組織的・継続的な運用を重視
同社が強く意識してるのは、発信力の強い少数の社員に頼るのではなく、組織全体で運用を続けること。「このような活動は瞬間的には盛り上がるものの、いつのまにかフェードアウトしていくことが多いもの。そうならないよう、全社を巻き込み継続していくにはどうすればよいかを一番に考えました」と、執行役員CAOコーポレート本部長の角田氏(@takeshisumida_)は述べる。具体的には、次のような工夫を行っているそうだ。
ベーシックの運用方針
- (1)運用を強制せず、投稿内容も社員の自主性に任せる
- (2)目標数値も定めず、楽しんで継続することを第一に
- (3)ただしSNSで生じた成果は多面的に計測。適切なタイミング、適切な場で、全社に共有する
- (4)提案した責任者自身が誰よりも徹底的に行う
特に重視しているのが(3)で、「良いフィードバックをとにかくしっかりと共有する」ことで活用の機運が醸成されていくという。たとえばTwitter上でプロダクトや社員に対するポジティブな口コミを見つけたら、該当するチームや個人に必ず共有する。そうした声がTwitterに存在していると知ることで、「自分も投稿してみようかな」と思ってもらいやすくなる。また後述するマーケティングや採用に及ぼした効果や、各人のフォロワー数の推移についても、広報担当者が中心となって細かくレポーティングしている。
企業のSNS活用として広く浸透しているのは、公式アカウントを開設し、“中の人”が発信していく方法だろう。しかし角田氏は「『ベーシックにはこんな人がいるよ』とか『こんなチャレンジングなことをしているんだよ』ということを、本人が届けることに意義がある」と話す。Twitterやnoteといったプラットフォームとの相性という観点でも、社員自らが発信する効果は大きいと見ている。そのため同社では基本的に、公式アカウントは「コンテンツの“置き場”」と考え、社員に思い思いのコメントとともにリツイートしてもらうためのコンテンツと捉えている。
「Twitter集客」で予想外の効果が
運用開始から約2年が経過し、様々な効果が出てきている。マーケティングマネージャーの河村氏(@Kawamura_KZK)が予想以上だったと明かすのが、マーケティング領域の中でも、特にオンラインカンファレンス集客への影響だ。直近ではある大型カンファレンスの告知を開始した初日、「メルマガや広告に着手する前、協力会社さんと当社社員のTwitterでの発信のみ」(河村氏)で600名という定員の10%が埋まったそうだ。
「現在当社では、SNSとイベントマーケティングを図のように掛け合わせてリード獲得を行っています。SNSは特に大型カンファレンスやミートアップの告知・集客と相性がよく、セッションを企画しTwitterで告知、終了後にはイベントレポートを作り再びTwitterで発信する、というサイクルを回していくイメージです」(河村氏)

これに加えて、最近では決裁者における認知向上にもTwitterを活用できると考えている。
「サービス認知拡大に向けて現在タクシー広告を実施しており、より大型のプロモーションも計画しています。そうしたプロモーションとTwitterでの継続的な発信によって、相乗効果が生まれると考えています」(河村氏)
「複数の経営者がTwitterを活用して成果を上げたことにより、昨今Twitter上には決裁者となるような経営層やマネージャーが多数います。Twitter上で露出を増やすことは、決裁者に対するサービスや認知の向上につながると考えています」(角田氏)
当初の主目的だった採用に関しても、リファラルの増加や入社後のミスマッチの減少が見られ、広報の観点ではメディアからの取材や登壇依頼も増えているという。