センサリーマーケティングの基本&DMに実装するコツ
センサリーマーケティングとは、消費者の感覚(センサー)に働きかけることで、消費者の評価や行動に影響を与えようとするマーケティングの一手法だ。
通常のコミュニケーションでは、外部から刺激(情報)を受けると、感覚レジスター(視覚・嗅覚・聴覚など、人の五感)に入り、頭の中に短期記憶としてとどまり、さらに長期記憶を含めながら情報処理し、その結果、ロイヤルティが高まる、購入に至るといった流れが想定されている。一方、センサリーマーケティングの場合は、短期記憶を経由せず、明確な意識なしに評価や行動に結びつく。
紙を用いるDMでは、様々な工夫によって、センサリーマーケティングの考え方を体現することができる。たとえば、素材を変えることで触覚に刺激を与えたり、香りや音を付けたりといった方法が挙げられる。あるリゾートホテルでは、宿泊から2週間後に送るサンキューレターにそのホテルの香りを付け、楽しかった思い出を思い起こさせる取り組みをしているという。使用する色も大きなポイントで、色によって人々の購買行動に影響を与えられることが実験で確認されている。
調査データで紐解くDMの特徴
続いて、企業のDM活用の現状・生活者のDM閲読状況に関する調査データを紹介したい。
何のためにDMを実施?
2020年11月に、DMを実施している企業を対象に「DM実態調査(※1)」を行ったところ、企業がDMを実施する目的として最も多かったのが「継続的に商品・サービスを利用してもらうため」で約50.8%、続いて「優良顧客にアプローチするため」が39.8%だった。CRMの要素が強く、特定のセグメントされたユーザーとの関係構築を目的としている企業が多いのが特徴だ。
なぜDMを使ったのか?
DMを活用した目的についても聴いたところ、「セグメントしたユーザーに送付できる」「多くの情報を提供できる」「行動を喚起できる」といった内容が多かった。情報を届けたいユーザーにしっかりと届け、EメールやSNSでは伝えきれない温かみ、丁寧さなどを伝えるために使われていることがうかがえる。
DMと組み合わせて使われるチャネルは?
DMと組み合わせて使われるチャネルは多様化している。多いのは、ポスティング広告、SNSでの広告、店内・店頭の広告やPOPなど。特にポスティング広告とSNS広告については、新規顧客を獲得する目的でDMと組み合わせられているケースが多くみられた。