「SNS×テレビ」で高めるトータルリーチ
企業によるSNSの運用は、ユーザーのインサイトを得るだけではなく、他のメディアと併用してリーチを広げるにも大きな役割を果たすという。
小山氏が紹介したTwitterとテレビの年齢別利用状況を調査したデータでは、18歳から34歳へのリーチが、Twitterのみで11%、テレビのみ32%、兼用が46%、そしてトータルリーチは89%。35~49歳のユーザーでは、テレビのみの比率が大きく51%、Twitterが5%、トータルリーチが86%となっている。

関東在住の18~34歳の男女(n=682)、35~49歳の男女(n=837)に対する調査
「TwitterなどのSNSは、テレビなどのマスメディアでリーチしきれなかった若年層へのアプローチを補完でき、トータルリーチをより大きくできます。さらに継続的に併用すれば、SNSからテレビ番組へ、あるいはテレビ番組からSNSへと遷移しながら楽しんでもらえる、相互のブリッジを作りやすくなります」(小山氏)
SNSとマスメディアを併用した施策は近年、ドラマの撮影現場などでも見られるようになっている。常に接触しているSNSの場で、収録の舞台裏を紹介したり、ドラマに出演する俳優がTikTokのトーン&マナーに合わせた動画を公開したりすると、より深いエンゲージメントを獲得でき、強烈なファンとなり、視聴するきっかけになる。「テレビ局をはじめとしたマスメディアの業界でも、SNSの運用は定石になってきていると感じています」と小山氏は語った。
アフターコロナにおけるSNS活用法とは?
この流れについて、小山氏は「ULSSAS」モデルが加速していると考察。ULSSASとは、ホットリンクが提唱するSNS時代の購買行動プロセスで、UGC・Like(いいね)・Search1(SNS検索)・Search2(検索エンジンでの検索)・Action(購買)・Spread(拡散)で構成される。
新商品を発見したユーザーが写真をSNSに投稿すると、フォロワーなどから“いいね”が付く。その“いいね”をしたユーザーが、商品をSNS上でハッシュタグなどを用いて検索。次に商品を購入するべく、検索エンジンで指名検索を行い、詳細な情報を得た後に商品を購入する。その後、商品を購入したユーザーは写真を撮りSNSに投稿することで、また新たなサイクルが始まっていくのだ。
「ネット検索からハッシュタグ検索へのシフトについては以前から肌感があったのですが、最近特に、若年層を中心にこの傾向が加速し続けている印象です」(小山氏)
最後に小山氏は、アフターコロナの状況におけるSNSとの関わり方について言及し、セッションをまとめた。
「コロナ禍によって、リモートワークの浸透やDXの加速など様々な変化が起きましたが、人の生活様式は、今後も確実に変化していくと予測しています。だからこそ、直近の話題や世の中の人の考えを知りたいという思いが強くなり、SNSの滞在時間もさらに増えていくと考えています。その中で、企業としてSNSをどう使うか、目的を明確にして活用していくことで、時代に適応していきたいと思います」(小山氏)
