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日本郵便「デジタル×アナログ」実証実験プロジェクト(AD)

2022年は目前!開封率が強みの紙のDMでメッセージを伝えませんか?/有識者&調査結果からコツを学ぶ

 2021年も残すところあとわずか。節目の挨拶やセールのお知らせなど、企業と顧客のコミュニケーションが活発化するタイミングに差し掛かっている。コロナ禍の影響でオンラインでの情報発信の比率が高まっていることも影響し、特別感を演出できる「紙のDM」が、今改めて注目されているという。本記事ではDM活用のポイントを、有識者のアドバイス、調査データ、事例を基に解説。年末年始のコミュニケーション、2022年の戦略策定にお役立ていただきたい。

マーケティング手法もニューノーマルへと移行

 コロナ禍が様々な活動に影響を与えた2021年。第5波の収束後も、リアル店舗とECの使い分けが定着したり、対面とオンラインのハイブリッドでビジネス活動が展開したりと、社会全体が「ニューノーマル」なスタイルに移行していることがうかがえる。

 マーケティングも新しい形が模索される中、改めて注目を集めているのが紙のDMだ。日本郵便 郵便・物流営業部 担当部長の松本 俊仁氏によると、コロナ禍以降、通販や通信、保険、金融などの領域で、特に活発に活用されているという。またBtoBビジネスにおいては、DMでセールス活動を補完している例も見られ、松本氏は「この使われ方は今後より増えていくのではないか」と予測している。

 また、一般社団法人 日本ダイレクトメール協会 専務理事 椎名 昌彦氏は、コロナ禍で対面の接点が作りにくい中、DMを新規顧客獲得の飛び道具として活用することを提案している。

 「デジタルメディアでは新規顧客を多数、かつ精度高く取り込むのはなかなか難しく、お客さまが興味を持ってくれるのを、受け身の姿勢で待つことになってしまいがちです。一方、郵送で届くDMなら、ターゲットを絞り、クリエイティブを作り込んで特別感を伝えることもできます。新規顧客にアプローチする『飛び道具』として、大きな武器になるのではないでしょうか」(椎名氏)

カギは「押しつけないコミュニケーション」

 DMをコミュニケーションに取り入れる場合、どんなことがポイントになるのだろうか。日本のマーケティング研究の第一人者であり、DM活用を中心としたデジタル×アナログの実証実験を2016年から監修してきた早稲田大学 商学学術院の恩藏 直人教授は、一つの要素として「押しつけがましくないもの」にすることを挙げている。

 「現代が情報過多な状態にあることはよく言われていますが、コロナ禍によりデジタル上で過ごす時間が長くなり、消費者はますます多くの情報に触れるようになっています。日々、膨大な情報を受ける消費者に、少しでも抵抗なくメッセージを見てもらうためには、押しつけがましくなく、感覚に自然に訴えるものにすることが大切です」(恩藏教授)

 そのようなコミュニケーションを展開するために、恩藏教授の専門分野である「センサリーマーケティング」の知見が活かせるという。

センサリーマーケティングの基本&DMに実装するコツ

 センサリーマーケティングとは、消費者の感覚(センサー)に働きかけることで、消費者の評価や行動に影響を与えようとするマーケティングの一手法だ。

 通常のコミュニケーションでは、外部から刺激(情報)を受けると、感覚レジスター(視覚・嗅覚・聴覚など、人の五感)に入り、頭の中に短期記憶としてとどまり、さらに長期記憶を含めながら情報処理し、その結果、ロイヤルティが高まる、購入に至るといった流れが想定されている。一方、センサリーマーケティングの場合は、短期記憶を経由せず、明確な意識なしに評価や行動に結びつく

センサリーマーケティングの概念図
センサリーマーケティングの概念図

 紙を用いるDMでは、様々な工夫によって、センサリーマーケティングの考え方を体現することができる。たとえば、素材を変えることで触覚に刺激を与えたり、香りや音を付けたりといった方法が挙げられる。あるリゾートホテルでは、宿泊から2週間後に送るサンキューレターにそのホテルの香りを付け、楽しかった思い出を思い起こさせる取り組みをしているという。使用する色も大きなポイントで、色によって人々の購買行動に影響を与えられることが実験で確認されている。

調査データで紐解くDMの特徴

 続いて、企業のDM活用の現状・生活者のDM閲読状況に関する調査データを紹介したい。

何のためにDMを実施?

 2020年11月に、DMを実施している企業を対象に「DM実態調査(※1)」を行ったところ、企業がDMを実施する目的として最も多かったのが「継続的に商品・サービスを利用してもらうため」で約50.8%、続いて「優良顧客にアプローチするため」が39.8%だった。CRMの要素が強く、特定のセグメントされたユーザーとの関係構築を目的としている企業が多いのが特徴だ。

DMの実施目的DM実態調査報告書より(クリック/タップで拡大)
DMの実施目的
DM実態調査報告書より(クリック/タップで拡大)

なぜDMを使ったのか? 

 DMを活用した目的についても聴いたところ、「セグメントしたユーザーに送付できる」「多くの情報を提供できる」「行動を喚起できる」といった内容が多かった。情報を届けたいユーザーにしっかりと届け、EメールやSNSでは伝えきれない温かみ、丁寧さなどを伝えるために使われていることがうかがえる。

DMの実施理由 DM実態調査報告書より(クリック/タップで拡大)
DMの実施理由
DM実態調査報告書より(クリック/タップで拡大)

DMと組み合わせて使われるチャネルは?

 DMと組み合わせて使われるチャネルは多様化している。多いのは、ポスティング広告、SNSでの広告、店内・店頭の広告やPOPなど。特にポスティング広告とSNS広告については、新規顧客を獲得する目的でDMと組み合わせられているケースが多くみられた。

DMと組み合わせる目的DM実態調査報告書より(クリック/タップで拡大)
DMと組み合わせる目的
DM実態調査報告書より(クリック/タップで拡大)

強みは開封率の高さ!生活者への調査で明らかに

 生活者側のDM受け取り状況についても「DMメディア実態調査2020」を基に見てみよう(※2)。1週間のDM受け取り平均件数は7.0通で、ほぼ例年通り。各メディアの閲読状況も尋ねたところ、最も多い回答は、DMでは「ほとんど開封して目を通す」が52%、Eメール・メルマガは「タイトルを見て読むかどうか決める」が42%と いう結果に。このことから、新規顧客に興味を持ってもらうきっかけとして、DMを活かすこともできそうだ。

DM閲読状況:DMメディア実態調査2020よりグラフは最上部が「全体」、その下は性別や年代等の属性ごとの回答ピンク色が「ほとんど開封して目を通す」、オレンジ色が「タイトルを見て読むかどうか決める」、黄色が「差出人や企業名を見て読むかどうか決める」、青色が「ほとんど開封せずに捨てる、削除する」 (クリック/タップで拡大)
DM閲読状況:DMメディア実態調査2020より
グラフは最上部が「全体」、その下は性別や年代等の属性ごとの回答ピンク色が「ほとんど開封して目を通す」、オレンジ色が「タイトルを見て読むかどうか決める」、黄色が「差出人や企業名を見て読むかどうか決める」、青色が「ほとんど開封せずに捨てる、削除する」(クリック/タップで拡大)

 続いて、DM閲読後の行動喚起率についても尋ねたところ、2019年は16.3%の人がDMを受け取った後に店舗へ出かけたり、商品を購買したりと行動を起こしていたが、2020年は15%程度と微減していた。イベントや店頭などリアルな場へ出かけられないことが行動に影響したとみられる。

 DM閲読後の「Webサイトの閲覧」に絞り込んで調査をしてみると、興味深い結果が明らかになった。たとえばQRコードとの組み合わせを見てみると、6~7割の生活者が「QRコード付きのDMを受け取ったことがある」と回答し、3~4割は「実際にQRコードを経由してWebサイトを閲覧したことがある」と回答。リアルな場に集客することができない場合も、QRコードを用いてWeb上に集客するなどの方法が使えそうだ。

コンテスト受賞作品からアイデアを学ぶ

 日本郵便が主催する全日本DM大賞の受賞作から、実践のヒントを得ることもできる。デジタル×アナログを統合し、コンバージョンとレスポンス率を向上したケースとして現在も注目を集めているのが、「第33回全日本DM大賞(2019年)」のグランプリに選出された、DINOS CORPORATION(当時の社名はディノス・セシール)のパーソナライズDMの取り組みだ。

 具体的には2種類ある。1つ目の「カート落ちDM」は、顧客が欲しいと思っているタイミングを逃さずに、パーソナライズされた情報を届ける。具体的には、ECで商品をカートに入れたのに購入せず離脱した顧客に向け、最短24時間でその商品を含め3点の案内が送付される。

 2つ目の施策では、AIを活用して、顧客が購入した商品に似たアイテムを着ている写真をInstagramの一般投稿から抽出して、その着こなしアイテムに近しいものを提案する。

作品名:最新テクノロジーで自動化へ!パーソナライズされた情報が欲しいタイミングで届くDM (クリック/タップで拡大)
作品名:最新テクノロジーで自動化へ!パーソナライズされた情報が欲しいタイミングで届くDM
(クリック/タップで拡大)

過去のDM大賞受賞の作品は全日本DM大賞のWebサイトから見ることができます

デジタルと掛け合わせて、特別感あるコミュニケーションを!

 以上、コロナ禍のDM活用における様々な情報をお伝えした。年末年始にかけ、節目の挨拶やセールのお知らせなど、企業からのアプローチが活発になる。受け手である生活者は多くの情報を受け取る時期となるが、そのようなときこそ、「押しつけないコミュニケーション」を実現でき、開封率も高いDMは大きな武器となる。ロイヤルティの高い顧客に対し特別なメッセージを伝えるのはもちろん、休眠してしまった顧客に再アプローチする手段としても活かせそうだ。対面でのコミュニケーションが難しい中、新規顧客を獲得していく「飛び道具」としても、幅広い業種で取り入れられている。

 マーケティング・営業活動をさらに力強く進めるために、本記事の内容をぜひお役立ていただきたい。

デジタルとアナログは組み合わせる時代へ 日本郵便のtoB向けサービス(5つの強み)はこちら

※1

【日本郵便「DM実態調査」 調査概要】
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2020年11月
調査地域:全国
対象者条件:男女15~69歳 かつ 郵便ダイレクトメール関与者

※2

【(一社)日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2020」 調査概要】
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:男女20~59歳
調査地域:関東エリア 1都6県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬)

デジタル×アナログの事例&研究成果をアーカイブサイトにて公開中!

 デジタル、データによりマーケティングの環境が大きく変わる中、アナログだからこそできること、DMだから伝わることとは何か。デジタルとアナログの組み合わせにより、より心に響くコミュニケーションを実現できるのではないか。日本郵便ではこのような問いを基に、2016年より「デジタル×アナログ振興プロジェクト」として、実証実験、産学連携、その結果を広くお伝えするPR活動を続けています。成果はアーカイブサイトにて公開中。DM活用はもちろん、コミュニケーションの全体設計のヒントとしてもお役立てください。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/01/17 17:02 https://markezine.jp/article/detail/37809