4.何事も冷静に次のアクションへと転換していく「遂行家」

4つ目のグループ「遂行家」は、この2年間の変化に順応し、新たな刺激やインプットにもすっかり慣れ、2023年にはこれまでになかった体験や五感に訴える瞬間を追い求めると考えられます。「不確かな時間感覚」「希望」「モチベーション管理」の3つのセンチメントをドライバーにして、はやる心をマネージしながらも積極的に新たな領域を開拓していく消費者群です。
このグループが出てきた背景には、この2年でマルチタスカ―にならざるを得なかった状況があります。親たちはホームスクーリングの達人となり、自宅が会社やバー、レストラン、救急室、学校、事務の役割を果たすなど、ひとつの場所がいくつもの役割を持ち、一人の人がいくつもの役割を担うことになりました。パン焼きから刺繍にいたる多彩な趣味ブームが起こったことも印象深いですが、物理的な制約がある中でも、いろいろなことができるということを多くの人が経験しました。
この2年は、辛くもありましたが、中にはうまく人として成長した人たちもいます。「遂行家」は、まさに後者のことです。先ほどの「ありえない!」と考えるグループの原動力が社会に対する憤りであるのに対して、「遂行家」と名付けられた人々はスーパーコーディネーター、メタシンカーと言ってもいいのかもしれません。全体を冷静に捉え、理不尽な経験や状況も「OK。これはこれで経験になった」として次のアクションのエネルギーに転換していきます。
状況にじっと耐えるのではなく、柔軟な発想で先進的な体験、バーチャルな冒険、複数の空間が入り混じる世界に投資する、スラッシャーと呼ばれる複数の肩書きを同時並行して使いこなす人々の一郡でもあります。
エネルギーを多方面に注ぎ、先進的な体験を求め、オンライン/オフラインで自分の好きなものをフックに世界を広げる人々とのエンゲージメントのアングルには、どのようなものがあるでしょうか。
メタバース市場
これまでになかった表現や体験を可能にする共有仮想空間「メタバース」での異なる時間に共同作業できるサービスや、没入体験ができるバーチャルギフトといった発想は新たな領域を求める遂行家にぴったりです。
ユーザーの声と相互交流の場の提供
受け身ではなく、積極的に情報を取って見極めようとするため、商品のプロモーターではなく、その製品を実際に使っているリアルな人物と繋がれる場所を設けるといいでしょう。
スローでサステナブルな旅
地域コミュニティとの繋がりを育む、一風変わったデスティネーションが冒険心をくすぐります。ノスタルジックな瞬間がもたらす心の充足に加え、充実した多目的なサービスや安全が確保されている、という旅を味わい尽くせるようなコンセプト作りと関連プロダクトの提供が欠かせません。