシステム基盤”の定義
HubSpotにおけるシステムエクセレンス”優れたシステム基盤”の定義

 システムオーケストレーションについては、本レポートの後半で詳しく紹介する(システムオーケストレーションとは、オーケストラに例えてテクノロジーをどのように調和させるかを表現する言葉。近年マーケティングテクノロジー数の爆増により、システムオーケストレーションの重要性が米国では人気の話題になっている)。

ステップ5:重要なことを定量的に評価する

 ヤミニ氏は「COOやCROと肩を並べるCCOとして、自社にとってレジリアントな成長をオペレーションレベルでどのように測っているのかと聞かれることが多くある」と述べ、それに対しては以下のような指標を使って自社の成長を定量的に測っていると説明した。

フライホイールのステージごとの指標
フライホイールのステージごとの指標
Attract(惹きつける):国や地域別のトラフィック、有望リード数、有望リード数と営業接触率、マーケティング活動接点で90日間以内に創出されたMRR
Engage(信頼関係を築く):創出取引数、成約数、成約率、セールスサイクル日数、ARR、顧客平均単価(ASP/ARPA/ARPU)
Delight(顧客満足を築く):カスタマーダラーリテンション率、ネットダウンサイド率(Net downside rate)、レベニューリテンション率

 以上、2020年以降、企業がどのようにレジリアントな成長をするかの方法についてお伝えした。ここからは、HubSpotのVP of Marketingであるジョン・ディック氏による「How HubSpot Used HubSpot to Build a $650MM+ Revenue Business(HubSpotが6.5億ドル以上の売上を実現するために、どのようにHubSpotを使ったか?)」のセッション内容を紹介する。

フライホイール型の組織で急成長を成し遂げるには

 この写真は、白衣を着たジョン氏が、これまで行ってきたファネル活動(彼は元々ファネルチームの責任者だった)をぶっ壊して、フライホイールチームに移行するための社内パフォーマンスとして、いつも机の上に置いていたファネルモデルをミキサーにかけて破壊するシーンの社内写真だ。筆者の元上司でもあったジョン氏は、非常に気さくで、このようなパフォーマンスがとてもうまい(元劇場コメディアン)。

 皮肉なことだが、同社は現在ではソフトウェアスイート企業からプラットフォーム企業へ変化したのだが、近年までは根幹のビジネスオペレーションに自社スイートを用いることなく他社ツールを用いていた。本セッションの焦点は「Unified Ops + Systems」となっており、「Unified GTM Strategy」と「JUnified Flywheel」に関しては、前述のヤミニ氏のセッションのレポートを参考にして欲しい。

本セッションの伝えたいこと”Unified Ops + Systems”
本セッションの伝えたいこと”Unified Ops + Systems”

 また、本セッションでは通常、すべてのコンテンツで最重要視される“非ユーザーにとっても役に立つ客観性を持ったコンテンツ”とは少し立場が離れ、HubSpot自体のことが話の中心となっており、どの様にスタートアップからスケールアップまで到達したか伝える内容であった。本レポートは可能な限り、事実と客観性を分離してお伝えしたい。

 元々同社はIPO前はユニコーンと呼ばれ、上場後も年間成長数を確実に維持しながら猛スピードで成長。今年に入り時価総額100億ドルを記録し、さらなる急成長を続けているが、あれやこれや好き放題状態で急成長を続けてきたスタートアップフェーズから脱して、スケールアップフェーズに入るには様々な課題があった

同社のスタートアップからスケールアップまでへの数値変化、年間収益、従業員数、顧客数、支社数、米国外からの収益割合
同社のスタートアップからスケールアップまでへの数値変化、年間収益、従業員数、顧客数、支社数、米国外からの収益割合

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スケールアップフェーズに入るためには必要なこと

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この記事の著者

戸栗 頌平(トグリ ショウヘイ)

株式会社LEAPT(レプト)
代表取締役

複数BtoB企業と起業を経て、マーケティングコンサルタントとしてBtoB専業マーケティング代理店へ従事。その後、外資SaaSのユニコーン企業の日本法人立ち上げを行い、法人営業開始後マーケティング責任者として創業期の日本法人を牽引。現在、LEAPTにてBtoBマーケティング支援事業を行う。海外SaaS、マーケティング、カンファレンス等に精通。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34551

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