アンバサダー発の企画も実施
徳力:前夜祭イベントの盛り上がりを受け、他にはどんなことを行うことになったのでしょうか?
溝口:企画を出していただく会議を追加で2回ほど行ったのですが、そこからたくさんのアイデアが生まれました。たとえば「台風があっていちご農家さんが被災されたので募金をしたい」というリクエストを受け募金箱を作ったり、写真を撮るときに映えるグリーンウォールやおすすめのPOPを寄せ書きいただいたり。また、プロモーション動画風のビデオを手作りしてくださった方もいらっしゃいましたね。

徳力:ビデオまで! 募金箱もいちご型パネルになってるんですね。タイミング的にはこういう追加の要望は大変そうですが……。
溝口:催事場レイアウトは既に決まっていたため調整は必要でしたが、発想も視点もいちごアンバサダーならではで、実現しがいがありました。いろいろやっていただいたことを社内報告すると、上は「お金払ったんでしょ」と最初は勘違いしていましたね。
徳力:お金は支払ってないですよね。
溝口:お金はまったく払っていないです。むしろ本当に自発的にいろいろとやってくださって。カタログを近所の有名喫茶店に置きにいって、店員さんにも「阪神百貨店に来てくださいね!」と宣伝して回ってくださったりしたそうで。喫茶店の方にお話を聞いて知り、びっくりしました(笑)。
徳力:自発的に営業活動をしてくれていたのですね(笑)。理想的なアンバサダーですね。なぜここまで成功したのだと思いますか。

溝口:一人一人のアンバサダーの希望や得意分野で役割分担をしたことと、コミュニケーションを密にとったことが大きいと思います。これらを行うには、みなさんのSNSを小まめにチェックしておくことも重要で、そこは安田さんがつぶさに見て、「○○さんがこんなこと言ってたよ」と逐一シェアしてもらっていました。
安田:実は、最初はアンバサダーが何かをしてくれる、という期待はほとんどありませんでした。「おもてなしイベント」で喜んでいただいて、ちょっと口コミが増えたらいいな、くらいだったんです。ところが蓋を開けてみたらすごい熱量で応えていただけて。2021年のいちごバレンタインに向けては、がっつり最初から企画に参加いただいています。LINEでグループを作って企画会議などを実施しています。
徳力:ファンの熱量の高さやコミットの高さは、テーマを絞ったのがよい方向に働いたのかもしれませんね。もちろん、担当者お二人の熱量も関係していると思います。
口コミ数は微増ながら、想定最大リーチ数が2倍に
徳力:売上促進がテーマでしたので、阪神百貨店さんではどんな効果測定をされたのか、あるいはやりたいけどできていないことがあればどうするといいか、考えていきたいと思います。
溝口:まず、昨年とほぼ同じ出店規模で、全体の売上は伸びていますので、口コミ効果は十分にあったと思っています。ただ証明まではできていません。わかりやすい数字として、私達のInstagramアカウントのフォロワー数がすごく増えました。それから、口コミ数は前年度に比較すると微増ですが、想定最大リーチ数が2倍以上に伸びています。それだけアンバサダーの方の投稿が遠くまで届いたのでSNSにおける口コミ効果は非常によかったということがわかります。

溝口:ただ、これをそのまま売上への貢献としての測定値にはできないので、何らかの指標の出し方があるといいなと思っています。