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アサヒビールが明かす、LINE活用を概念で終わらせない「実現に繋がるABC」

 2017年にLINEの活用を開始したアサヒビール。飲料メーカーとしては後発組だが、スピーディーな展開で2018年にはデジタルマーケティングの中心にLINEのユーザーIDを置き、2020年にはLINEセグメント配信にAIを活用。2021年、最大ブランド「アサヒスーパードライ」の大型キャンペーンをLINEで実施した。LINE活用を概念で終わらせず本当にできている理由とは何か。5月14日開催の「LINE BIZ DAY 2021」で玉手健志氏が語った。

キャンペーン応募が急増、その理由とは?

 2021年1月、アサヒビールのキャンペーンが話題となった。

 アサヒビールの対象商品についているシリアルコードを6個ためて応募すると、抽選で白石麻衣さん・西野七瀬さんのWebCM撮影イベントの現場に招待されるなど、複数のコースが用意されたプレゼントキャンペーンだ。

 アサヒビールがこの応募チャネルに採用したのが、LINEだ。同社マーケティング本部の玉手健志氏は、「このキャンペーンは、昨年まではハガキで行っていたのですが、今年からLINEで応募形式に切り替えました」と説明する。

アサヒビール株式会社マーケティング本部ビールマーケティング部 課長 玉手健志氏
アサヒビール株式会社マーケティング本部ビールマーケティング部 課長 玉手健志氏

 玉手氏は、ハガキを古くからある王道の手段と認めつつも、現在のアクティブな利用という観点でいえば、LINEに軍配が上がるという見方を示す。今回、応募数が従来に比べ数倍に増えた背景には、LINEのアクティブなユーザー数も関係していると玉手氏は語る。

 実際、LINEが提供するキャンペーンプラットフォームについての調査(LINE調べ、2021年4月実施、n=1,054、15~59歳)では、「普段参加するキャンペーン形式」にLINEを選んだユーザーの割合は59.5%と群を抜いて高い。「ハガキ」は24.7%、「Webサイト」は17.2%、他SNSでも26.3%なので、LINEはキャンペーン応募のチャネルとして圧倒的に支持されているわけだ。

 「LINEで応募」は、ユーザー・企業双方にとって大きなメリットがあるとLINE OMO販促事業推進室の江田達哉氏は説明する。

 「LINEで応募できるので、キャンペーン参加のために専用アプリをダウンロードする手間がなく、また従来のWEBキャンペーンのようにIDやパスワード入力を新たに設定することも不要です。ユーザーは、商品に貼付してあるシールのQRコードをLINEで読み込むだけで参加できますし、企業側はLINEを通じて購買者を把握し、1to1のメッセージを送ることができます」(江田氏)

LINE株式会社OMO販促事業推進室 室長 江田達哉氏
LINE株式会社OMO販促事業推進室 室長 江田達哉氏

 この点について玉手氏も、「当社のようなBtoBtoC事業で、実際のお客様について把握できるという点は非常に大きいです」と同意する。

今が「LINEを活用した販促構想」の実行フェーズ

 アサヒビールの公式LINEアカウント開設は、他の飲料メーカーに比べむしろ後発組であったと玉手氏は語る。だが、導入後はLINE活用の幅が急速に広がっている。

 同社の場合、LINE公式アカウントを開設したのは2017年2月だったが、同年8月には酒類としては初となるコンビニでのLINE サンプリング(※現在は提供中止)を実施。また、2018年にはハガキと併用した種々の応募キャンペーンを開始し、その後もビーコンによる位置情報を活用した販促施策の実施。2020年にはアサヒビール社初となるLINEプロモーションスタンプの配布などを進めてきた。

 「当社ではLINE導入前から『LINEで何をしていくのか』について議論を重ねてきました」と玉手氏。そのため、サンプリングやキャンペーンで手応えを得ると、2018年には早々に「デジタルマーケティングの中心にLINEのユーザーIDを置く」と判断したという。

 そこで、あらゆる接点にLINEの入り口を作りユーザー行動をログ化することに着手した。たとえばキャンペーンの一部を「LINEで応募」に切り替えることで、普段は見えにくい購買者の情報や行動を把握・分析してきた。2020年以降は、取り組みも高度化・立体化してきており、LINEのセグメント配信にAIを活用するなどしている。

 「こうして、当社の最大ブランドである『アサヒスーパードライ』のキャンペーンをLINEで展開することにも着手しました」(玉手氏)

 玉手氏によると、「デジタルマーケティングの中心にLINEのユーザーIDを置く」という戦略には2つの理由がある。1つは、自社会員IDやその他のプラットフォームのIDに比べ、圧倒的に規模が大きい点。もう1つは、IDの堅牢性だ。無制限に登録できるIDではなく、1つの携帯端末に1つのIDが付与されるため個別に丁寧なコミュニケーションができる点がLINEのユーザーIDの特長だという。

 デジタル販促の幅も広い。店外にいるユーザーに対しては、LINE広告やLINE公式アカウント、またはLINEチラシなどを通じて商品を告知し、店内に入ってきたユーザーにはLINE POP Media(トライアル)で、購買直前のユーザーに商品やキャンペーンを訴求する。そして購買を後押しする手段として「LINEで応募」を展開し、購買後にはLINE公式アカウントで再購買を促す。

 その一連のプロセスを、LINEのユーザーIDに集約することで、より高度なコミュニケーションが実現する。

 こうしたLINEのデジタル販促構想について、LINEの江田氏は玉手氏と長年話し合ってきたという。「ようやく実現でき、アサヒビールさんの戦略とも合致しており、非常にうれしく思います」(江田氏)

次のページ
施策を描くから実行に移すための「ABC」とは

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/21 11:00 https://markezine.jp/article/detail/36385

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