SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第83号(2022年11月号)
特集「Web3、メタバース、NFT ── 最新技術が マーケティングに及ぼす影響」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

事例&データで深掘り!Instagramマーケティングの現在地(PR)

ワコールが実践!Instagramで「好きと欲しい」を増幅させるブランドコンテンツ広告とは

 女性下着メーカーのワコールが展開するブランド「Wing(ウイング)」。2020年12月のリブランドをきっかけにInstagramを開設し、Instagramを活用したマーケティングに力を入れている。本稿では、2021年8月に実施した「シンクロブラ」のブランディングキャンペーンについて、その設計や得られた成果について話を聞いた。

Instagramは、お客様と深く・広く・長く繋がる場

MarkeZine編集部(以下、MZ):ワコールでは、下着ブランド「Wing(ウイング)」のキャンペーンでInstagramを活用し、複数の施策から非常に高いブランドリフト値に繋がったと伺いました。今回は、この一連のキャンペーンの概要について、Wingのマーケティングを担当されている角垣さんと広報・宣伝部の原さん、Instagram広告を中心にMetaでアカウントマネージャーとしてワコールの担当をされている木崎さんにお話しを聞いていきます。はじめに、Wingのブランドについてご紹介いただけますか?

(左)(中央)(右)
(左)株式会社ワコール 広報・宣伝部 原敬寛氏
(中央)株式会社ワコール マーケティング企画部 角垣彩織氏
(右)Facebook Japan株式会社 グローバルビジネスグループ・アカウントマネージャー 木崎紘美氏

角垣:Wingは、2020年12月にリブランドをし「生活するからだと会話する」という新しいコンセプトのもと再出発をしました。このコンセプトには、「女性の体を科学的に知り、それに基づいた商品を開発する」というワコールのもの作りにおける基本姿勢や、お客様のリアルな生活を知ることで「活き活きとした輝き」を提供するというお客様への約束の気持ちが込められています。

MZ:ターゲットとしている年代層と販売チャネルについても教えて下さい。

角垣:戦略ターゲットとしているのは、Wingの認知度があまり高くない25~34歳の方々です。さらに、54%に上る「認知未購入者」には、Wingを自分ごと化していただくアプローチを図り、ブランド全体の認知力向上を目指しています。同様に、休眠・離反の多い40~50代のお客様への提案にも注力しています。現在、大手量販店などを中心にお客様ご自身で商品を選び購入していただくセルフ型のブランドとして展開しています。

MZ:マーケティングチャネルとして、Instagramはどのような位置づけですか?

角垣:「商品を購入して終わり」ではなく、お客様と深く、広く、長くつながるブランドを目指し、リブランドのタイミングでInstagramアカウント(@wing.jp_official)を開設しました。先述したように、Wingはセルフ購入が中心のブランドなので、気軽に購入できるという点が特長ですが、「この販売員さんがいるこのお店でまた買おう」という動機付けが生まれにくいという課題もあります。そこで、お客様と継続して繋がる場所としてInstagramを取り入れています

MZ:ワコールでは、他のブランドでも多数のInstagramアカウントを開設していらっしゃいますが、どのような形で運用しているのでしょうか?

原:おっしゃる通り、当社ではワコール公式の企業アカウントの他、ブランドやショップなど20以上の公式アカウントを運用しています。各ブランドでターゲットも異なるので、ブランドの世界観に合わせて表現・コミュニケーションを行うために、アカウントを分けて運用しています。

Instagramのブランドコンテンツ広告とは?

MZ:では、Instagramで実施されたキャンペーンの概要を教えて下さい。

角垣:キャンペーンの商材は「ズレにくい、ノンワイヤー。」をキャッチコピーとしている「シンクロブラ」という商品です。キャッチコピーを通して商品の機能価値を訴求することと、これまでリーチできていなかった戦略的ターゲット層(25~34歳)への認知拡大を目的にキャンペーンを設計しました。

 具体的には、まずインフルエンサーによるPR投稿から開始し、タイミングを計ってWingの公式アカウントからInstagramライブの告知をしました。これにより、ブランドを認知し興味を持っていただいた状態でライブ配信を視聴いただけるように設計しました。

 今回は、これらと並行してブランドコンテンツ広告を展開したことで、通常の広告ではリーチできない層にアプローチし、ライブの視聴を促すことができました。ライブ配信後にもアーカイブ視聴へ繋げる広告を展開し、商品の機能訴求・認知拡大をさらに高める導線を設計したのですが、これもうまく機能しましたね。

MZ:このブランドコンテンツ広告とは、どのような広告メニューなのでしょうか?

木崎:ひとことで言うと、「インフルエンサーの投稿を、企業が広告として運用できる」広告メニューです。インフルエンサーの既存フォロワー以外にもリーチできるため、従来のインフルエンサーマーケティングより効率的にブランディングを行うことができます。オーガニック投稿の場合は「〇〇(企業名)とのタイアップ投稿」というタグが、広告の場合はヘッダーに「広告」と表示され、キャプションの一番上に「〇〇とのタイアップ投稿」と出る形で流れてきます。

フィードとストーリーズともに活用可能
ブランドコンテンツ広告は、フィードとストーリーズ、リールで活用可能

MZ:なるほど。インフルエンサーを起用してマーケティングをしている企業は特に活用するメリットがありそうですね。

木崎:ブランドコンテンツ広告には、ブランドと親和性が高いインフルエンサーの方を通じて、ブランドの魅力を届けることができるという特長があります。もちろん、通常の広告と同じように広告マネージャーからリーチやインプレッションなどのパフォーマンスを確認できるので、PDCAをしっかり回すことも可能です。

全ての項目で業界平均を上回るリフト値に

MZ:キャンペーン全体を通して、とても高い成果が出たと聞いています。

木崎:はい。ブランドコンテンツ広告を含めた一連のキャンペーンの成果を計測するため、「広告想起」「純粋想起」「購入意向」の3つに関するアンケートを取り、ブランドリフト調査を実施しました。広告想起については、「過去2日以内にワコールの『Wing(ウイング)』の広告を見た覚えがありますか?」という質問を。純粋想起では「ズレにくいノンワイヤーブラと聞いて、一番に思い浮かぶブランドは次のうちどれですか?」という質問をし、競合ブランドを入れた選択肢を設けました。最後の購入意向では、「今後ワコールの『Wing(ウイング)』の利用を検討する可能性はどれくらいありますか?」という質問をしました。

 結果、広告想起が+12.4pts(業界平均+7.8pts)、純粋想起が+2.9pts(業界平均+1.6pts)、購入意向が+5.1pts(業界平均+1.7pts)と、すべての項目で業界平均を上回る数値が出ました。通常広告とブランドコンテンツ広告の重複が17%と少なかったことから、通常の広告では届けることができなかった層にアプローチすることができ、さらに下部ファネルである「購入意向」に関してもリフト効果を出すことができました。ブランドコンテンツ広告によって「好き」だけでなく「欲しい」というところまでプッシュできたことが要因になったのではないかと考えています。

原:ファネルの上部の認知については恐らくポジティブな結果が得られるだろうという仮説を持っていましたが、下部の購買意向にも大きな影響があったことには正直驚きました。やはり、インフルエンサーの方の投稿が購買にしっかりワークしたのだと思います。

人選で重要視したポイントは?

MZ:ワコールでは、マーケティング戦略においてインフルエンサーの存在をどのように捉えていますか?

原:ブランドとお客様をつなぐ架け橋のような存在だと捉えています。そのインフルエンサーの個性や世界観を通して商品の魅力を表現するからこそ、ブランドを自分ごと化し、共感してもらえるのではないでしょうか。

 ワコールでは、Wingをはじめ他のブランドでも試行錯誤しながらインフルエンサーマーケティングを実施しています。インフルエンサーの方は、企業側では思いつかないようなクリエイティブの制作や特徴の伝え方をして下さるので、この点でも非常に参考になっています。

Wingのキャンペーンで展開したブランドコンテンツ広告の例
Wingのキャンペーンで展開したブランドコンテンツ広告の例

MZ:インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーの人選が重要なポイントになりますが、どのように進めましたか?

角垣:戦略ターゲットだけでなく、幅広い方々にシンクロブラを知っていただきたい、より自分ごととして捉えてもらいたいという思いがあり、年代や職歴、体型などにバリエーションを持って人選をしました。基本的には、それぞれのインフルエンサーの世界観や感性を生かしつつ、「シンクロブラの魅力である“ズレにくい”をかなえる機能箇所を見せて」「ストラップをクロスにできることを、着用した背中を写してイメージを伝えて」など、クリエイティブの具体的なポイントをお伝えしました。

木崎:クリエイティブによって効果が大きく変わってくるので、クリエイティブに関するインフルエンサーとのブリーフィングは重要です。実際に今回のキャンペーンでも、通常の広告よりブランドコンテンツ広告のほうが、25~35歳へのリーチ率が高くなっていました。

原:フォロワー数だけではわからない細かな点も選定の際に注視しました。今回は日本市場がターゲットなので、日本在住のインフルエンサーに依頼をしましたが、中には海外居住者のフォロワーが多い方もいらっしゃいます。アカウントの世界観はもちろんのこと女性へのリーチ率や居住地など数値面も意識しながら、人選を行いました。

購入欲求を高め、態度変容を促す点に注目

MZ:ここまでのお話しから、Instagramとインフルエンサーマーケティングの相性の良さを再確認できました。

木崎:Instagramは視覚的に訴求するメディアなので、利用者に「これ素敵だな」「いいな」という気持ちを想起させやすいという特長があります。利用者自身が楽しんでInstagramを閲覧しているからこそ、「好き」や「欲しい」の気持ちが醸成されるのです。この点は、マーケティングチャネルとして、Instagramならではの魅力です。

MZ:実際に、日本国内のファッションアイテム購入者のうち54%が「Instagramのインフルエンサーや有名人のレビューは、購入判断に効果的である」と回答したという調査結果もあります。また、世界的に見てもインフルエンサーマーケティング業界は成長を続けており、2021年の業界規模は150億ドルであると言われています。

 その中でInstagramがインフルエンサーマーケティングにおける最重要チャネルとして活用されているのには、木崎さんがおっしゃった「認知拡大や興味関心の増大にとどまらず、購入欲求まで醸成できる」という特長が大きく関係していると考えます。Instagramが「欲しい」という購入欲求に繋げられるのは、なぜなのでしょうか?

出典:The State of Influencer Marketing: 10 Influencer Marketing Statistics to Inform Where You Invest
出典:The State of Influencer Marketing: 10 Influencer Marketing Statistics to Inform Where You Invest

木崎:1つは、Instagram のターゲティングアルゴリズムの精度が非常に高い点に理由があると考えます。ファンになる確率の高い人にコンテンツをしっかり届けることで、利用者の「好き」と「欲しい」という気持ちを高める確度が高くなります。また、フィード投稿だけでなく、ストーリーズやショップ、Instagram動画など様々なコンテンツの形があるので、ブランドの魅力やストーリーを多面的に伝えられる点もポイントです。これらを裏付けるデータとして、約44%のユーザーが「後日、ブランドサイトやECサイトで商品を確認したり、購入したりする」と回答しており、確実に態度変容を生み出していると言えると思います。

新たな広告設計から得られた気づき

MZ:今回の取り組みから得られた気づきを、今後どのように活かしていきたいですか?

原:今回の施策によって、ブランドコンテンツ広告から購買につながることを確認できたことは大きな学びでした。というのも、実は、企業アカウントからの広告配信のほうが信頼性もあり購買につながるのでは? と考えていたのです。インフルエンサーの方の投稿からもこれだけ大きな影響があるというのは気付きになりました。

 今後はブランドコンテンツ広告と通常の広告、企業のアカウントからUGCを配信する広告それぞれがリフトにどう影響しているかを調査し、さらにインフルエンサーのフォロワー数などの影響度合いも測り、再現性を高めて他ブランドに展開していきたいですね。

角垣:今回のブランドコンテンツ広告は、木崎さんから「通常の広告とは違う目的でインフルエンサーを活用するのはいかがでしょう?」と提案を受け、通常広告との使い分けを試す形でチャレンジしました。ファンを増やしたり、距離を縮めたり、リーチしたい層に効果的にアプローチしたり、インフルエンサーの方々の力を借りることで、通常の広告と違う成果が期待できるとのことでしたが、実際にこれだけ成果が出たことは大きな学びになりました。今までこうした広告戦略はやってこなかったのですが、新しい広告設計の手法を知ることができたと思います。

木崎:新しい取り組みでこのような高い成果を出すことができ、今回のキャンペーンでは大きな収穫がありました。ブランドの魅力を伝えながら「好き」と「欲しい」という気持ちを作ることができるというInstagramならではの特長を活かし、これからもファンを広げていくお手伝いをさせていただきたいと思います。

Instagramマーケティングのすべてがわかる!

公式主催オンラインセミナー「House of Instagram 2021」のアーカイブ配信はこちらから(視聴登録不要・2021年12月31日まで公開)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/12/13 11:00 https://markezine.jp/article/detail/37705