「顧客絶対主義」を実現する体制が整っていなかった
2020年10月、ライフスタイル雑貨、アパレル、ファッショングッズなど幅広い商品を販売するECモール「Otto(オットー)」が「Northmall(ノースモール)」として生まれ変わった。ブランドリニューアルに際しては、「商店街の雑貨店や海外にある市場のように、ぶらりと立ち寄れてワクワクする商品と出会える場をつくりたい」という想いのもと、従来の商品販売に加え、ライフスタイルに関するコラムをまとめた「Northmall+(ノースモールプラス)」や、ショッピングモールのイベントのような楽しいひとときを過ごせる動画を集めた「Norcafe(ノルカフェ)」など様々なコンテンツも追加された。
元々旧Ottoはカタログ通販から事業を開始したこともあり、Northmallのメインユーザーは60~70代で、電話による注文が約5割を占めているという。ユーザーの拡大とともにECサイトからの注文も増えてきており、現在は受注の4割弱がECサイト、FAXやハガキなどの書面による注文が1割強という状況だ。
ECサイトおよびSalesforce製品の管理・運用を担当するノース・モール事業部門 デジタルソリューション マネージャーの小山欣泰氏は、以前抱えていた課題について次のように語る。
「これまで、ECサイト、電話、FAX、ハガキなどお客様との接点が複数あることに加え、弊社内の組織も各接点でわかれており、使っているシステムもバラバラでした。そのため、お客様の情報が統合されておらず、一貫したコミュニケーションが取れていませんでした。現社長が就任した際、『顧客絶対主義』という行動規範が掲げられたのですが、それを実現できる体制が作れていなかったのです」(小山氏)
顧客接点の要である「電話対応」にも課題
現在全体の5割を占める「電話注文」にも課題があった。電話対応を行うコールセンター(同社ではコミュニケーションセンターという)の管理・運営やメンバーのマネジメントなどを行うコミュニケーションセンター センター長の中西祥子氏は、以前から顧客情報を正確に把握し、期待値を超えるおもてなしをすることでリピートや売り上げ向上につなげたいと感じていたという。
「たとえば一年ぶりにお電話してくださったお客様にはご注文のきっかけをお聞きしたり、生まれ変わった『Northmall』のコンセプトを丁寧にお伝えしたりしたいですよね。一方で、毎日お電話をくださるお客様にはお礼の言葉を伝え、過去にご購入いただいた商品の感想などを聞ければいいのにと思っていました」(中西氏)
ところが従来のシステムでは住所、氏名、電話番号や会員ランクといった基本的な情報しかわからず、コミュニケーターは各ユーザーへの対応履歴がわからないまま、毎回ゼロからヒアリングしなければならない状態だった。
こうした課題を解決すべく、同社が導入を決めたのが「Salesforce Service Cloud」(以下、Service Cloud)と「Salesforce Commerce Cloud」(以下、Commerce Cloud)だ。元々2015年ごろから一部のブランドで導入していた「Salesforce Marketing Cloud」(以下、Marketing Cloud)との連携を見越して、Salesforce製品に決めたのだという。
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