脳波測定データを用いてクリエイティブを分析するADVA CREATOR
――ADVA CREATORではどのようにクリエイティブを分析するのでしょうか?
平尾:ADVA CREATORは、脳波解析データなどを用いて定量的にクリエイティブの効果測定から制作までを行います。具体的には、クリエイティブへの注目度や感情の起伏を脳波解析によりデータ化し、脳波データとアンケートによる定性調査データを変数として分析を行うことで、クリエイティブの効果を定量的に可視化します。その上で、分析結果から特定したクリエイティブの改善点を反映してクリエイティブの制作を行います。
平尾:たとえば、あるブランドのテレビCMに対する脳波測定データとアンケートデータに対する分析から「CM終盤で感情の起伏が大きくなる脳波の波形が描けると、製品の購買意欲が高まる」という結果が見えたとします。その上で、そうした脳波の波形が描かれるクリエイティブの要素を分析し、「知っているタレントが出ていると、終盤に向けて感情の起伏が大きくなる脳波を描く」という傾向が見えたとします。すると、「このブランドのテレビCMでは、新人よりも認知度の高いタレントのキャスティングを優先しよう」といった判断ができるのです。
クリエイティブは広告の価値を最大化する重要なファクターですが、従来その評価がデータ化できず、再現性の高いクリエイティブ制作ができない状態がありました。ADVA CREATORを使えばテレビCMクリエイティブの効果が可視化されるため、このように再現性の高いクリエイティブ制作が可能になるのです。
アメリカが先行していますが、グローバルで考えても、クリエイティブの定量評価は止められない流れです。クリエイティブのこれまで可視化されていなかった面が、データサイエンスによって可視化できるようになります。サイカは、この領域の先駆けになりたいと考えています。
クリエイティブ成果のデータ化が、クリエイターの活躍を支援する
――クリエイティブの効果がデータ化されることで、広告主も判断がしやすくなりますね。
松田:その通りです。もちろんアカウントプランナーやクリエイター達は、これまでも右脳的な感覚の話を左脳的な説得材料に変え、広告主へ説明するよう心がけていたでしょう。しかし広告主には、「本当に大丈夫だろうか」といった不安が、どうしてもつきまとうものです。
そこにADVA CREATORがあれば、「このクリエイティブが適していますよ」とデータを持って説明できますし、それによって宣伝部も判断がしやすくなります。個人的には「良いクリエイティブが通る確率がすごく高まるだろう」と、ワクワクしています。
平尾:松田さんがおっしゃるように、ADVA CREATORはクリエイターの可能性を狭めるのではなく、広げるためのものです。「最低限この要素を満たせば事業成果が出る」とわかっていれば、クリエイターはむしろ自由に、クリエイティビティを発揮できるのではないでしょうか。
そこで、広告業界を知り尽くしている松田さんのお力添えをいただいて、ADVA CREATORによる分析から、クリエイティブ制作のオペレーションまでを整えたいと考えています。広告主もクリエイターも、みんながハッピーになる座組を作りたいのです。