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MarkeZine Day 2025 Retail

全国コンテンツマーケティング探訪~現場の声からヒントを得る

「時間がかかっても本物のファンを作る」創業300年の酒造メーカー・沢の鶴によるデジタルコンテンツ戦略

「自分は売上に貢献できているのか」と悩んだことも

 同社の施策は一見すると遠回りと思えるかもしれないが、コンテンツマーケティングで求められる姿勢を体現しているといえる。矢野さんも「今月、来月の売上を一生懸命追っている営業担当の方を見て、『自分は貢献できているのだろうか』と思い悩むこともあった」と振り返る。それでも現在は、自身が展開するコンテンツ戦略について次のように捉えていると話してくれた。

 「ECサイトでの売り上げが少しずつ伸びてきていることもあり、今は『自分は2~3年後の沢の鶴のためにがんばっているんだ』と割り切って取り組んでいます。結果が出つつあるのは励みになりますね」(矢野さん) 

「広げる」施策から「深める」施策にシフトしていく

 今後の戦略として矢野さんが思い描いているのは、ファンコミュニティーを「広げる」施策から、ファンとの関係性を「深める」施策に転換することだ。SNSのフォロワー数、オウンドメディアの訪問数も安定してきており、これからはファン一人ひとりのエンゲージメントを高める施策、コンテンツを展開していきたいとしている。

 新しい取り組みは現在も試行錯誤で進められている。昨年4月には、「たまには酔いたい夜もある」の開発時にクラウドファンディングで出資をしてくれたユーザーらが集まり、おすすめの商品の割り方を語り合うオンライン飲み会を実施した。

 「開催当時はオンライン飲み会が流行っていたという状況があったが、今はそれほど求められているような感覚はない」(矢野さん)というように、今後のコンテンツについても、ユーザーが求めるものを発信していくという姿勢に変わりはないようだ。現在は、SNS、オウンドメディアなど積み上げてきたコンテンツを活用したLINE公式アカウントを開設し、ユーザーとさらに深く交流すべく準備している。

 新規・既存ファン両方を大切にしながら、時間をかけてエンゲージメントを高める姿勢を貫く同社は、次の400年、500年に向け、これからもファンとともに歩み続けていく。

【取材・執筆担当】クマベイス 山田太一

エディター、コンテンツマーケティングコンサルタント。産経新聞記者、人材採用広告会社の営業を経て、クマベイスに入社。クライアントワークにあたるとともに、コンテンツマーケティングやコンテンツ戦略の海外事例を研究する。熊本県出身。

山田氏が海外の様々なコンテンツマーケティング事例を解説する「海外コンテンツマーケティング探訪~業界横断で使える「型」を手に入れる」はこちらから!

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この記事の著者

山田 太一(ヤマダ タイチ)

エディター、コンテンツマーケティングコンサルタント。産経新聞記者、人材採用広告会社の営業を経て、クマベイスに入社。クライアントワークにあたるとともに、コンテンツマーケティングやコンテンツ戦略の海外事例を研究する。熊本県出身。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2021/05/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/36136

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