社内異動が大きな転機に
野崎:社内コミュニケーションは大事ですよね。難しい状況ですが、そこからリカバリーはできたのですか?
藤井:実は体調を崩してしまったことなども重なって、社内異動となってしまいました。異動した先では、コールセンターのパートナー企業様のマネジメント業務を担当し、Webエントリー後の面談の日程調整に関する電話やメールの件数をモニタリングしながら、どの職種や業種の求職者にコールセンターのリソースを投下するかなどを考えていました。

野崎:そうだったのですね。新しいミッションも元々経験のない仕事で、現場感もわからぬ中でのスタートだったと思うのですが、ここでは前回の失敗を糧にできたのでしょうか?
藤井:上司や先輩からの指導もあって徐々に成果を出せるようになってきましたね。この頃から、仕事に対するやりがいも出て楽しくなってきたのを覚えています。上司と一緒にコールセンターの現場を見学させてもらうなど、以前よりも現場を見て仕事を行うことができるようになったのは大きな変化でした。
野崎:現場感を理解した上でコミュニケーションできるようになったことが、成長とモチベーションにつながったというわけですね。特に事業会社の中でマーケティングを推進していくには大事なポイントです。キャリアコンサルティングをしている中で良く聞くお話として、支援会社から事業会社に転職したマーケターが意外とギャップを感じるのは、この泥臭い部分だったりします。
藤井:加えて、この頃からデータを扱う仕事をするようになったのも自分の成長につながりました。コールセンターの荷電件数と基幹システムのデータを組み合わせて相関分析をするなどのデータ分析を行っていたのですが、そういった業務が自分にフィットしているのを感じました。データに関する業務を振っていただく機会も増えたので、少しずつ自分の仕事における強みや個性を見つけられ始めた気がしました。
野崎:ここでデータといえば藤井さんという社内ブランドを作り上げていったんですね。このように社内外含め複数人が関与するプロジェクトの場合、自分の介在価値・存在意義をきちんと打ち出す意識を持つかどうかで、キャリアに差が付きます。また、面接時に再現性のあるエピソードとして使えるネタにもなります。
企業の持つリソースを活用してスキルアップを図る
野崎:データを扱う業務で成果を出し始めていた藤井さんですが、リクルートキャリアではもう一度社内異動を経験されていますよね。しかも希望部署だったと聞いているんですが、どのようにし異動を叶えたのでしょうか? テクニックがあれば教えてください(笑)。
藤井:Web開発ディレクションの部署は、前々から漠然とおもしろそうだなと思っていた部署であったのですが、データに触れる業務が増えるようになって、具体的に行きたいという思いが強くなりました。
そこで、その部署にとってメリットのある人材になる努力をしました。たとえば、その部署ではデータ分析を行う機会も多く、特にSQLを扱えることが前提としてあったので、独学でSQLを学んでいました。そして、どの程度扱えるのかをその部署のマネージャーに自然な形で伝えてました(笑)。
野崎:自然な形、が重要ですね(笑)。何より、希望部署が欲しがる人材から逆算して自らのスキルアップを図るのは素晴らしいと思います。この連載でも触れるのことの多いSQLですが、事実として書類選考でウケがとても良いキーワードです。どのように学んだのでしょうか?
藤井:とにかく社内で詳しい方に聞いて回っていました。ただ、教えてもらう以上は礼儀を通そうと思っていたので、教えてもらったことを業務に活かしてアウトプットして、学んだことを御礼とともにフィードバックするようにしていました。
野崎:これは基盤の整った大企業のメリットを活かしています。大手には様々な人材が同僚として在籍しているので、スキルを拡充するための良い先生が見つかりやすいのです。かつ、教えてもらったことを活かして業務で貢献し、フィードバックする一連のフローは組織でキャリアを作っていくにあたり真似すべきポイントですね。教えるほうも悪い気はしないはずです。
