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リーチ拡大とオリジナルツイート増加に成功!ピッコマに学ぶ、会話を醸成するTwitter活用法

 ダイレクトレスポンス以外のコミュニケーションへの必要性を感じ、認知・理解といった上位ファネルに対するアプローチに力を入れる企業も多いのではないか。電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」を運営するカカオピッコマも、似た状況から認知・理解にフォーカスした施策をテレビCMとTwitterで展開した。今回はその施策の背景や内容、得られた成果について、カカオピッコマのマーケティングチームに所属する八子氏と同社のTwitter活用を支援するTwitter Japanの小堺(こざかい)氏に聞いた。

ミッドファネルへのアプローチを強化する

MarkeZine編集部(以下、MZ):Twitter広告に関して、ダイレクトレスポンスを目的とした活用がメインだったと聞いています。今回、Twitter活用の強化に至った背景を教えてください。

株式会社カカオピッコマ プロモーションチーム/チームリーダー 八子 淑恵氏

八子:ダイレクトレスポンス広告の中でも、Twitterはパフォーマンスの高い媒体の1つです。その中で、テレビCMのローンチのタイミングに合わせ、ダイレクトレスポンス広告で接点の持てるユーザー以外のオーディエンスへリーチを広げていきたいと考え、今回Twitter活用の強化を決めました。

 またピッコマでは2021年4月から、フルカラーで縦スクロールというスマートフォンに最適化された新しいマンガコンテンツ「SMARTOON(スマトゥーン)」の認知・理解、利用拡大を目指しています。そのコミュニケーションの一環として、Twitterを活用したいと考えました。

MZ:獲得に近い下位ファネルのアプローチ以外の取り組みを強化したかったということでしょうか。

八子:そうですね。今回の取り組みでは、認知と獲得の間にあるミッドファネルへのアプローチを強化するイメージを持っていました。これまでリーチできなかった人にアプローチしつつ、オリジナルツイートによる会話を醸成して、ピッコマやSMARTOONに対する理解を促す狙いがありました。

 これまでIDFA(広告識別子)を共通言語に各配信メディアをフラットに見ることができていましたが、IDFAの制限やAppTrackingTransparencyの導入により、指標の見直しが求められています。ファーストパーティデータ連携による広告配信なども行っていますが、ターゲティング広告だけのアプローチで、これまで以上の施策は難しくなりつつあります。

今後のポストIDFAの時代に対応するためにも、今回のような取り組みは必要だと考えています。

CM連動のトレンドテイクオーバーで認知を加速

MZ:今回行った施策について教えてください。

八子:大きく3つの施策を行いました。1つ目は、SMARTOON作品に関連したブランド絵文字です。SMARTOON作品に対する認識を深め、作品ファンとのコミュニケーションのきっかけを作りました。具体的には、ピッコマで人気の「俺だけレベルアップな件」「私を突き刺す棘」の2作品の作品名をハッシュタグ付きでツイートすると、ブランド絵文字が登場する施策でした。

 2つ目はテレビCMと連動したトレンドテイクオーバーです。テレビCMに登場するBiSHのアイナ・ジ・エンドさんとコラボレーションし、出題画像の文字列からピッコマで連載中のSMARTOON作品タイトルを見つけ、ツイートいただく企画を行うことで、リーチとTwitter利用者からのエンゲージメントを獲得しました。

 そして、3つ目はTwitter上で展開されるLIVE配信コンテンツ「Twitterライブ番組」への協賛(Amplifyスポンサーシップ広告)です。芸人のニューヨークさんがMCを務める「ニューヨークジャック」で、「夏のゾッとする #タテで読んでみ 」をお題として、“一見普通の文章だけど、縦で読んだらゾッとする”Twitter投稿を募集しました。

 そして、番組内ではニューヨークさんが集まった投稿の中からおもしろいと思った内容を紹介し、マンガ好きとしても知られる2人がピッコマで連載中のSMARTOON作品を紹介しました。

トライブを捉えて会話を生む

MZ:Twitter Japanの小堺さんにうかがいますが、今回の施策でTwitterはどのような支援を行ったのでしょうか。

Twitter Japan株式会社 Twitter Client Solutions メディア&エンターテイメント業界担当
クライアントパートナー 小堺 古都氏

小堺:CMをきっかけに、今までアプローチできていなかった、アッパーファネルとミッドファネルの潜在層と接点を持ち、発話させることの重要性をご提案させていただきました。

 また、質の良い発話を引き出すためのヒントとなる施策事例や考え方をいくつか紹介しました。たとえば、キャラクターを活用したブランド絵文字の施策では、熱量の強いマンガ好きのコミュニティに一番注目しました。これまでのツイートの分析から、そういったコミュニティには、「自分の好きな作品やキャラクター、シーンを他人におすすめしたい」というインサイトがあることがわかっていました。そこで、彼らを起点にすることで強い波及効果が得られるという仮説を立てました。

 そのほか、キャンペーン実施後はどのようにTwitterの施策を評価するか、マーケティングの効果測定のレポーティングサポートも行いました。

新規リーチの拡大とオリジナルツイートの増加に成功

MZ:今回の施策はどのようなKPIで評価したのでしょうか。

八子:通常のダイレクトレスポンス広告とのユーザー重複、そしてピッコマやSMARTOON作品に関するオリジナルツイートの量をKPIに設定しました。

MZ:今回の施策によって、KPIにどのような変化が見られましたか。

八子:ユーザー重複に関しては、通常広告とトレンドテイクオーバーを比較したところ、参加者の重複率は3%とかなり低く、通常広告配信では届かないユーザー層へ広げられたと手応えを感じました。

 オリジナルツイートに関しては、今回の施策実施前の5月以前と実施後の6月以降を比較したところ、ピッコマとSMARTOON作品関連のオリジナルツイートの数は2.4倍に増加しました。さらに、「最近ピッコマで読み始めました」といったツイートが施策前後で162%も増加するなど、ピッコマとSMARTOONに対する認知理解が深められたと思います。

MZ:今回はテレビCMの出稿に連動した施策でしたが、その相乗効果に関してはどう評価していますか。

八子:今回、話題となっているタレントさんにご協力いただきキャンペーンを展開することで、より会話量やエンゲージメントを増やすことができるのではと仮説を立てました。実際に今回は、テレビCMに起用したBiSHのアイナ・ジ・エンドさんに協力いただき、キャンペーンを展開しました。

 結果として、アイナ・ジ・エンドさんがテレビCMに出ていることへのツイートも集まり、SMARTOONに関する会話量は増加しました。SMARTOONとピッコマを認知させる目的に、テレビCMとの連動施策は合っていたと思います。

途切れずコミュニケーションを行うことが重要

MZ:今回の施策によって得られた知見、学びがあれば教えてください。

八子:ピッコマの情報を届けられるTwitter利用者がまだたくさんいるということですね。Twitterの広告在庫の豊富さを感じました。また、1日大きく露出することも大事ですが、そのあとも途切れることなくTwitter上でユーザーコミュニケーションを増やすことも重要だと感じました。そうすることで、自発的に話題にしてくれる人が増えるのだとわかりました。

 2,500万ダウンロードを超えたあたりから、リテンション広告などに力を入れたほうがいいのではと思っていた部分もありましたが、これまで行ってこなかった取り組みにチャレンジすることでまだまだピッコマのユーザー数は増やせると思いました。

小堺:また、Twitterからのコミュニケーション方法を変えることで、普段接点を持てているコアなマンガ好き層からよりライトなユーザーへもリーチも拡大しながら、今までコンバージョンしていないTwitter利用者の興味関心を喚起するきっかけを作れることがわかりました。

利用までの導線作りも意識した施策を

MZ:今後Twitterを活用してチャレンジしたいことを教えてください。

八子:Amplifyスポンサーシップ広告の異なる活用法を模索したいです。今回はTwitterライブ番組の「ニューヨークジャック」に協賛させていただきましたが、他の演者さんや企画だとまた得られる成果が違うと思います。また、次回以降は利用までの導線作りも意識して設計した上でチャレンジしたいです。

 そして、SMARTOONの作品ファンが喜んでくれて、自然と作品やピッコマに関する会話をするきっかけ作りとなる施策を、どんどん仕掛けていきたいと思っています。

小堺:今回トライいただいたAmplifyスポンサーシップ広告はもちろん、マンガ好きが数多く集まるTwitterと業界最大級のマンガサービスであるピッコマだからできる施策に挑戦したいです。ファン起点で熱量を伝播させ、確実にリーチできるユーザーを増やしていけるよう、カカオピッコマ様とは長期的なマーケティングパートナーとしてこれからも連携を強めていきたいです。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/22 10:30 https://markezine.jp/article/detail/37571