パーソナライズ・イノベーションの潮流
これまで生活者起点のレンズで健康消費を捉え、ニューコンビネーションの新たな価値提案がイノベーション創出に効果的であると述べてきた。現時点で効果的なアプローチではもちろんあるが、遠くない未来、イノベーションの論点が、「パーソナライズ」にシフトする可能性がある。本来的に、健康消費に関わるニーズは、年齢やライフスタイルの変化で動き、その日その時の気分、体調によっても動く、瞬間性も強い一人ひとり異なる平均値で捉えきれないニーズである。それらニーズと健康消費を結び付けるには、生活者のニーズを静的な塊ではなく、動的な個人単位で捉え、可能な限り短いスパンでニーズを探り続ける必要がある。個人単位の移り変わる情報をリアルタイムに収集できる接触頻度の高い接点と、そこで得た情報を活用してアクションにつなげる仕組みの構築が不可欠だ。仮に、それらを実現できれば、生活者と社会の根幹にある健康を核に、隣接するライフスタイル市場を巻き込みイノベーションが起こるはずだ。
昨今、国内外で、モバイル環境の普及、遺伝子検査技術やレコメンデーション技術の高度化を背景に、それら接点と仕組みを技術的には現実的なものとするパーソナライズ・サービスが増えている。しかしながら、飛躍的な拡大には至っていない。様々な課題が考えられるが、特に生活者と社会から「信頼」を得る視点は、技術先行のプレイヤーに盲点となりやすく課題が大きい。パーソナライズの文脈では、生活者からサービスを提供するプレイヤーに、金銭だけではなく自身の情報を提供し続ける双方向のコミュニケーションが求められる。これまでより格段に親密な生活者との関係性を築き長く保ち続けるためには、生活者ファーストで期待を裏切らない行動の積み重ねが重要だ。さらに、公共性の極めて高い情報を取り扱い、様々なステークホルダーとの親密な関係性も築く必要があるため、よりよい社会に貢献できるソーシャルグッドな存在を目指すべきだ。
インテージが持つ生活者14万人以上の最新のセルフヘルスケアに関わるデータベースから、「健康食品・サプリメント市場」「ヘルスケアフーズ市場」「セルフヘルスケア市場」の動向を分析したサマリーレポート
