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顧客時間と振り返る「Adobe Summit 2021」ハイライト(AD)

顧客は優れた体験にお金を払いたい/顧客時間・奥谷氏と振り返るAdobe Summit【後編】

顧客は優れた体験にお金を払いたい

 弊社顧客時間では、コロナ禍で消費者に起こった大きな変化は「くらしのデジタルシフト」と捉えているが、コンテントスクエアCMOのニキ・ホール氏は、「人々はもはやオンライン上でショッピングだけをしているのではなく、生活自体をオンラインにシフトして生きているのだ。だからこそ、デジタル幸福度が重要だ」という斬新なコンセプトを提示している。

 さらに、Adobe Summitでは当たり前のように話されることだが、「今のお客様はブランドにロイヤルティを感じているのではなく、体験にロイヤルティを感じている」というメッセージを発信していた。体験中心ブランドであるためにはデジタル幸福度方程式を構成する次の3つの要素が必要だと述べた。

 第1の要素は「Understanding your customer(顧客理解)」。企業に求められるのは、デジタルでのつながりを活用した傾聴の姿勢だ。傾聴の重要性は、近年に急成長を遂げているエクササイズ機器メーカー「Peloton(ペロトン)」でSVPとGlobal Head of Marketing Communicationを務めるダラ・トレセダー氏も「企業文化として根付かせることが大切である」と表現している。

 次に必要な要素は「Proactive Strategy(積極的に顧客のニーズを捉え、それを体現した戦略の実践)」。コロナ禍の顧客が最も嫌うことは、デジタル上の体験に生じる不備だ。日本の各行政が陥るコロナワクチン接種予約サイトの不備のような体験は、後々ブランド体験に決定的なダメージをもたらす。故に、そのような不備は放置せず、スピード感を持って対応しなければならないという。そのためにはデータをリアルタイムで獲得し、顧客理解に活用しなければいけないとしている。

 最後の「Brand Promise(企業・ブランドとして顧客に果たすべき約束)」は、デジタル体験はもちろんのこと、商品体験、接客体験、すべてを包括的に捉えたカスタマージャーニーにおける顧客満足を指している。

 我々も同社の「方程式」に倣い、改めて顧客の「優れた体験にお金を払いたい」という考え方を理解するべきである。これら3つが揃うことが、デジタル幸福度の実現に寄与するのだ。

 「DX推進がもたらす良質な顧客体験」をこのように解釈できるパートナーの存在はクライアントにとっても心強いことだろう。Adobe製品を中心に導入、運用するだけでなく、パートナーとともに顧客体験までも共創していくことができるのは、理想のDX戦略推進といえる。弊社でも、デジタル幸福度方程式を実践できる日本の事業会社を応援していきたいと思う。

ビジネスの枠を超えた著名人から学ぶ、豊かな知見

 最後に、Adobe Summitの楽しみでもある著名人のセッションから、DXがもたらす社会的価値について考えてみたい。

 ここまで解説してきた通り、優れたDX推進企業の今を捉えることができ、そのサポート企業が提供する有益な情報、示唆が得られるのがAdobe Summitを見逃せない理由だが、もう1つの楽しみが、ビジネスの枠を超えた有識者による知見に富んだ話だ

 冒頭のキーノートでは、起業家・投資家としても活躍するプロテニスプレーヤーのセリーナ・ウィリアムズ氏が、自身のビジネスについてデジタルの視点から語ってくれた。また、日本でもビジネス書としてベストセラーになった「TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか」の著者であるレイチェル・ボッツマン氏から、デジタルで顧客とつながる時代における信頼の重要性が語られた。

 単なる企業事例ではなく、信頼(TRUST)の重要性を顧客視点・社会的視点から解説されたことで、Adobe Summitのオーディエンスは自身DX戦略の見直しと再考察ができたであろう。また著者の肉声で語られる本人の思考方法が垣間見られることで、改めて著書を手に取る人も多いことだろう。

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デジタルがもたらした社会変革への影響

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この記事の著者

奥谷 孝司(オクタニ タカシ)

オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer) 株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 株式会社イー・ロジット 社外取締役 株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に出向しドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。帰国後、海外のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛ける「World MUJ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/09 10:30 https://markezine.jp/article/detail/36293

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