トレード・オンを両立するために必要な「場づくり」

場づくり
消費者を単にモノの購買者ではなく、価値の共創の担い手として捉え、コンピタンスの源泉とする考え方は、「価値共創概念」(Prahalad & Ramaswamy, 2000)や「サービス・ドミナント・ロジック」(Vargo & Lusch, 2004)、「CSV(共通価値の創造)」(Porter, and Kramer, 2011)などの考え方がベースとなって広まっている。
顧客は価値を作り上げる協力者であり、また、それぞれの経験を生かして価値を作り上げる共同開発者であると考え、さらには、価値は製品から生まれるものではなく、企業が顧客との接点を持ってその場での相互作用の経験から価値が生み出されるといった考え方だ。
こうした背景があって重要性が高まっているのが、顧客との相互作用を生み出す「場づくり」だ。より大きな価値を生み出すためには、顧客と企業だけではなく、関連するNPOや自治体や他企業など、様々なプレーヤーと協働する「場づくり」が必要となる。
参考
・Prahalad, C. K., and Venkat Ramaswamy. 2000. "Co-opting Customer Competence." Harvard Business Review no. 78 (1):79-87.
・Vargo, S. L., & Lusch, R. F. 2004. "Evolving to a new dominant logic for marketing." Journal of Marketing, 68 (1), 1-17.
・Porter, M. and M. Kramer, 2011,“Creating Shared Value: Redefining Capitalism and the Role of the Corporation in Society”, Harvard Business Review, January and February 2011.(=DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2011年6月号『経済的価値と社会的価値を同時実現する 共通価値の戦略』マイケル・E・ポーター著、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部訳、ダイヤモンド社、2011年5月)