Instagramは、お客様と深く・広く・長く繋がる場
MarkeZine編集部(以下、MZ):ワコールでは、下着ブランド「Wing(ウイング)」のキャンペーンでInstagramを活用し、複数の施策から非常に高いブランドリフト値に繋がったと伺いました。今回は、この一連のキャンペーンの概要について、Wingのマーケティングを担当されている角垣さんと広報・宣伝部の原さん、Instagram広告を中心にMetaでアカウントマネージャーとしてワコールの担当をされている木崎さんにお話しを聞いていきます。はじめに、Wingのブランドについてご紹介いただけますか?
角垣:Wingは、2020年12月にリブランドをし「生活するからだと会話する」という新しいコンセプトのもと再出発をしました。このコンセプトには、「女性の体を科学的に知り、それに基づいた商品を開発する」というワコールのもの作りにおける基本姿勢や、お客様のリアルな生活を知ることで「活き活きとした輝き」を提供するというお客様への約束の気持ちが込められています。
MZ:ターゲットとしている年代層と販売チャネルについても教えて下さい。
角垣:戦略ターゲットとしているのは、Wingの認知度があまり高くない25~34歳の方々です。さらに、54%に上る「認知未購入者」には、Wingを自分ごと化していただくアプローチを図り、ブランド全体の認知力向上を目指しています。同様に、休眠・離反の多い40~50代のお客様への提案にも注力しています。現在、大手量販店などを中心にお客様ご自身で商品を選び購入していただくセルフ型のブランドとして展開しています。
MZ:マーケティングチャネルとして、Instagramはどのような位置づけですか?
角垣:「商品を購入して終わり」ではなく、お客様と深く、広く、長くつながるブランドを目指し、リブランドのタイミングでInstagramアカウント(@wing.jp_official)を開設しました。先述したように、Wingはセルフ購入が中心のブランドなので、気軽に購入できるという点が特長ですが、「この販売員さんがいるこのお店でまた買おう」という動機付けが生まれにくいという課題もあります。そこで、お客様と継続して繋がる場所としてInstagramを取り入れています。
MZ:ワコールでは、他のブランドでも多数のInstagramアカウントを開設していらっしゃいますが、どのような形で運用しているのでしょうか?
原:おっしゃる通り、当社ではワコール公式の企業アカウントの他、ブランドやショップなど20以上の公式アカウントを運用しています。各ブランドでターゲットも異なるので、ブランドの世界観に合わせて表現・コミュニケーションを行うために、アカウントを分けて運用しています。
Instagramのブランドコンテンツ広告とは?
MZ:では、Instagramで実施されたキャンペーンの概要を教えて下さい。
角垣:キャンペーンの商材は「ズレにくい、ノンワイヤー。」をキャッチコピーとしている「シンクロブラ」という商品です。キャッチコピーを通して商品の機能価値を訴求することと、これまでリーチできていなかった戦略的ターゲット層(25~34歳)への認知拡大を目的にキャンペーンを設計しました。
具体的には、まずインフルエンサーによるPR投稿から開始し、タイミングを計ってWingの公式アカウントからInstagramライブの告知をしました。これにより、ブランドを認知し興味を持っていただいた状態でライブ配信を視聴いただけるように設計しました。
今回は、これらと並行してブランドコンテンツ広告を展開したことで、通常の広告ではリーチできない層にアプローチし、ライブの視聴を促すことができました。ライブ配信後にもアーカイブ視聴へ繋げる広告を展開し、商品の機能訴求・認知拡大をさらに高める導線を設計したのですが、これもうまく機能しましたね。
MZ:このブランドコンテンツ広告とは、どのような広告メニューなのでしょうか?
木崎:ひとことで言うと、「インフルエンサーの投稿を、企業が広告として運用できる」広告メニューです。インフルエンサーの既存フォロワー以外にもリーチできるため、従来のインフルエンサーマーケティングより効率的にブランディングを行うことができます。オーガニック投稿の場合は「〇〇(企業名)とのタイアップ投稿」というタグが、広告の場合はヘッダーに「広告」と表示され、キャプションの一番上に「〇〇とのタイアップ投稿」と出る形で流れてきます。
MZ:なるほど。インフルエンサーを起用してマーケティングをしている企業は特に活用するメリットがありそうですね。
木崎:ブランドコンテンツ広告には、ブランドと親和性が高いインフルエンサーの方を通じて、ブランドの魅力を届けることができるという特長があります。もちろん、通常の広告と同じように広告マネージャーからリーチやインプレッションなどのパフォーマンスを確認できるので、PDCAをしっかり回すことも可能です。