ターゲティング
インターネット広告の歴史は、ターゲティング技術の進化の歴史だと言える。最近では「コンテンツターゲティング」「行動ターゲティング」などユーザが表出していないニーズを汲み取る技術がトレンドだ。「ターゲティングは技術的で複雑な話になりがちですが、『いかにユーザに適切な情報を届けるか』という視点がポイントになります」と永松氏は説明する。
関連広告を表示「コンテンツターゲティング」
キーワード抽出によってサイトの内容を分析し、コンテンツにマッチングする広告を表示する手法。例えば、保険に関する情報を取り扱ったサイトの広告スペースには保険関係の広告が表示される。

隠れたニーズを導きだす「行動ターゲティング」
閲覧ページや訪問頻度などといったweb上での行動履歴を分析することによりユーザを興味・嗜好でグループ分けし、それぞれセグメント化されたユーザグループに想定されるニーズにあわせて広告を表示する手法。例えば、ユーザが過去に車関連のサイトを多く閲覧していた場合、行動ターゲティングを導入しているサイトでは、車に関連する広告が表示される。
コンテンツターゲティングとは異なり、内容が必ずしもユーザが閲覧しているページと合致していなくても良いため、効率的でフレキシブルな広告表示が可能。ただし、有効なマッチング精度を得るためには一定数の媒体とクライアントが必要とされるため、本格化は今年以降と予想されている。
メディアにとらわれない「アイデアの質」が重要
もともと表現の制約が少なかったインターネット広告は、テクノロジーの発展によってますますその自由度を高めている。一方でユーザのシビアな視点は依然として変わりがない。インターネット広告進化の歴史は、ユーザに忌避された手法が消滅してきた歴史でもある。こうした背景からは「ユーザをいかに楽しませるか」という広告手法の進化の方向性が、いかに妥当性を帯びたものであるかが浮かびあがる。「アイディアが広告表現に直結する分、クリエイターの質が問われる時代になるでしょう」と永松氏は指摘する。
また、インターネット広告を含めてマーケティングが新たなステージに突入している点にも注目したい。これまでマーケティングにおいて別個に考えられてきた「リアル」と「インターネット」という概念は、モバイルの進化などによって急速に接近しつつある。「これまでは単純にリーチの最大化を狙うメディアミックスの手法が中心でしたが、今後はインターネットをハブとしてメディア間の相乗効果を狙うクロスメディアプランニングの考え方がさらに必要になってきます。インターネットに留まらずさまざまなメディアに関心を持つ人材が業界を牽引していくでしょう」と包括的な視点の重要性を貞岡氏は語った。