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あなたはどの市場でマーケターキャリアを形成したいのか?

 本記事では、2021年2月に『マーケターのように生きろ―「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』(東洋経済新報社)を刊行した井上大輔氏にインタビュー。一般ビジネスパーソン向けにマーケティングの考え方を活かして仕事やキャリアアップに取り組むヒントを伝えている同書。しかしながら、マーケティングに携わるマーケターでもキャリアに悩むことは多い。今回はマーケターがキャリアに悩んでしまう理由、そしてキャリアプランを見直し、マーケターとしてキャリアを歩む上でのヒントを探った。

※本記事は、2021年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』63号に掲載したものです。

抜け落ちている市場の定義

ソフトバンク株式会社 コミュニケーション本部
メディア統括部 統括部長 井上大輔氏

ミュージシャンを志すも挫折。小さな広告会社でプランナーの仕事を始める。当初はまったく仕事のできないお荷物社員だったが、マーケティングの英知から学んだ「仕事とは人の役に立つこと」という思想に目覚めて以降、仕事にかぎらずあらゆる場面で「必要とされる」ようになる。以降ニュージーランド航空、ユニリーバ、アウディジャパンなどでマネージャーを歴任。ヤフー株式会社MS統括本部マーケティング本部長を経て現職。雑誌・Web媒体への寄稿や講演会・セミナーへの登壇多数。NewsPicksアカデミアプロフェッサー。著書に『デジタルマーケティングの実務ガイド』(宣伝会議)など。

――井上さんの本では、「『マーケターのように生きる』と、職場から求められる人になる」と記載されていますが、現状のキャリアに悩んでいるマーケターの方も多くいらっしゃいます。マーケターとして働く人が悩んでしまうのはなぜなのでしょうか。

 これはマーケターに限らずですが、一つの原因は、自分自身を売り出していく「市場の定義」ができていないことではないかと思います。よくキャリアを考える際に「自分の市場価値」という言葉が出てきますが、そもそもそこでいう「市場」とはどこの市場なのか。それが具体的に定義されないまま、「市場価値」ばかりを意識していることがないでしょうか。まずは「自分がどこの市場で勝負していくのか」をじっくりと考えて、そこで求められる「市場価値」とは何なのかを考えることからスタートするのがいいと思います。

――確かに商品やサービスのマーケティングを始める際も、まずターゲットとする市場がどのくらいの規模なのかなどを考えますよね。ちなみに、井上さんは自分自身の市場をどのように定義しますか。

 「マーケティング」「マネジメント」「グローバル」を掛け合わせた市場です。これも同じくマーケティングにかかわらずですが、人材市場には、大きく「プロフェッショナル」と「マネジメント」の分岐があると思います。前者は、専門家ですがマネジメントではないインディビジュアル・コントリビューター(役職を持たないスペシャリスト)、後者は専門家であると同時にマネジメントでもあり、最終的にはCMOなどを目指すキャリアです。人事制度としてプロフェッショナルとマネジメントのどちらも用意する会社もありますよね。

 マーケターのキャリア論となると、専門家として必要とされるスキルが議論されることのほうが多い印象です。たとえば、デジタルとマスを両方理解している、テクノロジーを理解しているなどですね。これは「マーケティング」×「インディビジュアル・コントリビューター」の市場の話です。

 「マーケティング」×「マネジメント」の市場に打って出て、最終的にCMOを目指したいという方は、それだけでは不十分です。外資企業にいたころのマーケティングリーダーは、ただマーケターとして優れているだけではなく、チームを束ねるマネジメントスキルやリーダーシップ、人の心をつかむコミュニケーションに長けていました。「マーケティング」×「マネジメント」の市場で勝負をしたい、となると、マーケティングに関する知識以外にも求められるスキルがあるということです。

 このように、「自分を売り出していく市場」をどう定義するのかで、身に付けるべきスキルは大きく変わってきます。まず自分がどの市場で価値を上げていくかを、立ち止まってじっくり考えることが重要なのではないでしょうか。

――まずは、マネジメントとプロフェッショナル、どちらの道を目指してキャリアを歩んでいきたいのかを考えるのが重要ということですね。

 そうですね、そこは何をやるにもまずはその分岐があると思います。加えて、領域についても検討する必要があります。具体的には、日本かグローバルか、自動車や食品など特定の業界に特化するのか、複数の業界をクロスするのかといったことが考えられます。

マーケティング×マネジメント×グローバルで成長

――「マーケティング」×「マネジメント」×「グローバル」の市場を意識していたとのことですが、具体的にはどのようなスキルやマインドを身に付けることを意識していたのでしょうか。

 たとえば、異なる国や文化、人種の方の価値観を理解してマネジメントするには特有のスキルが必要です。ユニリーバ時代の上司は、アジア数ヵ国の拠点のチームを統括していましたが、電話などリモートで接していても短期間で人の心をつかむことに長けていました。細かいところだと、彼には難しいであろう外国人の名前も、一度聞いただけで完璧に覚えている。そういったことも必要とされる技術の一つです。このように、マーケティングとは関係ないスキルも市場の定義の仕方によっては必要不可欠なものになる。これが、まず市場を定義することの大切さです。

――マーケターは営業や生産部門、広告代理店など様々なステークホルダーと関わるので、そのようなコミュニケーションやマネジメントに関わるスキルも場合によっては必要になりますよね。そのためにも、自分がキャリアを形成したい市場ではどんなスキルが有効かを考える必要があるのですね。

 その通りだと思います。筋トレでも鍛えたい筋肉を意識したほうが効果的だと言われているじゃないですか。キャリアも同様で、目指したい市場を意識して、そこで必要とされるスキルを常にイメージしながら働いていれば、毎日の些細なコミュニケーションも自分を鍛える機会になるはずです。そうなるとスキルが身に付くのは早いですよね。

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新しいスキルをつかむための異動はあり

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/03/25 07:30 https://markezine.jp/article/detail/35759

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