残る4つ目のステップは?
ステップ4:PR効果を測定する
PDCAを回すために、効果測定は不可欠でしょう。私たちは測定指標を「アクション」「アウトプット」「アウトカム」の3つに分類しています(図表2)。
PR目的に応じて、複数の指標を採用し、定点観測してみてください。企業によっては、重み付けをして独自のスコアを作ったり、時系列に相関分析したりする取り組みもされています。ただしBtoBの場合、認知から検索行動、さらには問い合わせするまでにはタイムラグもあるため、コンバージョンとの因果関係を見出すのは難しいことが多いです。それでも、インサイドセールスと連携し、一次ヒアリング時に認知経路を聞き出したり、MA(マーケティングオートメーション)を用いて行動分析したりすることで、PR効果を可視化していくことができる可能性があります。
チームでPR視点を養う
PRの仕事を続けていると「PRに強い企業の共通点はなんだろう」と考えることがありますが、その一つは組織にあるのではないかと思います。たとえばPR担当以外のマネジメントや他部署の方がPR視点を持っていたり、情報共有に協力的だったりします。ここからは、チームとしてPR視点を養うためのアイデアをお伝えします。部署を超えてお使いいただけるのが、メディア向けに発信する情報を整理するためのフレームワーク「ニュース7つの要素」です(図表3)。

プレスリリースやイベント開催において、ニュース要素が複数含まれている情報ほど、興味を持ってもらいやすくなります。以下ではBtoB SaaSを想定し、それぞれ解説していきます。
(1)時流要素
社会的に注目されているテーマと自社サービスをいかに絡められるかを考えます。最近ではDX時流が強いため、各業界で「◯◯DX」という訴求をしていますね。
(2)実利要素
企業が抱える課題に対して、どんなメリットがあるかを示します。導入前後の効果や実験結果など、具体的なエビデンスが揃っていることが望ましいです。
(3)実績要素
顧客の導入実績や第三者機関の評価などがあります。顧客の導入実績をスムーズに展開できるようにセールスやカスタマーサクセスとも密な連携が必要になるでしょう。
(4)大成要素
市場やサービスのポテンシャルを示します。数年後のビジョンや計画を示し、期待感を持ってもらったり、起こりうる大きな課題を提起し、サービスの必要性を感じてもらったりすることがあります。
(5)技術要素
AIや5Gといった最新技術に関連することを指します。研究者との共同研究や、実証実験など将来的に目指す技術も含まれ、途中経過を発信していくことで、より多くのニュース機会を作れるかもしれません。
(6)新規要素
国内初や業界初のサービスや取り組み、発売開始の情報を指します。たとえば、SalesforceやAdobeなどは、定期開催のイベントで新サービスや新機能を集中的に発表しており、テック系メディアを中心にニュースが増えますね。
(7)季節要素
季節ごとの行事をイメージするとわかりやすいでしょう。新入社員が増える4月であれば人事総務向けサービス、ボーナスの時期であれば経理向けサービスにとって情報発信のチャンスかもしれません。
PR担当者だけでなく全社員がこの視点を持っていることで、情報がスムーズに流れるようになり、効果的な戦略実行につながっていきます。
