自社のユーザーはどのような体験を求めている?
ユーザー行動をリアルとデジタルで想定する
自社のユーザーを把握した後は、ユーザーが来店前後でどのような行動をとるかを可視化していきます。今回は、リアル店舗におけるデジタル体験はどのようにあるべきか?というテーマを前提に、策定したユーザーの行動をリアルとデジタル両軸で可視化するカスタマージャーニーマップを使いながら整理していきましょう。


ジャーニーマップのシートは来店前・来店中・来店後のフェーズに分かれており、それぞれのフェーズにおけるタッチポイント(リアル・デジタル)、ユーザー行動・思考・感情、ユーザー要求を書き出す項目があります。
体験価値シートとユーザーシートで策定したターゲットユーザーと、ユーザーが求めていることを踏まえつつ、どのような行動を行いそうか、行動した時にどのような感情になりそうかを書き出していきます。このプロセスは1人で行うのではなく、プロジェクトメンバーを集めて全員で書き出すことをおすすめします。
以下の内容を参考に、まずは制約を設けずに様々な行動を書き出してみましょう。
タッチポイント(リアル・デジタル):サービスとして提供している内容をリアル・デジタル観点で記載する
行動:来店前後でのユーザー行動を記載する
思考・感情:行動をした際に、現在のサービス内容でユーザーがどのような感情を抱くのかを記載する(ポジティブは赤色、ネガティブは青色など、感情で色分けすると整理しやすい)
ユーザー要求:思考・感情の内容を元に、ユーザーが抱えている要求を記載する
このジャーニーマップでは、リアルな店舗で求めていることは何かを行動の中から抽出することを目的としています。その際に、「店舗に来店されるお客様はどのようなお買い物体験を望んでいるのか?」「その上でどのような課題を抱えているのか?」を見出すことが、今後の施策におけるコアにつながります。
これらを踏まえた上で、現在リアルでのタッチポイントをデジタルに置き換えた際に体験の向上が図れるかを確認することが大事になります。この作業は「ユーザーの本質的な要求」を捉えるため難しい部分ですが、表面的な課題ではなく、ユーザーが体験として求めていることは何か?を議論していくことが大切です。
記入例
フェーズ:自社インテリアショップに来店中
行動:自社オリジナルアプリの商品一覧で見た商品をお店で探そうとする
思考・感情:広い店内のどのエリアに探している商品があるかがわからない。店員さんも忙しそうで聞きにくい。
ユーザー要求のOK例:来店中に探している商品をスムーズに見つけたい。
ユーザー要求のNG例:店舗で商品を探す際に、自社のオリジナルアプリを使いこなせていないため商品を見つけられない。
NG例は具体的な課題を記載していますが、まずはユーザーが店舗でどのようにお買い物をしたいのか?を鮮明にする必要があります。アプリで見た商品を探しやすくするための施策を打ち出そうとした際に、それらの施策を行うことでユーザーがどのような気持ちに態度変容するかを確認することができず、表面的な課題の解決で終わる可能性があるためです。
「来店中に探している商品をスムーズに見つけたい」というユーザー要求に対して、どのような施策を提供すれば、自社のお客様の体験は向上するのか?を考えることができるようになり、その結果ユーザー視点に沿った体験価値の向上する施策を見出せるようになります。
同時に自社にとって都合の良い要求になっていないかなど、少し離れた視点で要求を俯瞰・見直しも行いましょう。これらの要求が一通り整理された後に、具体的な施策を考えていくことで、施策の裏付けにも繋げることができます。