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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

BtoBマーケティングの開拓者たち

どんな人材をどのように育てるか?

ディレクションには深い顧客理解が不可欠

 マーケティング施策の提案を専門会社に任せたからといって、当然丸投げではいけません。事業会社のマーケティング部門は、十分なデータと情報を専門会社に提供しましょう。専門会社は基本的には企業側から提供されたデータや情報から顧客を理解します。

 たとえば、現状自社にどのような顧客がどれだけ存在していて、この商品に対してどのような反応をするのか。事業規模、売上規模、業界分布、繁忙期、サービスの利用サイクルなどの、自社で蓄積したデータに加え、実際に日々ビジネスに触れていることで養われた肌感覚的な情報も重要です。

 マーケティング部門に十分な顧客理解があり、その顧客に対しどのような結果を期待しているのかが練られていれば、企画を提案する専門会社とのコミュニケーションは非常にスムーズなものになります。また、そこまでの理解と分析がなされていれば、事業会社側も、専門会社から提案される施策を素早く理解できるでしょう。逆に、事業会社からの情報が十分でなければ、専門会社も的を射た提案が難しくなります。

 事業会社のマーケティング部門において大切なことは、自社の顧客の行動を敏感に捉え、変化を見逃さない姿勢と、自社のビジネス全体を俯瞰して、最適なマーケティングノウハウは何かを選び取ることができる視点を持った人材を配置することです。自社の事業、顧客を最も理解しているのは、マーケティング部門であるべきなのです。

おすすめの方法

 ここからは、事業会社でマーケティング担当者を育成する際に使える手段をいくつかご紹介します。

(1)マーケティング担当者も商談の場に同席する

 現場に赴くことは顧客理解を深めるのに最適な方法です。営業担当者に許可を取り、顧客との商談の場に同席しましょう。コロナ禍の影響で、取引先ともオンラインでの会議が増えており、同席しやすくなっています。実際に顔を見ることで距離感が縮まり、顧客企業の発言を自分ごととして感じやすくなりますし、営業の視点や気持ちも理解できるでしょう。顧客がどのような着眼点で商品・サービスを吟味しているのかなど、これまで営業経由で聞いていたことをその場で確認することもできます。また、顧客から課題に対する姿勢や熱量が直に伝わることは、マーケティング部門としてどのようにこの問いに回答できるだろうか、という提案へのヒントにつながるでしょう。

(2)チャネルごとに担当をつける

 近年のマーケティングチャネルは、SNS、オウンドメディア、Web広告などと細分化されています。チャネルごとに仕様が異なり、有効な記事の投下の仕方、広告の打ち方も違います。マーケティング全体を俯瞰できる人材を育てるのが難しい理由のひとつは、チャネルを使い分け、効果を出すことが難しいからです。そのため、まずはチャネルごとに担当を割り振り、その後ローテーションで担当チャネルを変えていくのがおすすめです。様々なチャネルを経験していくことで、知識やノウハウが蓄積され、やがては全体を俯瞰できるようになっていきます。ある程度の時間はかかりますが、将来的にマーケティングの専門家になるためのキャリア形成にも有効でしょう。

(3)ブログを執筆する

 これは個人的な経験からの意見となりますが、ブログの執筆は後々良い経験として役立ちます。私が初めてマーケティング専門会社に入社した際、当時の上司にブログ記事を毎日1記事書くよう言われていました。毎日の課題ですし、当時は上司の目的も理解していませんでしたから、時には面倒くさくなり適当に書いてしまったこともありましたが、そのような時は必ず「この記事は、誰に、どんな行動を起こしてもらう目的で書いたんだ」と怒られていました。今思うと、あれはマーケティングの訓練に他ならなかったと思います。「誰に、どんな行動を起こしてほしいか」という着眼点で作られたコンテンツでなければ、人に伝わらないからです。この思考回路を形成するのに、ブログ執筆はとても良い訓練方法です。訓練ですから、練習して、失敗できる環境を用意した上で、取り組んでみることをおすすめします。

まとめ

 自社のマーケティングを効果的に動かす人材には、やはり自社のビジネス、顧客を最も理解するという日々の姿勢が問われるでしょう。専門的な情報やノウハウは専門会社が提供してくれますが、自社の顧客についての情報は提供してくれません。顧客はなぜこのような反応をしたのか? どうすれば行動をしてくれるのか? を常に考え続け、試行錯誤すること以外に、BtoBマーケティングを統括する立場への道はないのです。

 コロナ禍による影響も続いています。正直なところ、コロナ禍における人材育成の答えを私は持ち合わせていません。しかし、これまでの歴史が証明しているのは、環境の変化に適応するために逃げずに考え抜いたものだけが生き残れるという事実です。ある日突然、ルールが変更されても、逃げずに真摯に考え抜くことが今まさに求められているのではないでしょうか。そして、そのような世の中の変化を見極め、どう行動すべきかを考える力は、まさにマーケターとして必須のスキルでもあると思います。

COLUMN 配達員の「努力」

 私はUberEatsのヘビーユーザーです(時間のない時には1日に2回利用することもある)。ひそかに注目しているのが、配達員が用意する「置き紙」。配達商品を玄関先に置く際、商品が汚れないようにA4サイズの紙が敷いてあることがあり、その「置き紙」には配達員の似顔絵や感謝の言葉が手書き風に印刷されています。最初に見た時は「ここまでしてくれるのか!」と感動したものですが、調べてみると配達員の約20%が置き紙を使っているらしく、しかも、置き紙のフリー素材も出回っているそう。あれこれと試行錯誤する配達員たちを、陰ながら応援しています。

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この記事の著者

赤沼 悠介(アカヌマ ユウスケ)

 マーケティングエージェンシーで戦略の立案や制作に従事後、MA の導入支援企業にてPardotやHubspotの導入支援、BtoBマーケティングの戦略立案、オウンドメディアの運営などに携わる。2020年、24-7へ入社。MA の導入支援や企業におけるマーケティング戦略の立案を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/28 07:30 https://markezine.jp/article/detail/36793

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