パートナーはコンテンツの理解者でなければいけない
MZ:『フロムアイドル』のマーケティング戦略を共同体制で推し進めた背景について教えていただけますか。
石毛:『フロムアイドル』はアナログなコミュニケーションが売りのコンテンツですが、ターゲット層を考えた場合、デジタルを活用したマーケティングが必須であるのは明白です。
ところが、我々の演劇企画開発室には演劇部門の出身者が多く、デジタル広告のノウハウがほとんどないような状況でした。
石毛:実は立ち上げの段階では、D2C Rさんとは別の、社外アドバイザーの方に入っていただいた経緯があります。
立ち上げ当初は、自己流でYouTube広告のKPIを再生回数10万回に設定し、結果として3日で10万回再生を達成できましたが、コメント欄は、英語や見たこともないような言語で埋めつくされていて。我々が広告を見せたいターゲット層に届いていなかったんですね。この時の経験から、コンテンツのコンセプトを理解してくれるマーケターと組まないとうまくいかない、と強く感じました。
MZ:新たな社外パートナーとして、D2C Rを選ばれた理由は何でしょうか。
石毛:立ち上げメンバーの一人がD2C Rの方と面識があり、それがきっかけで池邊さんにお会いする機会がありました。お話を伺った時に「ただの宣伝会社ではないな」「コンテンツを理解した上で、マーケティングのプロとしてアウトプットを出してくれそうだな」と感じたことが協業に至った理由です。
池邊:D2C Rにおける気風としても、私自身としても、まずは自分がコンテンツのファンにならないと、ユーザーの気持ちはわからない、と考えます。『フロムアイドル』については、ひょんなことからその存在を知り、事前に触れる機会があったんです。コンセプトもクオリティも良くて「このコンテンツが喜ばれない訳がない」「ぜひ一緒に並走したい」という熱量で、プロジェクトに参加させていただきました。
ファン育成を目指す定性的な目標を設定
MZ:本プロジェクトにおける具体的な取り組みについてお聞かせください。
池邊:最初は石毛様からのオーダーもあり、コンテンツの走り出しということで、KPIの設定を一緒に考えるところから始めました。コンテンツごとの目標、松竹様の社内で設定された目標もあるので、数字的なKPIはしっかり立てつつ、そもそもの定性的な目標として、ファンの熱量をしっかり増やすこと、ファンの経済圏を大きくすることなどを掲げました。
また、最初の時点からUGCについては強く意識しています。ファンが内輪で閉じてしまうとコミュニティの広がりが生まれないので、ユーザーが外に声を出しやすい環境づくりを目指しましょう、とお伝えしました。
そこから、SNSのチャネル拡大や、ユーザーとの接点を増やす生放送などの施策、口コミを伸ばすためのハッシュタグなど、施策に関するディスカッションを重ねています。
さらには広告戦略やそのクリエイティブの表現についても力を入れています。それはデジタルに留まらず、たとえば駅の構内に掲出するOOHであれば、学校の掲示板のようにすることで目に留まるようにしたり、セリフを入れることでキャラクターの内面的な特徴を伝えられるようにしたりと、コミュニケーションに関わる様々な場面で伴走させていただきました。
石毛:広告支援の部分では、特に大きく貢献いただきました。デザインの段階からD2C Rさんに入っていただいたことで、ユーザーへのフックを意識した広告が出せたと思います。