年代によって異なる購買の違い
男性は年代によって基礎化粧品の購買に違いがあることをご存じでしょうか。年齢が高い人ほど男性用基礎化粧品(以下、「男性用」と記述)、年齢が低い人ほど女性用基礎化粧品(男性向けと訴求されていない化粧品。以下、「女性用」と記述)を購入する傾向があります。図表3のように「男性用のみ購入」「両方購入」「女性用のみ購入」を年代別で分けると、男性用のみ購入する人は10代が35%、年代が上がるにつれその割合は上昇し、50代では73%、60代は67%でした。年代による傾向がこれほど顕著に表れるのは非常に興味深いデータです。

近年、男性用の商品が増えてきたとはいえ、やはり、女性用基礎化粧品のラインアップのほうが豊富です。情報に敏感な10代〜20代は“自分の悩みに応えてくれそうな化粧品”を探した結果、女性用に行き着いたのではないでしょうか。逆に言えば、現在の男性用基礎化粧品の商品の良さを若年男性へ伝えきれていない、または、ニーズに応えきれていないのかもしれません。
ここからは、若年層(35歳未満)と中高年層(35歳以上)に分けて見ていきましょう。若年層と中高年層別に男性用・女性用基礎化粧品の購入率と購入者当たり年間購入金額を比較しました(図表4)。

若年層について、男性用基礎化粧品の購入率は2020年で大幅に下落し、女性用基礎化粧品は購入率、購入者当たり年間購入金額はともに上昇しました。中高年層の男性用基礎化粧品はここ数年着実に上昇していた購入率が2019年と2020年で変化はなかったものの、購入者当たり年間購入金額が高くなりました。「若年層は女性用、中高年層は男性用」という傾向は年々強まっており、2020年でさらに強まったと言えます。
洗顔や化粧水などの種類別で見ると、さらに若年層と中高年層の購買に異なる傾向が見られました(図表5)。

全体的な傾向として、洗顔の購入率は高く、化粧水と乳液が低いことは共通しています。
若年層は女性用の洗顔・化粧水・乳液すべてにおいて2020年の購入率が上がり、特に乳液はプラス1%と大きく上昇しました。このことから、“洗顔で汚れを落として、化粧水で保湿する”から次のステップとなる乳液を使い始める人が増えたことがわかります。一方で中高年層は男性用の化粧水と乳液の購入者当たり年間購入金額が大幅に上昇しました。
若年層の市場規模の拡大は、「乳液」や「化粧水」の新規購入者の増加が要因と思われます。一方で中高年層は、新規購入者というより、既存の購入者がより関心を持つようになり、価格が高いものを使用するようになったことが市場規模拡大につながったと言えそうです。