SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

小島英揮氏と考える!オンライン時代のコミュニティマーケティング

過渡期を迎えるコミュニティマーケティング、人材不足・オンライン化をどう乗り越える?【元AWS小島氏】

コミュニティ担当者が備えるべきスキルとは?

――では、担当者はどんなことを学ぶとよいのでしょうか。

小島:何よりも人に好かれる力があることが大前提ですが、スキルセットとしては(1)マーケティングの全体像への理解(2)社内外の人を動かしていく力、そして(3)参加者の“目利き”ができること。この3つが備わっていると良いと思います。

 (1)マーケティングの全体像への理解が必要なのは、他部門の協力を得るための目標設定を行うためです。マーケティング全体の流れ(ファネル)を段階ごとに分けると、以下のようになります。

・認知を獲得し(Awareness)
・自分ゴトとして、興味を持ってもらい(Demand Generation)
・受注確度を上げ(Lead Qualification)
・利用を開始してもらい(Onboarding)
・利用を継続・拡大してもらう(LTV向上)

 この中でコミュニティが担うのは、「自分ゴト化」と「LTV向上」です。この整理ができていれば他部門の説得もスムーズですし、「イベントに多くの人を集めよ」とか「クロージング件数を増やせ」といった指示が下ったときにも、なぜそれが目標として適切ではないのか、説明することができますよね。

マーケティングファネル(B2B型)におけるコミュニティの位置づけ
マーケティングファネル(B2B型)におけるコミュニティの位置づけ

小島:マーケティングのファネルにおけるコミュニティの位置づけを整理したら、(2)社内外の人を動かしながら、実行に移していきます。このことについて、成功企業として知られるSalesforceでコミュニティ施策をリードする坂内 明子さんは、「社内政治を制するものがコミュニティを制す」とまで言っています。

 そして(3)参加者の“目利き”については、先に述べた通りです。コミュニティの発展段階やその時々の状況に合わせて、どんな人を、どのような役割でコミュニティに招き入れるか判断し、対応する力が求められます。

オフライン・ファーストから「トラスト・ファースト」へ

――続いて、コロナ禍でのコミュニティマーケティングの実践についておうかがいします。対面での活動制限の影響が大きいのではないかと思いますが、どのように対応されているのでしょうか。

小島:コロナ禍以前の2019年に出版した『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』では、コミュニティの成長に欠かせない3つの「ファースト(優先事項)」として、以下を掲げていましたが、おっしゃる通り新型コロナ環境下では「オフライン(対面)」が難しくなっています。

コンテキスト・ファースト:この場が何のための場かの「旗」を掲げる
オフライン・ファースト:顔を突き合わせ、信頼関係を構築する
アウトプット・ファースト:参加者が外部に情報を発信する

 しかしオフライン・ファーストの目的は、参加者に情報を発信してもらうために信頼を構築することで、その本質は変わりません。対面からオンラインへと前提が変わったなら、同じ目標を達成するやり方を変えるまでです。よって、今は「トラスト・ファースト」と言い替え、オンライン環境下でも関係を構築することが大事としています。

 ただし、対面よりオンラインの方が関係構築が難しいのも事実です。対面であれば、会って話すことでそれなりに“目利き”ができましたが、オンラインの画面越しだと、見極めがより難しくなります。私も含め多くの担当者が試行錯誤しながら、新しいやり方を編み出しているところです。

――オンラインならではのやり方とは、どのようなものでしょうか

小島:あるコミュニティ・マネージャーは、参加希望者全員と1on1のオンライン・ミーティングを実施することで、問題を解決しているそうです。時間や場所の制約が少ないオンラインならではのやり方ですね。

 このようにオンラインならではの良さも多くあります。地域の制約がなくなったことで、今年開催したAWSのJAWS DAYS 2021には、過去最高の4,000人近いエントリーがありました。より多くの人に情報を届けられるようになったのは喜ばしいことだと思います。

次のページ
小島氏が先進企業4社と対談。一部内容を紹介!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
小島英揮氏と考える!オンライン時代のコミュニティマーケティング連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高橋 龍征(タカハシ タツユキ)

conecuri合同会社 代表社員

CSK(現SCSK)で営業、経営企画に従事後MBAを取得し、ソニー、サムスン電子での事業開発マネジャーやテック企業の共同創業を経て独立。14年を超える複数のコミュニティ運営を通じて、セミナーや研修の企画に携わり、年間200セミナーを形にした他、コミュニティ構築支援などに複業の幅を広げ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/05/10 09:00 https://markezine.jp/article/detail/36235

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング