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デジタルで広がる、オフライン広告の可能性

2021年上半期に話題になった「オフライン広告」とは? 特徴と話題化のコツを探る


ファンが出稿する「応援広告」が話題に

 2つ目は「応援広告」です。応援広告とは、韓国発祥のアイドルなど芸能人を応援するために一個人が出稿する広告です。本場韓国では『センイル(誕生日)広告』と呼ばれ、駅や商業施設などで広く利用されています。

 たとえば、4月に行われた男性アイドルグループJO1木全翔也さんの誕生日広告では、ファン数百名が広告費を出資。駅の大型広告を始め、木全さんの好物にちなんで回転ずしスシローの店内サイネージ、木全さんの出身地にちなんで名古屋にある久屋大通公園のビジョンへ広告が出されました。

スシローの店内サイネージで放映された実際の動画

 最近では、応援広告の規定や利用可能な素材をあらかじめWebに公開しているアーティストのオフィシャルサイトもあり、ファンにとっては取り組みやすい環境になってきました。また、クラウドファンディングなどの仕組みを利用して資金を集める動きも加速しており、当初は駅貼りポスターや屋外ビジョンが多かった応援広告も、駅一等地の大型看板や全国規模のメディアに掲載するなど、その規模は拡大しています。

 一般企業が広告を出すのとは異なり、広告掲載までハードルがあるケースも多いですが、今後さらなる広がりを見せていくと思われます。

 応援対象の対象は、実在する人にとどまりません。渋谷駅と池袋駅では、VTuber「萌えみのり」さんの応援広告が有志団体によって掲出。B1ポスターの広告ながら、熱心なファンによって広くSNS上で拡散されました。

 アニメやゲーム、漫画などのサブカルチャーが大衆コンテンツとして広く認知されている日本では、さほど不思議な光景とは思わず、むしろ今後増えてくるのではないでしょうか。著作権等の問題もあるので企業側の協力も必要になってきますが、今後の動向に注目です。

“ツッコミどころのある広告”がSNSで拡散

 3つ目は「SNSで拡散する広告」です。伝えたいことを伝えるだけの“一方通行”な広告ではなく、ユーザーが感想や意見を発信したくなるような、“ツッコミどころのある広告”はSNSで話題になりやすい傾向にあります。

 たとえば、6月下旬~7月上旬に渋谷駅で実施されたキンカンの広告。円柱を使って商品を表現し、横の壁面では若者に向けたメッセージを発信しました。

 壁面のクリエイティブには、まるで人が語っているような本音っぽい語り口で切実な想いを表現。どの企業も思っているものの、なかなか表には出せない「若者に売れたい」という素直な感情を前面に押し出すことで、一般ユーザーを始め、同じように考えていた各企業が便乗する形で拡散されました。

 これが「若者の皆さん。買ってください」といった一方的なメッセージであれば、ここまで話題にならなかったでしょう。あくまで切実なお願いとして、一歩引いた立場からメッセージを発信したことがユーザーの共感を生み、拡散に繋がったのではないかと思います。

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「新聞広告」がSNS上で話題化

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この記事の著者

加藤 誠也(カトウ セイヤ)

株式会社ビズパ アドクロ編集長

 食品メーカーで営業職を経験後、2019年に同社入社。主に、編集長として広告・マーケティングの情報メディア「アドクロ」のコンテンツ制作を担当。「広告巡礼」を日課としており、Xでは見つけた広告事例に考察を添えて発信、テレビ出演やセミナー登壇も多数。 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/28 11:42 https://markezine.jp/article/detail/37176

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