マーケティング施策・ツールの予算の変化
2020年の広告費については、デジタル広告の増加が34.5%と突出(減少は8.5%)。4マス媒体は軒並み減少が増加を上回っている。これらの傾向は今後3年間の見込みとほぼ同じだが、デジタル広告が増えるとする回答は55.6%と、ますますデジタルシフトが加速していきそうだ。なお、2019年と比べて2020年で最も予算が増えたという回答が多かったデジタル広告は「検索連動型広告」で、「動画広告」「ディスプレイ(静止画バナー)広告」「インフィード広告(SNSやニュースアプリなどのタイムラインに表示される広告)」が続いた(図表2)。
さらに自社サイトやアプリにおけるマーケティング施策とツールの予算について見てみよう。最も予算が増えた施策は「コンテンツマーケティング(情報メディア、ブログなどによる情報発信)」となり、「レコメンドエンジン」以外の回答はいずれも増加が20%を超えている(図表3)。
ソーシャルメディアにおけるマーケティング施策やツールの予算では、「SNSのアカウント開設・運用」が増加31.6%、減少2.3%と圧倒的で、変化なしの30.5%を含めて多くの企業でSNSの運用に注力しようとする姿が見て取れる。「ソーシャルリスニング分析」など他の項目についても減少はわずかであるが、アカウント運用に比べるとそもそも実施していない企業が多いようだ(図表4)。
ツールの導入状況に関しては、複数回答可で「CRMツール」が約40%、「MAツール」が約35%。「プライベートDMP/CDP」は約20%で、ツールを導入していないという回答も約30%となった。どのツールを導入しているかについての詳細は『マーケティング最新動向調査2021』に掲載している。
コロナ禍とマーケティング活動
デジタル広告の予算が増加した他、コロナ禍はマーケティング活動にどんな影響を与えたのだろうか。多かった回答は「重視する販売チャネルがリアルからオンラインへと変わった」「製品・サービスの訴求内容を変えた」となったが、「特に変化はない」も同じような割合だった(図表5)。
マーケティング担当者に求められる役割の変化についても「特に変化はない」は34.7%と2番目に多いが、最も多かったのは43.7%の「デジタルの知識やスキルがより求められるようになった」であり、予算はもちろん、知識とスキルもデジタルシフトを進めざるをえない状況だったと言える。
また、マーケティングのデジタル化における課題を複数回答で尋ねた。「デジタル化に向けた社内のナレッジが蓄積されていない」が44.3%に上り、「データ活用に関して部署をまたいだ連携が難しい」「マーケティングのデジタル化を推進する人材がいない」「投資対効果の可視化が難しい/できない」が続いた。必要性は強く認識されており、その上でいかに組織や体制を作り、効果を測定していくかに課題が集中しているようだ。
本調査の全結果とクロス集計の結果に加え、「マーケティングをめぐる近年の動向の概観」や「主要マーケティングプラットフォーマーの動向」をまとめた『マーケティング最新動向調査 2021』は、翔泳社のECサイト「SEshop」でのみ販売しております。