可視化のために「インマーケットテスト」を行うことも
中川:そうは言っても、ブランドマーケティングの領域もできるだけ可視化したいという思いはありますので、インマーケットテストはよく行います。メディアがオンの場所とオフの場所を作って、アップリフトがどれぐらいかなどを見ていくものです。Uberは小売を介さずデジタル上でコンバージョンが起こる商材なので、かなり正確な比較ができます。
ブランド・リフト・サーベイなども追ってはいますが、ビジネスに寄与する度合いを測るという点では、今のところはインマーケットテストが一番ではないかと思います。コミュニケーションをしていない地域のビジネスインパクトを捨てて一定期間実施しなければいけないというデメリットはありますが、可視化のためには、このやり方が一番良いと個人的には思います。
木村:やはり「すべてが可視化できるマーケティング」だけでは、先々の大きな成長が作りにくい。そしてブランドマーケティングにしっかりと投資していくには、その考え方を共有したうえで、分割して取り組んでいくことが、一つの解になるのですね。
中川:分割しないほうが一気通貫でやりやすいという見方もありますし、賛否両論あるでしょうね。多くの企業が抱えているジレンマだと思います。
投資配分に関する考え方
木村:D2Cブランドの方々とこうしたお話しをしていると度々、「では、それぞれどのくらいの割合で投資したらいいのでしょうか」と聞かれることがあります。この点については正直、カテゴリーによると思っていて。たとえば10億円規模のブランドさんに聞かれたとすると、中川さんはどんなふうにアドバイスしますか? 一つは、今のやり方で獲得効率が良いのであればそれを続けて、出てきた余剰をブランドのほうに回すと倍々ゲームになっていくとは思うのですが……。
中川:そうですね。まず競合がいるマーケットのブランド投資は、シェア・オブ・ボイスでどれぐらいを目指すのか、という観点から決めていくのが良いでしょうね。10億円規模ですと、マーケットに競合がいない可能性もあると思うのですが、その場合はシンプルにビジネスモデルの掛け算で、これぐらいの人数が欲しい、というところから各パラメーターを逆算して、アウェアネスのリーチの人数を出すことができます。そうして、その人数次第で、人口が多いところに低いパーセントで入れるのか、人口が少ないところに高いパーセント入れるのかを決める、という順序になるでしょう。