SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

D2Cの代表ブランドAnkerが初のテレビCM出稿、その意図&成果は?

テレビCMによって得られた成果は?

MZ:テレビCMを出稿したことで得られた成果はありますか?

猿渡:テレビCMを出稿する前から好調ではありましたが、出稿期間のAmazonでの売れ筋ランキングでは割引などをせずに1位をキープできていました。また、定性的なところではTwitterなどでもポジティブなコメントを寄せていただいていて、私個人のTwitterアカウントでテレビCMの動画を載せた際も多くの反応が集まりました。詳細な結果に関しては、現在広告代理店の方と一緒に検証を進めている段階です。

 また、他国のマーケティングチームから「いい動画だからうちでも使わせてほしい」という声も上がってきたのはうれしかったですね。通常外資企業だと本国から共有されたクリエイティブをローカライズして発信していくのが一般的ですが、Ankerグループでは日本法人であるアンカー・ジャパンが裁量権を持って日本独自の施策を仕掛けることがほとんどです。そのため、今回のようなおもしろい事例が作れたのではないかと考えています。

メッセージ起点でクリエイティブを作る

MZ:今回の施策を通じて得られた学びはありますか。

猿渡:オフラインでの売上もテレビCMがスタートする前から好調だったので、まだ明確な相関が出せていないものの、販売チャネルを広げながらコミュニケーションにきちんと投資すると売上が付いてくることが今回の取り組みでわかりました。

 また、今回のように大きな金額の投資をすることで、セールスも流通向けに棚取りの提案がしやすくなるなどの副次的な効果も見られたのは勉強になりました。

 そして、日本のテレビCMの場合有名人を起用するケースが多い中で、あえて起用せずにいいクリエイティブを作ることができたのは今後の知見になったと思います。

MZ:いいクリエイティブを作れたとのことですが、いいクリエイティブを作るには何が必要なのでしょうか。

猿渡:まず伝えたいメッセージを明確にすることですね。かっこいいものを、話題になるものを、とクリエイティブの中身から入ってしまうと本質的に伝えたいことがずれる、もしくは十分に伝わらない可能性があります。シンプルでかっこいいテレビCMがハマる企業は、そもそものプロダクトとサービスが素晴らしくて、そこにトンマナを合わせた結果、かっこいいクリエイティブになっているはずです。

 そのため、何が訴求したいのかを棚卸しして、それを最大限表現する方法を徹底的に考えるということが重要です。我々も水を落とすスピードやお湯の色、急速充電のセリフなど細部までこだわり、合理的な視点をもってクリエイティブを詰めていきました。伝えたいメッセージが明確だったからこそ、軸をぶらさずに洗練していけたのだと思っています。

今後も販売チャネルの拡充と新規層のアプローチを強化

MZ:今後のAnkerブランドのマーケティングにおける展望を教えてください。

猿渡:今回のテレビCMを通じて、「急速充電と言えばAnker」という認知を広げることができましたが、まだまだ訴求できる層はいると思うので、より幅広い層にアプローチしていきたいです。

 また、購入できる場所をオンライン・オフラインともに広げていき、お客様が買いたい場所にAnkerがある状態を作っていきたいです。そして、ただあるだけでは他の製品に埋もれてしまうので什器や売り場への投資も行い、店舗単位での売上も拡大していきたいです。

MZ:今回のテレビCMは10日間のみの配信でしたが、今後も制作したクリエイティブは活用していくのでしょうか。

猿渡:今回のテレビCMは制作費をきちんとかけて作ったので、今後もYouTubeなどのクリエイティブとしても使っていきたいと考えています。また、Ankerグループには完全ワイヤレスイヤホンやスピーカーなどのオーディオ機器を扱うブランドもあるので、毎月積極的にテレビCMを出稿していくというよりは、まずセールスを継続強化して土台を整えつつ、バランスを見ながら出稿すべきタイミングが来ればまた検討したいと考えています。

MZ: D2Cを軸にしたブランドがキャズムの谷を越える上でテレビCMは欠かせないものになりつつある印象です。その中で、アンカー・ジャパンの事例は非常に参考になるのではないでしょうか。猿渡さん、ありがとうございました。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/01/13 07:00 https://markezine.jp/article/detail/35211

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング