コンテンツがしっかりしていれば、公式アカウントはなくても良い
――現在ドープには、どのような方が多く訪れているのでしょうか。
一番多いお客様は20代の女性です。マーケティング施策はほとんど行っておらず、UGCで広まっているため、ソーシャル上でボリュームが多い世代が、自然とメインの層になっているのでしょう。一方、店名やコンセプトにピンときた30代以上の音楽ファンが来てくれることもありますし、もっと上の世代の方が、普通の喫茶店として使ってくださることもあります。そんなこともあって、いろんな人がいろんな目的で訪れる、少しがちゃっとした空間になっているのですが、その雰囲気も良いと思っています。
――UGCを生むために行っていることはありますか。
よく聞かれる質問なのですが、極論、コンテンツがしっかりしていれば、公式アカウントを持ってなくてもいいぐらいだと思っています。それくらい、UGCを大切にしていますね。他には、オンラインとオフラインをシームレスに捉えるようにしていて、たとえば投稿してくれた方へのリアクションは意識的にしています。飲食店の多くは現場でとても丁寧に接客していますが、オンラインの世界ではほぼ反応をしない。オフラインとオンラインの境界をそれほど意識せずに行き来している若い世代は、こうした状況に違和感を持つだろうなと思いました。すべてにコメント返しをしなくても、「いいね」を付けるだけでも良いのではないでしょうか。
――ドープやトーキョーギョーザクラブでは、EC事業も行っているそうですね。
お店の備品として作ったグラスやTシャツなどのグッズを販売している他、レディースアパレルブランドのHeatherさんとのコラボも行いました。そもそも、飲食事業がメインという認識でやっているのではなく、ドープというブランドがあって、それは飲食店であり、撮影場所であり、アパレルであり、グッズも売っている。まるごとの体験価値をどう上げていくかということを大切にしています。これらは連動性をもって良い循環を生んでくれると思っていて。飲食店で店員がグッズを身に付ければ良いショールームになりますし、逆にアパレルブランドと組むことで、日本中の商業施設にドープの看板を置くことができます。


――最後にこれからの展望を教えてください。
コロナ禍でアクセルが踏みにくい状況ではありますが、新しい事業の構想はたくさんあって、今も毎日良い居抜き物件がないか見ています。最近新しく作ったのは「不健康ランド背徳の美味」。築70年の銭湯の女湯だった部分をリノベーションして、酒場にしたという場所で、“最高にトトノワナイ体験”を売りにしています。これからも、「元々あったものを活かしながら、違う価値を創造していく」というビジョンを、様々な形で体現していきたいですね。


