1st Party データをハブとした4つの戦略
Cookieless時代で最も重要となるのは、企業が顧客から直接許可を取って取得する「1st Party データ」だ。混乱を招かないように説明すると、会員番号やEメールアドレス、電話番号などの情報のほか、自社サイト上にてユーザーによる許可の上で取得する1st Party Cookieも含む。ドメインやブラウザをまたがない1st Party Cookieは顧客体験向上の目的で今後も使い続ける必要があり、大きな規制も入らない。
この1st Party データをハブとした戦略を採用し、従来よりも一貫性がある顧客体験の提供にシフトする必要がある。
1st Party データをハブとした戦略とは、以下のようになる。
1.オムニチャネル(全ての顧客接点)でデータを獲得する
2.リアルタイムパーソナライゼーションの優れた体験でデータを補強する
3.カスタマージャーニーを理解し、接点のマネジメントを行う
4.1st Party ドリブンの広告配信
この中でも特に重要なポイントが、2と4だ。3rd Party Cookieを活用し、サイト離脱後に広告で追いかける手法は終わりを告げる。自社サイトにいるうちに最適な情報やオファーを伝え、可能な限り1st Party Cookie以外の1st Party データをもらう体験作りをする必要があるのだ。
そして質の高い1st Partyデータを、他社と共有するセグメントマッチや電話番号、Eメールなどの適切な方法で配信・拡張配信するカスタムオーディエンスなどの手法を活用するべきである。
1st Party データの活用に欠かせない「顧客体験管理」
すでに小売および卸売薬局の世界的リーダーである「Walgreens(ウォルグリーン)」 は、1st Party データを「OTT(オーバーザトップメディアサービス)」や「CTV(コネクテッド テレビ)」への配信に活用し、大きな成果を出しているとのことだ。
体験作りを通じて顧客の解像度を上げ続けることで、データの質と量を増やしていく。これが真の顧客中心のビジネスであり、1st Party データをハブとした戦略である。この戦略を実行するには、リアルタイムで顧客の状態を把握し、データ活用の許可も随時更新していかなければならない。
顧客と接する全ての活動を戦略的に、多くの部署の従業員と連動して行っていくには「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」での管理が必須となるだろう。
Cookieless時代では、1st Party データの活用と管理が必須だが、それを実行していくのに欠かせない要素が「顧客体験管理(CXM)」である。この顧客体験管理における優れた事例を紐解きながら、解像度を上げていきたい。
「Sephora(セフォラ)」のCTOであるスリー・スリーダララジ氏のセッションでは、コロナ禍でのビジネスの柔軟な対応と、徹底した顧客体験の追求が語られた。